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6 世界を見て回ろう エルフの国3

 翌朝、さっそく次の依頼を探しに行くことにした

朝食はティモリアさんが用意してくれたこんがりトーストと、サラダ、スープのセットだった

トーストならこの体も受け付けてくれるみたいだ

たっぷりと塗られたベリー系の甘酸っぱいジャムに舌鼓


食べ終えると、ティモリアさんに行ってきますと言って出かけた

今日は討伐系の依頼があれば受けたい

でも、Fランクだと討伐系はないかもしれない

だから、一つ上のランクのものを受けたい

そこで問題が出てくる

一つ上のランクを受けるにはEランクになるか、自分より上のランクのものに同行してもらうしかない

なるべく死人を減らすためらしい


 とりあえずギルドに着くと、Eランクの依頼を見てみた

Eランクだけあって、自分たちでも倒せそうな魔物の討伐依頼が数件ある

問題はどうやって受けるかだ

とりあえず受付に相談しに行ってみた


「どうもー、シェイナさん、一日ぶりですね~です」

「何かご用ですか~?」

元気な受付嬢リエルはあいさつした


「はい、Eランクの依頼を受けたいんですが、同行できる方を紹介してもらえませんか?」


「はいは~い、ではそちらでおかけになってお待ちくださ~い、です」


椅子に座って待つ

椅子は高いため、背の低い僕は足をプラプラさせた

回りの人がこっちを見て微笑んでいる

うわ、見られた、恥ずかしい

ミューは進化して背が伸びたため椅子にもしっかり座れている

いいなぁ、僕も背が高くなりたい


そんなことを思っていると、リエルが呼んだ


「シェイナさ~ん、お待たせいたしました~です」


「はい、どうです?」


「Eランクの依頼ですよね~?」


「ええ」


「ちょうど、同行者を探してる方がいたので~、ブッキングしておきました~です」

「依頼内容は~、ゴブリンの討伐~です」

「同行者の方は~、あ、あちらにいます~です」

「お~い、リモットさ~ん」


リモットと呼ばれてやって来たのはウサギ耳の獣人族の女性だった

丈夫そうな皮の鎧に短めのグラディウス、背中には小弓と矢が入った胡祿やなぐい

いかにも軽戦士といったいで立ちだ


「はぁああううう、お呼び、ですか?」


「同行者の方見つかりましたよ~です」


「あわわわわわ、どどど、どこですか?」


「目の前にいますよ~です」

「こちらのお二人が~、同行者~です」


僕たちを指すリエル


「あああああの、わわわ私、リモット・ハイドライトと申します」


挙動がおどおどしすぎている

妖精を見慣れないからなのか、もともとこういうオドオドした性格なのか

恐らく後者だろう


「どうも、僕はシェイナです」


「私はミューロラルだよ!」

「ミューって呼んでね」


「はっ、はい、シェイナさんにミューさんですね」

「よ、よろしくお願いします」


とりあえず、連携の取り方や報酬の配分などを決めるために三人で話し合うことにした


「僕は一応中位までの魔法は使えるよ」

「あ、あとは妖精魔法かな」

「近接はちょっと苦手かも」


「私は、剣が得意だよ」

ミューは腰に下げるレイピアとグラディウスを指す

ミューはスキルによって使う武器を分けているのだ


「わ、私は、弓術が、得意です」

「近づかれたら、この短めのグラディウスで斬る、といった感じ、です」

「でも、剣はあまり得意じゃなくて、あの、すいません」


「じゃぁ、ミューが前衛、リモットさんが中衛、僕が後衛かな」


「そ、そうですね」

「それがベストだと思います」


同意してくれたリモット

三人は準備を整え次第出発することにした


ちなみに、報酬は僕とミューで半分、残り半分をリモットさんにわけることにした

三等分してくださいとリモットには言われたが、そもそも僕らはお金に困っていないので

二人で半分だけもらうことにした(ほんとは全部あげようとしたけどかたくなに拒否された)


さっそく準備(主に食料品の買い込み)を済ませると、リモットと入り口で合流し

ゴブリンが大量発生している西の洞窟へと向かった

ゴブリンはヒュームよりも弱い魔物だが、知能が高く、罠を作る程度のことができる

だから、洞窟内では職業、軽戦士兼レンジャーを持っているリモットに先行してもらうことにした

レンジャー職にはその専用スキルである罠探知や、解除などのスキルがある

そのほかにもその職専用スキルは職ごとに多数ある

シェイナとミューのように守護者と勇者といった特殊な職業は少ないが

大概の冒険者が複数職を持っていたりする


さらに、組み合わせによっては新しい職が派生することもある

例えば、剣士とシールダーという職でアタックシールダーという剣と盾による攻撃方法を持つ前衛職に派生したり

レンジャーとダガーで盗賊、といった感じだ


ちなみに、職業適性はギルドに行けばどこででも見てもらえる


そんなこんなで洞窟までたどり着いた三人

作戦通りリモットが前衛として最初に潜った

洞窟内は意外と広く、光るキノコがそこかしこにあるので松明をつけなくても明るかった


探索がてら、有益そうな植物がないかみる

あれば食べてスキルか魔法を手に入れたい

が、ただのキノコや、毒キノコばかりで特に変わったものはなかった


「ねぇ、リモットさんはなんで冒険者になろうと思ったの?」


「ひゃえ!わ、わたしですか!?」


「うん」


「あ、あの、大した理由はない、です」

「わ、私、ヒュームの奴隷、だったんです」


衝撃の発言だった

なぜ多人種を見下すエルフの国にいたのか少しわかった気がする

エルフの国ルーノリアはヒュームの国にほど近い

前王ダーストンが亡くなってからデュルク王へと変わり、奴隷制度が廃止されたため

自由になった奴隷は国に帰ったり、行き場のないものは周辺国へ身を寄せた

リモットもその一人だというわけだ


「私、数年前にヒュームに捕まって、それ以来ずっと、奴隷として暮らしてきました」

「とても、怖くて、つらくて、何度も死にたい、そう思ってたけど」

「一緒に捕まった友達が、頑張ろう、一緒にここを抜け出そうって励ましてくれてたので」

「ずっと耐えてこれました」

「ですが、奴隷制度廃止のたった数週間前、友達は、ミヌエは」

「鞭で打たれた傷から黴菌ばいきんが入って、あっさり死んでしまいました」


涙を流し、泣き始めるリモット

あのおどおどした挙動も、奴隷だったころの名残なのだろう


「ご、ごめんなさい、変なこと聞いて」


「いえ、いいんです」

「私は、彼女の分まで生き抜くと決めましたから」

「冒険をして、彼女と一緒に世界中を回るんです」

彼女と言って提示したのは木彫りの無骨なペンダントだった


「これは、ミヌエの形見なんです」

「ミヌエが、私に作ってプレゼントしてくれたんです」

「だから、このペンダントが、ミヌエの代わりです」


強い人だと思った

彼女は必死に生きぬこうともがいている

尊敬できる人だ

そう、シェイナは思った


ちなみに、ミューはそれを聞いて号泣していた


サブタイトルを変えるべきかな?

しばらくエルフの国から動きそうもないので

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