13 迫りくる闇の猛威6
現れた闇の面々はこちらを睨め付けるように見ている
それだけで魔王軍はひるんでいるようだ
「さぁ、戦いを始めましょうか」
「終末のための戦いを」
翼の生えた男セプテリルが笑う
その言葉を受けて闇の全員がそれぞれの得物を取り出す
本気でこちらを滅するつもりだ
セプテリルの手には一振りの剣が握られている
以前戦った時に使っていたものとは違うようだ
そんな闇たちに対峙するようにシェイナたちも構える
こちらも本気を出すためシェイナは五人の女王を召喚した
彼女たちも目の前の敵を見据え、シェイナの後に控える
戦いの火ぶたが切って落とされた
闇の軍勢と魔王軍がぶつかり合う
闇の大男、大剣を持ったセグマッドが詩季と対峙する
「貴様と会うのは初めてだな、だが俺はお前を知っているぞ」
「寧々子を殺したお前をな!」
詩季の世界を滅ぼそうとしたセグマッドはその世界でパートナーとして愛した寧々子を思い大剣をふるう
振り下ろされた大剣の重い一撃を双銃剣で受け止める
ESPによって身体能力を強化しているとは言えその衝撃が腕に響く
「っく!重!」
なんとかはじき、銃を撃つが剣の幅で受けられ届かない
一方でイアが七色に輝くロングソードを持った男に攻められている
「あなたは私を知らないでしょうね」
「あなたにはことごとく私の計画を打ち破られましたよ」
その男の名はデュオッソニウス、闇の力を注いだ魔人たちを操りイアのいた世界を滅ぼそうとした男だ
恐るべき神速をもってロングソードでイアを斬りつけていく
大小さまざまな傷を負うが、持ち前の再生能力で持ちこたえる
イアも翼を変質させて応戦した
お互いに激しく打ち合い、その力は拮抗している
ミューと戦っているのは少年の姿をした男カルテ
その手にはトンファーが握られている
「なんだよ、てんで弱いじゃん」
その言葉にムッとしたミューがその速度を上げる
途端にカルテが押され始めた
「うわわ、やるじゃんよ!」
激しい金属音があたりに響く
リモットが弓を引く相手は同じく弓を持った男クインティア
寡黙で、黙々とただ撃ち続けている
リモットもそれに対抗して光の矢を撃ち続ける
お互いに飛んでくる矢を自らの矢で撃ち落とすという高等技術を披露している
ハノラは後方で怪我人の治療にあたっていた
彼女の治癒魔法効果は絶大で、死の間際に立たされた者すら快癒させていた
激戦となった戦場
若干魔王軍が押され始めている
それもそのはずで、黒い兵や魔物たちがあとからあとから湧いて出てきているのだ
このままでは消耗し、確実に負けるだろう
魔王は困り果てていた
力たりず役に立てない自分に、そしてどんどん疲弊していく大切な部下たちを思って悩む
いざとなれば自分が彼らの盾となるつもりでいた
その時、魔王の要請を受けて各国の救援が到着した
ヒュームやドワーフやエルフ、竜人、妖怪族、ハクラとクラハ率いる鬼人、多種多様な種族
かつてこの世界の勇者、守護者たちが描いたすべての種族が手を取り合う世界
それがここにはあった
最終決戦、それが今まさに始まろうとしていた
――――――――――――
どうやら始まるみたいだ
えぇ、もうすぐ、生まれるわ
やっとだよ
僕たちの悲願が果たされる
ここまで、長かった
・・・
これが終われば、私たちの役目もおわる
ねぇ—―—―、あなたはそれでいいの?
消えちゃうのよ?私たち
いいんだ
君は?
私はずっとあなたと一緒
生まれたときからそう決めてたもの
そうか、じゃぁずっと一緒だ
これからも、ずっと
双子の創造主は再び本をのぞき込む