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5 闇の侵攻3

 魔王の部屋では魔王サクラと将軍ペーヨード、そしてアドライトがいた


ペーヨード・アーティノルト、主に戦闘に関する機関を受け持つ

将軍と言われているが、本人は戦闘が苦手で、ほかにやるものがいないからという理由で

仕方なく将軍職に就いている

しかし、戦闘が苦手と言いながら

その強さは魔王城の中でもトップクラスという矛盾だらけの男

種族は精霊族、その中でも高位の存在だった


 三人はヒュームの行動について話している

アドライトはキムタムから受けた報告をもとに友好的なヒュームをこちらに引き込む

という作戦を実行していた

もちろん、スパイを引き込むと言った危険がないように慎重にだ


ペーヨードはもちろん、様々な種族を攻め、戦争を仕掛けているヒュームの対策についてだ


今回話しているのは

亜人種を毛嫌いする王と違ってわけ隔てない王子の存在に興味があるといった内容

それと、考えの破たんしている王の政策を見事に回している宰相について


「キムタムはすでに自分の体の一部を犠牲に聖女を引き込むことに成功しました」

「恐らく今、ヒュームの捜索が始まっていると思われます」


顔を赤くし、うっとりとした顔で魔王を見つめながら話すアドライト


「そうですか、では、キムタムさんには私からお礼を言わなくては」

「それと、ヒュームの王子ですか...」

「彼の動きをしっかり捕らえておいてください」

「ペーヨードさん」


「はい」


ペーヨードは全く表情を変えない

顔は変わらないが、その内心は魔王のかわいらしさにやきもきしていた

内心

ひゃぁああ魔王様可愛い!

抱き着いて頭なでなでしたい!

とか思っているが、表情に出ないので

魔王はその危険な男の手の届く距離まで近寄っている


あああああああああああ触りたい!

部屋に連れ帰りたい!

と思っているが絶対に態度に出さない

出せばアドライトに、いや、全幹部が総力を挙げて殺しにかかるから


「ヒュームが鬼人族の国を狙っているとのことですが」


「ええ、どうやらヒュームの王は鬼人族の姫に目を付けたらしく」

「その美しさは各国に轟いてますから」

「なんせ、鬼人族の中でも希少種の白鬼ですからね」


「こちらから鬼人族との同盟を結び、下手に手を出せないようにしようと思ってます」

「使者の派遣は可能ですか?」


「そうですね、ゴート様の配下に鬼人族がいたはずです」

「彼と、私の方からも何人か連れていかせましょう」


「ゴートさんのところの、アマツユさんですね」


「彼はもともと鬼人族の姫の御付だったはずです」

「同盟は恐らくうまくいくでしょう」

「アマツユが戻り次第使者として彼を送ります」


「ええ、お願いしますね」


会議は終わった

出ていこうとするアドライトを魔王は引き留めた


「待ってくださいアドライトさん」


「ななななななんでしょう!!」

食い気味に魔王に振り返り、手をいきなり握った


「コープライさんはどうしてます?」

「ドライアドさんたちと同盟を組むために向かったと聞きましたが」


ぽーっと魔王の顔を見続けるアドライト


「アドライトさん?」


「あ、はい!」

出ていたよだれをふき取る


「コープライは到着したようですが、ドライアドの姿が見えないとのことです」

「恐らく、安全な森に移動した、と考えたいのですが」

「森の木々が枯れていたそうなので、最悪の場合、ヒュームに攫われた可能性はあります」


それを聞いた途端、魔王の顔は曇った


「こ、コープライに引き続き捜索させてますので発見は容易かと」

「あの子はあれで優秀ですので」


「わかりました、一刻も早く見つけてあげてください」

「もし、囚われているのなら報告をお願いしますね」


「はい!」


アドライトは魔王の手をギュッとにぎり、頭を下げた




―――――――――――――


シェイナは森の上空をテュポルを抱えて飛んでいた

テュポルが藪蛇をつついてしまったからだ


その日の朝、川に水くみに行っていたのだが、なぜかテュポルが走ってこちらに来た

水を汲みに行って来いと言ったのはテュポルなのになぜこちらに来たのか不思議だった

しかし、その後ろを見てわかった

何かに追われている

三つ首にトカゲのような顔、下位の竜種トライヘッドジュム

下位の竜種と言ってもテュポルでも勝てるかどうかという相手だ

だから、逃げてきた


「なんであんなのに追われてたんですか?」

僕は聞いてみた


「うむ、薪集めをしていてな」

「木だと思って拾おうとしたら奴の尻尾だったんだ」


「あぁ、そうですか」


 数週間付き合って分かったが、この人はしっかりしているように見えてものすごく天然だ

何もないとこでつまづく

ぼーっとしてることが多い(何か考えていると思ったが寝てただけだった)

魔法を僕に向かって間違って撃つ(地味に痛い)

それだけならまだかわいい

料理で塩と毒物を間違える。いや、むしろ毒物を食材にしていた(幸い僕に毒は効かなかったが、テュポルさんは腹を壊した)

なぜか魔物と僕の間に立って魔法の直撃を受け死にかける(すぐに治癒魔法をかけて事なきを得る)

等々、挙げればきりがない

もはやわざとやっているのかと思ったが、僕の魔法で死にかける意味がない


そのたびに誤ってくれるのだが、土下座が手慣れすぎている

おそらく、いつもそんなことをやらかしているんだろう

あぁ、早くミューに会いたい...


――――――――――――――


その頃ミューは、アマツユとの修行が一段落していた

剣の達人でもあるアマツユの動きについてきている

攻撃こそ当てられないものの、アマツユのスキルを手に入れ、ものにしてきていた


「いい動きだ」

「故郷の奴らにも見せてやりたいな」


「ありがとう!アマツユさん!」

「アマツユさんの故郷って?」


「鬼人族の国、キガシマだ」

「離島でな、姫様が治めている」


「姫様?」

「エルフさんたちがいたとこみたいな女王様?」


「そうだな、そう思って間違いない」

「姫様は全身が雪のように白い美しい姫でな雪花と称されることもある」


「へぇ~会ってみたいなぁ」


「いつか、合うかもしれん」

「同盟を組む案が出ているらしいからな」


「おお~、同盟?」


「子供のお前にはまだわからんか」

「手を組む、仲間になるってことだ」


「へぇ~、魔王様ってみんなと友達になりたいんだね」


「そうだな、魔王様は世界中が友達になる世界を目指しているんだ」


アマツユは拾われた当時を思い出し、改めて魔王に仕える幸せをかみしめた


姫様には感謝しなくては

恩義に報いるためとはいえ、側近を離れる俺を快く許してくれたのだから

アマツユは遠い故郷に住まう美しい姫に感謝をこめて軽く頭を下げた

その様子をミューは不思議そうに眺めていた

鬼人は戦闘種族です

どっかの先頭民族とはちょっと違って、主人のために戦う感じです

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