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6 世界を見て回ろう エルフの国6

 黒いゴブリンを討伐してから数日後、魔王から調査隊も派遣され

エルフの調査隊とともにその死体の回収作業が始まっていた


調査隊リーダーは幼女のような二人

一人はイヌ耳に黒髪のストレート、人懐っこい顔

もう一人は猫耳に白い毛並みのツインテールをリボンでくくる冷たそうな顔

魔王軍キードット配下のコニアンとニューミャ

クーシーとケットシーのコンビだ

いつも一緒にいるこの二人は幼女のように見えて立派な成体である


「ほら、とっとと死体回収するです」

ケットシーのニューミャが急かす


「みなさ~ん、残さずお願いしますね~」

「頑張った方にはあとでご褒美ですよ~」

尻尾を振りながら激励するクーシーのコニアン


死体はバラバラでところどころ焦げていた

目のいいニューミャが確認しながら選定し

鼻のいいコニアンが確認しながら回収させる

これによって間違いをなくす


全ての黒いゴブリンの破片が回収されると

他のゴブリンの死体を狐耳にふさふさ尻尾の目が細い少女が焼き尽くした

狐火という種族スキルを使いこなす飯綱いずなの少女ナズミだ

狐火は火をつけたものを焼き尽くすまで燃え続ける

数分であたりは炭だらけになった


「火葬~終わったよ~」


この三人は歳も近いからか仲がいい

役割が違うため、ナズミが同じ仕事に就くことは少ないが

魔王国ではいつも一緒にいる


「じゃぁ、死体持って帰るです」

「コニアン、扉、開いて」


「あ~い、それ!」


なぜかポーズを決めて魔王国へ扉を開いた


「じゃぁ~皆さん、あとは追って情報開示しますね~」

フリフリと手をふるナズミ

後に残ったギルドの調査隊のヒュームたち


「俺、ナズナちゃんな」


「俺はコニアンちゃん」


「僕は断然ニューミャちゃんです」


それぞれ推しメンとなった少女の名前をあげる

この調査の間、三人はアイドル扱いだった



エルフの国周辺では調査隊の一員、ヤタガラスのミクリが上空から異変を探していた

しかし、特に何の異変も見つけられない

静かで、平和な森がそこには広がっていた

視力が人間でいう10.0ほどあるため、見逃すことはない


上空からは何も見つからないな

警戒するに越したことはないが、仕方ない、これだけ探しても何もないのだからな


ミクリはそのまま扉を上空に開くと一気にくぐって魔王国へ戻った



――――――――――――――――


エルフの国ルーノリアの療養所


リモットは全快していた


「シェイナさん、ミューさんありがとうございました」

「あまりお役に立てなかったのに報酬までいただいて」


「何言ってるの、リモットさんのおかげで僕たち迷わずに洞窟内を歩けたんだから」


「本当は、命を助けていただいたのに、報酬をいただくなんておこがましいかと」

耳を垂れ下げ、暗い顔をする


「だから~、僕たちだってリモットさんに助けてもらったんだからおあいこなの!」

「いいの!これで!」


ここまで強く言っておかないと本当に報酬を受け取らない気がしてきた


「は、はい、ありがとうございます」


「じゃぁ、僕たちはまた旅に出るね」

「またどこかで会えるといいね」


「...」

リモットは何かを考えている


「あ、あの」


「ん?」


「もし、もしもですよ」

「お邪魔でなければ、あの、私も、ついて行っていいでしょうか?」


それは、必死に絞り出した願いだった

シェイナたちにとってもレンジャー職を持つ彼女が一緒にいてくれるのはうれしい

しかし、この前のように危険がある旅だ


「僕たちについてくるってことは、あの黒い魔物と遭遇しやすいってことになるよ?」

「それこそ本当に死ぬかもしれない」


目を伏せ、考えるリモット

答えはすでに出ている。覚悟を決めて顔をあげた


「大丈夫です。この前のようにやられたと思ったら捨て置いてくれて構いません」

「ですから」


覚悟は本物

決して軽はずみで言ってはいない


「なんで、僕たちについて行きたいの?」

「もっと安全で僕たちより強い冒険者はいっぱいいるでしょ?」


「わ、私...」

「お二人が何か強い使命をもって旅しているの、わかります」

「だから、命を助けていただいたお二人に恩返しがしたいんです」

「この命、お二人のためなら惜しくはありません!」


「そんなこと、言ってほしくないな」


脳裏に浮かぶは自分を守って死んだ前世の家族や友人たち


「リモットさんの覚悟はわかったよ」

「でも、命ってのは軽はずみにかけていいものじゃないんだ」

「だから、そんなこと、言わないでよ」

シェイナは守護者としての決意を固める


「だから、僕が絶対に死なせない」

「僕は、守護者だからね」


「え?」

リモットが目を丸くする


そりゃ寝耳に水だろうなぁ

まさか守護者と勇者と一緒にクエスト行ってたなんて思わないもん


「私はね、勇者なの」

ミューが発言してさらに驚いた


「あ、う、も」


「も?」


「申し訳ありません!」

「そのような方々だったとは!」

「出過ぎた真似をいたしました!」


「ちょ、声おっきい」

「しー!しー!」


慌てて止めに入るシェイナ


「で、まだ僕たちと一緒に行く気はある?」


「は、はい!」

「お役に立てるかどうかはわかりませんが、必ずお役に立って見せます!」


目がキラキラしている

まるでヒーローを見るがごとくだった


やったねシェイナちゃん、仲間が増えるよ

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