闇焦る
天使の翼の生えた男が苛立ちもあらわに机を拳で叩く
横では闇の一人であるデュオッソニウスがなだめている
「よもやこの時点で4人もの私の部下が消滅するとは!」
「完全消滅した彼らはもはや復活することはない…」
悔しいが、部下の狂乱達では主人公たちには勝てない
実力があまりにも違いすぎた
消えた4人は狂乱の中でも最も強力な力を持った4人
残ったメンバーでは最早勝ち目はなかった
セプテリルは考えた
自分たちで奴らを討つにはどうすればいいのか
恐らく自分たちと同等かそれ以上の力を持つ者たち
そこにソロストイが大丈夫と言わんばかりに肩をポンポンとたたいてきた
彼は狂乱達を呼ぶようセプテリルに言った
セプテリルに呼ばれ、闇の集まる部屋へ入る狂乱達
緊張の面持ちだ
呼ばれた理由はただ一つ
彼らに選択してもらうためだ
このまま共に来るか、それともこの世界の1住人に戻って世界と命運を共にするか
彼らは迷わず答えた
ついて行くと
もともと全員セプテリルに拾われた命
彼のために使うのならば惜しくなかった
だから、闇たちはその忠義にこたえた
自分たちの力の一部を彼らに注ぎ込む
溢れてくる力、万能感が支配していく体
「大丈夫ですか?」
セプテリルに優しく聞かれる
心配しているようだ
以前の彼ならそのようなことはなかっただろう
力をもらい、彼らはまた散った
いなくなった仲間を思い、また、セプテリルのことを思いながら…
「セプテリル様、私も、お役にたちたいです」
小さな少女、ミナがセプテリルを見上げている
その少女の頭にそっと手を置き、首を横に振る
「君は、私たちと共に歩んで後悔はないですか?」
その質問に即答する
「うん、セプテリル様のおかげで今私はここにいれるんだもの」
「だから、ずっと一緒に」
セプテリルは少女を優しく撫でる
今彼はかつての人を慈しむ心を取り戻していた
その思いはかつて彼が天使だった頃抱いていた思い
消えた世界の住人を思い出す
自分たちが守れなかった者たちを
そして、少女を眠らせる優しく少女を館のベッドに寝かせ、闇と狂乱は消えた
少女が気づいた時には誰もおらず、ミナは一人館に残されていた




