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白鬼の姫武者修行中7

 カセンコのいる場所は足場の悪いそそり立つ岩の柱の上

 少しバランスを崩せばそのまま数十メートル下へと落下、いくら頑丈な童子となったハクラでも死は免れないだろう

 岩柱群の中心にカセンコはいた

 悠然とこちらに向かって立っている

 

「来ましたね」


 そうつぶやいたと思ったら彼女は宙を浮いていた

 そのままスーッとこちらへ移動してくる

 あっけに取られていると、そのまま繰り出した剣に突かれそうになった


「うっ」


 間一髪でかわしたが、そのまま足を滑らせて岩柱から落ちる

 なんとか手で引っかかることができたがそこにカセンコの足が繰り出され、岩柱を掴んでいた手を踏みつけた

 

「ほらほら、落ちるわよ?」


 ぐりぐりと手を踏みにじり続ける


「ぐっあっ」


 それでもこらえ、掴んでいる右手に力を入れる

 そして腕の力で自らの体を引き上げるとそのぶりを利用して飛び上がり、ついでに蹴りをカセンコにくわえた

 しかしその蹴りは空振りに終わる


「あら、落ちなかったの?」

「いいじゃない、落としがいがあるわ」


 フフフと笑い、再び中を駆ける

 縦横無尽に出される突きにハクラは翻弄され、バランスを崩しそうになる

 踏み外しはしなかったがギリギリだ


「ほらほら、落ちちゃうわよ」

「もっと気を張りなさい、油断しない、手と足に仙力を集中!」


ん?


 何かおかしいと感じる

 剣は相変わらず繰り出されているし、合間合間に蹴りや打撃も飛んでくる

 当たれば痛いし落ちそうになるが、全く殺気は感じない

 だんだんとその攻撃に目が慣れ、剣を避け、打撃や蹴りをいなすことができるようになる

 

体が、軽い?


 カセンコの攻撃を受けるうちにハクラの仙力が刺激されていく

 ふわりふわりと岩柱から岩柱へと飛び移る

 それは正に()()移っていた

 仙力が手足に充実していくのがわかる

 浮かび上がる間隔が長くなり、やがてカセンコと同じように宙を舞い始めた


「これは?」


「いいじゃないいいじゃない」

「それよそれ、その感じよ!」


 手を叩いて喜んでいるカセンコ

 まるで妹を溺愛する姉のようだ


 修行はこれで終わりだそうだ

 宙に浮けるようになるための修行らしい

 

「思い出すわ、クラハちゃんに教えたときのこと」

「あの子もね、ハクラちゃんみたいにすぐ習得してたわ」

「これでさらにハクラを守る力がつきましたって言いながら喜んでたわ」


 それを聞いて少し恥ずかしくなる

 クラハの妹へ対する溺愛っぷりはここでも遺憾なく発揮されていたらしい


 次の仙人はソウコッキュウ、リョドウヒンとカンショウシに見いだされ力を与えられた男だ

 彼との修行は自らの道を見つけること

 つまり目的、やりたいことを見つけることだ


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