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5 闇の侵攻6

今回過激な表現がありますので閲覧注意

 鬼人族の国、キガシマの周囲では魔王軍の水域戦部隊が守りを固めていた

ウンディーネのウェニー率いる部隊と、マーメイドのシーナ率いる部隊だ

ウェニーの部隊は水魔法に長け、水に溶け込み姿を隠せる様々な水精霊が混在しており

シーナの部隊は水生種族の混合部隊

誰も枯れも水辺での戦いを得意としていた


周囲を取り囲み、チマチマと攻撃を仕掛けてきていたヒュームの船団はみるみる数を減らしていく

ある船は舟艇に穴を開けられ沈み

またある船は霧によって行く手を遮られ、岩礁に乗り上げたところを襲われた

いくら数が多いとはいえ、水辺での戦いを得意とする種族の連携によってヒュームは撤退を余儀なくされた


 ついに、キガシマからヒュームは撤退した

鬼人族、魔王軍は勝利ののろしを上げた


波打ち際まで出てきたハクラ姫は逃げ行くヒュームを見つめる


「・・・」


「姫様、捕らえた捕虜はいかがいたしましょう?」


「ふむ、尋問して情報を引き出せ」

「ある程度情報が出たら逃がしてやれ」


「放してよろしいのですか?」


「よい」

「彼らもやりたくてやったわけではないのは分かっている」


力の差はあったとはいえ、ヒュームにもこちらにも被害は多少なり出ている

痛み分けといったところだろう


「これにこりて、またよい関係を築ければよいな・・・」

「いや、今の愚王では、無理であろうな」


そのまま海岸を去ろうとしたその時

ハクラ姫は、水中から現れた謎の巨大な手に絡め捕られた


「姫様!」


あわててキリサメがその手を斬る

しかし、まるで水を切ったかのような手応え

その手はハクラ姫を水中に引きずり込み、攫って行ってしまった


キリサメは激しく動揺した

すぐに魔王の配下であるウェニーのもとへ行くと、ハクラ姫が攫われたことを話した


「姫様が攫われた」

「私のせいだ!」

「私がもっと周囲を警戒していれば!」


「どうか、気を確かに」

「まず、わたし共の部隊を捜索に向かわせます」

「発見次第奪還に移ります」

「シーナさん」


「えぇ、わたくしの部隊もすでに向かわせました」

「ウェニーさん、わたくし達も向かいますわよ」


「えぇ」


 ウェニーは体を水に変えるとシーナを体に取り込んだ

そこから流れるように、いや、まさに流れながら海岸へと向かった


 海岸に着くとすぐに海へ飛び込み、捜索を開始した

水中での目が効くマーメイドたちは遥か先に巨大な腕を発見した

その手に捕まれ、意識を失っているハクラ姫、口からはコポコポと空気が漏れている

息ができず、そのまま気絶したようだ

ハクラ姫をつかんでいるのは腕だけ

見たことのないモノだった

それがそういった種族なのか、魔物なのか、魔法なのか、スキルなのか

まったくわからない


 恐ろしいほどのスピード

マーメイドのスピードですらなかなか追いつけない

そこにウンディーネの力が加わってようやく追えている状態だ


まもなくヒュームの領海に入る

ハクラ姫までの距離はあと数メートル

追いつく

手を伸ばすシーナ

ハクラの腕を、掴んだ!


掴んだ直後に海上から網が投げ込まれ

ハクラ姫ともどもマーメイドたちは捕まった


ヒュームは罠を張っていた

マーメイドたちをも捕えるために

マーメイドの援軍が来たのを聞いた愚王は欲しいと言った

マーメイドをとらえて連れて来いと

だから宰相、ソロストイは罠を考案した

わざとヒューム軍を敗退させ、油断したところをソロストイの魔法生物でハクラを攫う

攫われたなら当然追手が来る

追手は水中移動速度で並ぶものがいないマーメイドが必ず来る

そこを網でとらえるといった寸法だ


作戦は驚くほどうまくいった

ヒュームの愚王はハクラ姫とマーメイド十数名を手に入れた


その訃報はすぐに魔王のもとへと伝えられる


「もう、許せない」


魔王サクラは怒っていた


「私の、私の大切な」


魔王城が揺れ始める


「私の、私の可愛い民を」


街が揺れ始める


「もう、許しては置けない」

「私が、行きます」


魔王自らの出陣

もはや、ヒュームの国に未来はなかった



――――――――――――


 ヒュームの国、グランドル


城では満足げに愚王ダーストンが裸に剥かれたハクラ姫を眺めていた


「ほぉ、これは美しい」

「観賞用には最適じゃのぉ」


「ふん、お前のような愚王に見られようと何とも思わぬわ」


そうハクラ姫が吠えた瞬間、付けられた隷属の首輪から痛みを伴う呪いが放たれた


「あぐぁああああ!」


想像を絶する痛み


「わしに逆らえば首輪から呪いが発せられるぞ」

「死にはせんが、死んだ方がましだと思うようになる」


グフフといやらしく笑うダーストン


巨大な金魚鉢のようなものに入れられたマーメイドたちはゾッとした

自分たちにも同じものがつけられている


「こ、この程度、どうということはない」

「わらわをこんなもので、支配できると、おもうな、よ」


また呪いが流れた


「ぐああああああああああああ!!」


先ほどよりも長い

ダーストンが持つスイッチのようなもの

それを押すことで発動するようだ


「ああああ、ぐがぁあああ!!」


失禁するハクラ姫

それでも呪いを流し続けるダーストン

やがて、ハクラ姫は痙攣し、白目をむき、泡を吹きながら失神した


「ふん、絶世の美貌もこうしてみれば汚いものよのぉ」

「おい、牢に閉じ込めておけ」


ダーストンに言われた奴隷の一人はおどおどおびえながらボロボロになったハクラ姫を連れて行った

もちろん、逆らえば次は自分がこうなる

哀れに思いながらも獣人の奴隷はハクラ姫を牢へと転がした

完全に気を失っている

時折呻き、体が痙攣していることでかろうじて生きているのがわかった


「さて、次はマーメイドで遊ぶとするかのぉ」


狂気に満ちた目を向けられマーメイドたちはただ自分の身に降りかかる不幸におびえるしかなかった

正直お気に入りのキャラを痛めつけるのはなんか複雑な感じが...

でも、最低な王を表現したいので...

あ、ウンディーネたちは水みたいなものなので逃げれてます

まぁ次回その様子も一緒にね

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