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白鬼の姫武者修行中8

「心はすなわち天、天はすなわち道である」


 唐突にそう言われた

 

「貴殿に道はあるか?」


 男がそう聞く

 彼がソウコッキュウ

 仙人として仙力をどう使うか尋ねているのだろう

 

「道、わらわは…」

「私は、守られるだけじゃなく守りたい」


 それは心から思ったことだった

 以前までの自分はあまりにも弱く、周りに守られ続けていた

 それがヒュームの愚王に攫われる結果となってしまった

 だから、強くなった

 貪欲に強さだけを求めるのではなく、自分を慕ってくれる部下を、民を守るために強くなりたい


「道は貴殿の心に、ではその心意気、見せてみよ」


 突如目の前の風景が変わった

 

ここは、キガシマ?


 あたりを見れば懐かしい風景

 慣れ親しんだ道、家々、そして自分の住む城が見える

 やがて城の方から見知った顔が駆けてきた

 キリサメ、リンドウ、それに姉のクラハ、後ろにはアカネ、そしてネネコもいる


「姫!ようやく帰ってこられたのですね!」


 キリサメが喜んでいる


「ハクラ、お帰り」


 クラハが抱きしめてくる

 痛いほどに

 下ではネネコが足にすがりついでキュンキュンと鳴いている


「わらわは、帰って来たのか?」


 皆に歓迎され、その日は遅くまで宴がもようされた

 幸せ、その一言に尽きる

 自分が守りたいと思うみんながここで楽しそうに笑っている

 

そうか、平和になったんじゃな


 不思議と受け入れた

 何かがおかしいと感じながらもこの幸せをかみしめていたい


 その時突如クラハの胸元から剣の切っ先が生えた


「え?」


 訳が分からないといった表情のクラハ

 直後に血を吐き出す


「姉、様...?」


 ハクラも何が起こったのか分からない

 ゆっくりと胸元から剣が抜けていく

 クラハは即死したのか、すでに目に光はなかった

 倒れ込むクラハの後ろから真っ黒な姿の騎士が現れる

 顔は甲冑に隠れて分からない

 その黒い騎士は次にキリサメの首をはねる

 全員その場に硬直したように動かない


「キリサメ!」


 手を伸ばすが届かない

 それどころか距離が離れていく


「やめてくれ!」


 その声もむなしく全員が次々と殺されていった

 悲しみと焦燥感が襲う

 その場で泣き崩れてしまった


「その程度なのか?」


 どこかで声がした


「うるさい!わらわの!大切な…」


「ふむ、ダメか、まぁわかっていたがね」


「あああああ!!」


 ハクラが悲鳴のような声をあげる


「む!」


 周りの景色がひび割れ始めた


「ほぉ、これはこれは」


 まるでガラスがはじけ割れるように今までの景色が壊れた

 倒れた大切な者たちの死体もろとも


 気づくとハクラは元いたソウコッキュウの居場所へ座り込んでいた

 バチバチと静電気を帯びるように仙力が体に流れている


「今のは、幻術?」


 あたりを見回してようやく今までのことが現実ではないと気づいた


「貴殿の心意気、しかと見せてもらったぞ」


 倒れ行く仲間を見て、何が何でも救いたいと思った

 すると奥底から電撃が流れるような衝撃と共に力が内側から爆発した


「それがお前の仙力全て、内なる力だ」

「驚いたぞ、クラハより強いとはな」


 確かに今まで以上の力が内から内からあふれてくる


「まもなくだ」


「?どういうことじゃ?」


「次に行けば分かる」


 それだけ言うと次へ行くよう指示された


「いいか、心はすなわち天、天はすなわち道である。だ」


 どういうことなのかは分からないが心に留めておく

 

 次でいよいよ最後だ

 最後の相手はチョウカ老

 仙力を自在に扱う仙人で、八仙の中で最も強いと言われている

 


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