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1 方針を決めよう1

 起きた

まぁ芋虫な自分はもう少し寝ててもいい気がする

でもこれからどうするかを決めるという点では早起きもいいかもしれない

早起きは三文の得?だったかな?


うーむ、しかし、何をしよう

食っちゃ寝してるだけじゃただ老いて死ぬ?

老いる、この体の寿命ってどれくらいかな?


よし、まずは僕自身の体を調べよう

何ができるか何ができないか

それがわかるだけでもだいぶ違う、と思う


えーっとコマンド、みる


自分の種族名を見てみる


ユグドラシルワーム


ふむふむ、説明書きに変わりはないね

このワームってのを見てみるかな


ワーム

大量数存在する虫

蝶になるものもいれば甲虫になるものもいる

そのままただの芋虫として生涯を終えるものもいる

弱い


またかよ!弱い弱いうっさい!

しかも寿命とか書いてない!

やくたたず!


思わず自分のコマンドに当たり散らした


それにしても...ハァ、僕ってホントにただの虫なのね


ただの虫、この世界にいると思われる魔物や人間種?

はるかに格下なんだろうなぁ


ん?ユグドラシルワームの説明にごくまれに進化するものがいるって書いてある

進化...普通に考えると体が何か変化するってことなのかな?


疑問は尽きない

とりあえず今は何ができるか調べてみよう


手は、うん指なんてないから何もつかめない

こん棒でも持って戦う、なんて夢のまた夢か


脚...キモッ

うねるけど歩くのは遅い時速で言うと1キロ行かないんじゃないかなこれ

うわぁあ、鳥なんて襲ってきたら死ぬな、僕


ところで僕ってどれくらいの大きさなのかな?

葉っぱの上に乗れるってことはそれほど...

いや、世界樹ってこれ、かなり大きい気がする

上の方なんて雲がかかってるし

下なんてはるか下に緑の点々があるくらいだ

多分あの点々は普通の木?なのかも


もしそうだとしたら...人間位?でかい?

ああもう、そんなの虫じゃないじゃんか!

でも、この世界の虫ってのはこのくらいが普通なのかな?

それともそれとも、葉っぱは普通のサイズ?


考え出したらきりがない

とりあえずおなかがすいた

葉っぱ食べようっと


ムシャムシャ


...ふと思ったけど

この葉っぱ食べるとすっごい力が湧いてくる気がする


そうだ、こんな時こそみてみればいいんだ


コマンド、みる、っと


世界樹の葉


ユグドラシルの葉、世界の要たる世界樹が吸い上げた生命力を蓄えている

大地の不浄を浄化し、聖なるものへと変換する

食せば癒しの効果を持ち、食べ続けるとまれにスキルを獲得することがある

スキルは死した生命からの恩恵

死した生命は世界樹へと還るため、その生物の持っていたスキルも葉へと蓄えられる


 ぬ、これは、みのがせないぞ

スキルを獲得することができる

ふむふむ、昨日の食事高速化ってのが自分の成長で獲得できたもの

それとは違って食べるだけで獲得できるかもしれないってことか

でも...

まれに、か

なら食べ続けてみよう

もしかしたら何かいいものが獲得できるかもしれない

いつ敵に襲われるとも限らないし

強くなっておくのは悪いことじゃない


それになんか、この体、すぐおなかすくんだよなぁ

ムシャムシャ


食事高速化によってすごい速度で食べ進める

今回のスキル獲得はなし


まれにって書いてたし

すぐに手に入れられるもんじゃないか


数日後、自分のいた葉っぱを食べつくした


やば、無くなった

う~ん下に降りるにはまだ早いなぁ

獲得したスキル、一個だけだし...


ここ数日で一つだけスキルを獲得した

それは、遠目


遠目


視力強化、発動することで遠くのものを見ることができる


うん、これは有益だろう

遠くから敵を発見できるメリットは大きい

この逃げ足だと見つかってからじゃ逃げきれないもんね


と~り~あ~え~ず、上に行ってみるかな

下に行ったら鳥がいるかもしれないし


対して上は雲

それほど標高が高ければ存在できる生物はあまりいないと見越してだ


ウンショウンショとゆっくりゆっくり上り、枝を這い、枝から葉へと移る


ん?ここの葉っぱの方が緑が濃い気がする

それに、うっすら光ってる

ジュルリ、これは、おいしそう


ムシャァ、食事高速化を使わずにゆっくり食べる

口に含むとうまみ?なのか、口から吹き抜ける満足感がすごかった

幸福に包まれるとはこのことか

あぁ、吹き抜ける爽快感と多幸感


ポーン


頭に響く音


お、これは


— 成長を確認しました

— スキルを獲得します

— スキル、速度アップを獲得しました


オ...?

オオオ!

速度アップだって?!


みるみる


速度アップ


歩くスピード、走るスピードをアップします

常時発動可能


やったね!これは有益有益!

さっそく発動っと


歩いてみる


ん?んおお

人間が歩くくらいにはなってるじゃないか

うんうん、いいよいいよ

これで少しは生存確率が上がったってもんだよ

まぁでも欲を言えば攻撃できるスキルが欲しかったかなぁ

...これからゲットできるかな?

モンスターじゃない僕に...


もしかしたらただの虫たる自分にはただ生きるためのスキルししか獲得できないかもしれない

攻撃手段を持つと持たざるでは大きな差が出る

所詮持たざる者は持つ者の犠牲になるしかない


考えてもしょうがないか


そこで頭の片隅に追いやった記憶がひょっこり顔を出す


自分は、なぜ死んだのか

なぜこんなことになっているのか、だ


死んだ...実感はないが、記憶もないことだ

この問題はとりあえず置いておく

問題はなぜこんなことに?だ

今置かれている状況がどうしてもわからない

あの少女の言ってたこと

守って...世界を


そうは言われてもなぁ

ここじゃ何をすればいいかわかんないしなぁ

とりあえずここで力を、といってもつくかはわからないけど

スキルをたくさん獲得しておくに越したことはないね

そしたら、下に行こう


安直、だが、それしか思いつかない

目指すは上

行き止まれば下へ向かう

方針は決まった

まずはスキルを獲得しよう

いっぱい葉っぱを食べよう

そう思いながら再びすいてきた腹を満たすために葉っぱを食べ進める


上を見上げて遠目を発動させた

枝や幹、葉っぱの裏、もしくは雲、空、上に見えるのはそれくらい

危険はないように思えた

この時は、だ

ずっとこういうのを書きたかった

ちなみに芋虫は好きでも嫌いでもありません

触れと言われれば触れます

10万くらいくれるならね

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