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7 世界を見て回ろう リザードマンの国2

 街道は舗装されていなかったが、馬車に乗せてもらえたおかげで少しは楽になった

もちろん、魔物が出るたびに飛び出して戦うことにはなるのだが

この辺りの魔物はそこまで強くもなく、スムーズに進んでいる

このままいけば予定通りにリザードマンの集落に着くだろう

低い山を越えるための山道を行けばすぐだそうだ


その山道を今走っている

回りはちょっとした森に囲まれていて、魔物もちらほら出てくる

街道より強いのだが、それでも今の三人なら難なく倒せる程度

商人ゴッドンを守りながらというハンデはあるが、三人の連携でそのハンデもあってないようなもの


「いやぁ、君たちを雇ってよかったよ」

「普段は護衛をつけていたんだが今回はいつもの護衛がけがをしてしまっての」

「あまり強い魔物も出んからと鷹をくくっておったらあのざまじゃ」


オルトロスに襲われたのは予想外だったらしい

街道に出るのは自分でも倒せるゴブリンくらい

山道も馬車に追いつけるほどの魔物は出ないとのことだった

たしかに、この辺の山道はローパー(触手のあるイソギンチャクのような魔物)やロックタートル(岩のような亀)といった動きの遅い魔物しか出ない

街道に出たオルトロスがイレギュラーなだけだったらしい


 道中、特に何か危険なこともあるわけでなく、無事、山道を抜けてリザードマンの集落に着いた


「ありがとう、君たちのおかげで無事たどり着けたよ」

「報酬はわしの商品を一つずつ君たちに渡そう」

「こう見えてわしは武器や防具を取り扱う商人でな」

「ほれ、そこの武器から好きなものを一つ取ってくれ」


そういうと、馬車から剣や斧などの入った包み、弓の入った包み、魔道具の入った包みを取り出した


「それぞれ魔法のかかっているものでな」

「ドワーフの技術が詰まっとる」

「買えば金貨十枚はくだらんぞ」


「そんな、それはちょっともらいすぎですよ」

シェイナたちは遠慮した


「いいから、わしの命を救ってくれたんじゃし、遠慮するな」


ゴッドンはホレホレと促した


「ありがとうございます」

「じゃぁ、せっかくなので」


シェイナは魔道具から聖信のタクトという治癒魔法の力を高める聖木で出来たタクトを選ぶ

リモットは範囲攻撃をより広くする同じく聖木で出来た広域の弓を

ミューはオートガードつきの黒鉄製のロングソードを選んだ

それぞれ金貨10枚の高級品だ


「ほんとにいただいていいんですか?」


「いいってことよ」

「わしの気持ちじゃ、ぜひ受け取ってくれ」


「ありがとうございます!」

三人はしっかりと頭を下げた


ここでゴッドンとは別れる

去り際にゴッドンは

「ドワーフの国に来ることがあれば訪ねてくれ」

と言って集落の中へと消えた


リザードマンの集落は集落という割には広く

岩石地帯すべてが領地だそうだ

広い広い領内を見て回る

リザードマンの姿は想像していた姿と異なっていた

てっきりトカゲが二足歩行している姿だと思っていたが

ヒュームにうろことトカゲのしっぽをつけたような姿だった

目つきは蛇のようで、うろこは肩口から背中、腕、足に生えており、顔と腹にはうろこはなかった

ちゃんと髪の毛も生えている

それと、リザードマンはなぜか露出の多い服を着ている

女性に至っては水着を着ているみたいだった


「とりあえず、ギルドに行ってみよっか」

「宿はあとで探そう」


「あ、でしたら私が探してきます」


「そう?じゃぁ頼むよリモット」


ここでも妖精族は珍しいらしく注目が集まってきている

早くギルドに入りたかった


リモットと別れ、ギルドに入った

ミューを椅子に座らせて待たせておく


依頼ボードを眺めて討伐依頼などを確認していく

中には護衛依頼などもあるが、別の街へ行かないといけないのでこれは却下だ

あとは、討伐や集落への資材搬入手伝い、採掘の手伝いなど


採掘の手伝いは報酬が鉱石かお金か選べるのかぁ

少し面白そうだけど、採掘技術なんて持ってないしなぁ

ならやっぱり討伐かな

資材搬入みたいな力仕事は無理だ


討伐にはこの辺りに出没するロックタートルやロックバード、コカトリスなどの危険な魔物まであった

コカトリスはCランク以上なのでどっちにしろ受けれないが


う~ん、ロックバード、報酬はなかなかだ

ロックタートルは山道にいたやつだね

よし、ロックバードの方を受けてみよう

なにかスキルが手に入るかもしれないし


ロックバード討伐の依頼をはがすと、受付に持っていった


「すいません」


「ん?なに?」


不機嫌そうな受付嬢

巻角を頭に生やし、ダルそうな目を向けてくる

パーンという亜人族だ


「あの、依頼を受けたいんですけど」


「そう、私は受付のアッチェマイン、あんたは?」


「シェイナです」


「ふ~ん」

「紙貸して」


分捕るように依頼をとると、ギルドカードを確認し、ハンコを押した


「はい、まぁ死なないようにがんばって」


始終だるそうなアッチェマインはため息をついてまた受付に座った


な、なんだこの受付の人...

あまりにもほかの受付と差が

まぁちゃんと仕事はしてるみたいだから、いいの、かな?


もやもやしていると、リモットが戻って来た


「シェイナさん、宿、取っておきました」


「ありがとうリモット」

「僕も今依頼受けたとこ」

「明日行けばいいみたいだから今日はもうやすもっか」


「えぇ、おなかがすきました」


「私も~」


「ご飯作ってもらってますよ」

「もちろんシェイナさんは野菜のみにしてもらってます」


「おお~さすがリモット、気が利くね~」


リモットは照れた


宿に着く

宿は岩のレンガを組んだ石造りで、かなり丈夫そうだった

宿をやっているのはリザードマンの人のよさそうなおじさんだった


「お、うさぎの嬢ちゃん、ご飯三人分できてるよ」


「ありがとうございます」

「早速いただきますね」


席に着くと、すぐに料理が運ばれてきた

運んできたのはリザードマンの少女

無口なようで、無言で料理を置いて行った

主人の娘らしい


料理はこの辺りの特産で、コカトリスを使った焼き鳥のようなものだ

僕は同じく特産であるサニーキュルスというきゅうりににた野菜のピクルスをのっけたサラダだ


ミューがすぐに焼き鳥をほおばる


「うわぁ~ジュワジュワだよ~これ~」

「幸せ~」

恐らく肉汁があふれてくると言いたいのだろう


「あ、すごいですこれ、とってもおいしいです」

リモットも頬が緩んでいる

ほっぺたが落ちるという表現が正しいほどに


「いただきます」

僕もピクルスを口に入れた


「うま!」

酸味が程よく、カリコリとした触感が口ではじけた

そのピクルスをつけたお酢なのか、下のサラダにものすごく合う


食事を終えると、宿の二階にある部屋に向かう

結構大きい宿なので、四人部屋をあてがってくれた

それから三人は宿にあるお風呂に入った

この辺りでは温泉も有名らしく、なんと宿に温泉があったのだ

これはもう入るしかない


三人で体を洗った後、ゆっくりとつかる

このまま寝てしまいそうだ

回りにも同じように口元を緩めてつかっている女性たちがいる

温泉でくつろいだ後、部屋に戻り、就寝した

明日は討伐、しっかりと疲れをとるように深く深く眠った

私、変な潔癖があって、温泉とか銭湯とか人の入った後のお風呂に入れないんですよね

ちなみに家族が入った後のも入れません

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