7 世界を見て回ろう リザードマンの国1
リモットを仲間に加え、エルフの国を旅立つ三人
その前にギルドに立ち寄っていた
貢献が認められ、三人はそれぞれランクアップしたからだ
シェイナとミューはランクEに、リモットはランクDに上がった
これで討伐依頼とか増えるな
まぁまだそんなに強い魔物とは戦えないみたいだけど
「はい~、これで~ランクアップは~完了~です」
「これからも~、頑張って~ランクを上げて~くださいね~です」
手を振るリエラにお礼を言ってギルドを出た
「さて、次はどこに行こうかな」
「リモットは何かあてはない?」
「そうですね~」
「あ、ここから北に行った岩石群のある土地にリザードマンの集落があるって聞きました」
「そこに向かってはどうでしょう」
リザードマン...
トカゲみたいな種族かな?
「よし、行ってみよっか」
「そこってギルドはあるの?」
「ええ、数年前にできたそうですよ」
「以前は閉鎖的だったのですが、族長が変わってからは開放的になり」
「今では様々な種族の方が往来しているそうです」
「ほおほお」
「うん、早速出発しよう」
「道ってわかる?」
「あ、すいません、そこまでは」
「そっか、じゃぁちょっと待ってて」
シェイナはリモットとミューをその場に待たせると、少し離れた広場へ歩いて行った
そして、背中の羽を一気に伸ばす
美しく輝く羽に見とれるリモット
ルーノリアに入ろうとしていたエルフたちも一斉にシェイナを見た
見られまくって恥ずかしいけど、飛べば関係ないか
よっと!
羽を羽ばたかせ、空高く飛んでいく
鱗粉がキラキラと雪のように降る
「その鱗粉に触れないでね~!」
「毒だから~!」
下にいる者に注意を呼びかけ、さらに高く飛んだ
羽を動かしホバリングしながら周りを見渡す
北っていってたな
あっちか
うーーーん
お、おっきい岩見っけ
道は~...
街道があるっぽいな
川沿い
よし、川沿いの街道をまっすぐだ
未知の確認が終わり、地上に降り立つ
回りで拍手が起こった
めちゃくちゃ恥ずかしい
リモットとミューを連れて急いで先ほど確認した街道へと走った
これだけ人がいるんだから聞けばよかった
空を飛びた過ぎて判断が鈍ってたなぁ
街道にはちらほら多種族の旅人や冒険者とみられる者が歩いている
距離はまぁまぁ有りそうだった
小さいが、山道を行くからだ
恐らく二日ほどかかるだろう
「まぁ、急ぐ旅じゃないし、ゆっくりいこっか」
「うん!」
「はい」
街道はあまり舗装されておらず、歩きにくい
「ねーねーシェイナちゃん、疲れたよ~」
「休憩しよ~よ~」
「しょうがないな~」
「じゃぁちょっと休憩しよっか」
「お昼でも食べよう」
街道からそれて河原へ行くと、簡易式のキャンプを設置した
石を重ねて火を囲んだだけの簡単なもの
ルーノリアで買った食料で料理を始める
干し肉と野菜をゆでて塩とスパイスで味付けしただけの簡単なスープだ
これはリモットとミューのため
シェイナは生の野菜をかじった
どうも火を通したものより生で食べたほうがおなかの調子もいいのだ
パリパリと野菜の葉っぱをおいしそうに食べるシェイナ
リモットとミューもスープをおいしそうにすすっている
水分を吸い、戻った干し肉は程よい硬さになっている
それに貪りつくミュー
口の端から干し肉に絡みついていたスープがこぼれる
「ミューこぼれてるから、落ち着いて食べなよ」
「あ、うん」
「ムシャムシャ」
だめだ、夢中で聞いてないなこれ
口いっぱいにほおばったのを一気に飲み下そうとしたのか
ミューはのどを詰め、苦しんでいる
「おわ、水水!」
リモットが水筒から水をコップに注ぎ、ミューに渡す
「んぐ、んぐ、ぷへぇ」
「し、死ぬかと思った」
「こんな変な死に方しないでね」
「なんて報告したらいいかわかんないから」
「えへへ~、ごめんごめん」
あっという間にご飯を食べ終わると、火を川から汲んだ水で消し
石を崩して再び出発した
山まであと少しというところで先の街道から悲鳴が聞こえた
人が何かに襲われているようだった
「行くよ!リモット、ミュー!」
「うん!」
「はい!」
走って駆け付けると、首が二つの狼のような魔物が行商人らしき男を襲っていた
「ひぃい!た、助けてくれ!」
魔物の情報を確認する
オルトロス
二首の犬型魔物
正確は極めて獰猛
口から履く火に注意
数は10匹
「リモット!」
「はい!」
「ラピットショット!」
次々と矢をつがい、放つ
当たったが浅くしか刺さらなかった
「アイシクル!」
シェイナの魔法がオルトロスの群れの一部に炸裂した
が、それを数匹が避けた
「疾風!」
ミューのスピードがアップする
「雷撃一閃!」
オルトロスの後ろに回り込むと、太刀筋の全く見えない攻撃を加える
まるで反応できずにオルトロス二匹が真っ二つになった
「フレイムボルト!」
スパークとフレイムを合成した魔法
フレイムを避けても地面で炸裂した魔法がオルトロスを襲った
感電し、燃え上がるオルトロス
これでさらに三体撃破
残り五体
「シューティングスター!」
リモットの広範囲を射止める矢がオルトロスに襲い掛かった
それで、オルトロスは全滅
倒れていた商人を起こし、ヒールをかけた
幸いけがは大したことない
「おお、助かりました」
「冒険者の方ですか?」
「はい、僕はシェイナ」
「私はミューだよ」
「私はリモットと申します」
「わたくし、行商人をやっとりますゴッドンです」
ゴッドンと名乗る商人はドワーフという種族だった
「いやぁ、お強いんですな」
ゴッドンは三人をじろじろと眺める
「あのぉ、よければ、報酬を払うのでリザードマンの集落まで護衛をしていただけないかの?」
「いいですよ」
「一緒に行きましょう」
行商人なら顔を売っても損はないはず
そんなことを思いながら引き受けた
結果、それは正解となるのだが...
一行はゴッドン商人を護衛しつつ、リザードマンの集落へと歩き始めた
新天地行ってきます