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3 冒険の始まり7

 世界のどこか、魔族が暮らす国、その城の一角


真っ黒な人型の影と向こう側が透けて見えるどろりとした銀の液状でできた女が廊下を歩いている

シャドーと呼ばれる魔族のシャーズロットとスライムのバニエイラだ


「うぇええん、どうしようシャーズロットちゃぁあん」


「泣くなうっとうしい、お前は涙などでないだろ」


闇から響くような少女の声のシャーズロットと

とぼとぼと歩くバニエイラ


その後ろからカタカタと音を立て、何かが歩いてきている


声がかけられた


「シャーズロット、バニ、エイラ、戻ッタ?の?」


「あら、キムタムちゃん、お久しぶり~」


「アイサツ、イイ、早ク報告、シロヨ」


「う、わかったよ~」


キムタムと呼ばれた球体関節人形のようなゴスロリ服にツインテールの少女

マリオネットと呼ばれる魔族だ


廊下の奥にある部屋にたどり着く三人

ドアを軽くノックした

中から「入りなさい」と、優しい声がした


「し、失礼します、アドライト様」

扉を開けると、書斎のような部屋に立派な机といす

その椅子には角が四本生えた妖艶な美女が座っていた


「おかえり、バニエイラ、シャーズロット、キムタム」


「た、ただいま戻りました、アドライト様」


「さて、報告してもらおうかしら」

「キムタム?」


「ハイ、コチラハ、順調ニヒューム、ノ、占領ヲ、完了シテ、イッテイマス」


「そう、それはよかったわ」

「引き続き頼むわね」


「ハイ、オ任セ下サイ」


「それで、バニエイラ、シャーズロット、あなたたちはどうかしら?」


バニエイラの銀色の体がサッと青くなった


「もっ、申し訳ありませんアドライト様!」

「失敗しました!」

バニエイラとシャーズロットは深々と頭を下げる


「失敗?」


「は、はい!」

「確かにいましたが、予想外の事態が!」

「すでに守護者がついておりまして」


「そう、言いたいことはそれだけ?」


「そ、それは、あの、その」


「アドライト様、守護者の強さは現時点で防御力だけならバニエイラに届きそうです」

「あの段階でそれは、予想外かと」


「ふーん」


「そ、それに、かくまわれている村の村人がどれもわれらの配下ほど強く」

「それも今回の失敗の要因に」


「そう、そうね」

「確かに今回は分が悪かったかもね」

優しく微笑むアドライト

その微笑みを見てバニエイラは内心ほっとした

お仕置きされずに済むと


「いいわ、今回の失敗は見逃すとしましょう」

「勇者がまさか獣人から生まれるなんて思ってもみなかったもの」

「今までの勇者はすべてヒュームから生まれてるんですものね」


「あ、ありがとうございますアドライト様!」


「ただし」


その言葉にバニエイラとシャーズロットがビクッと身震いした


「転移のオーブを奪われたことは責任をとってもらうわ」


「う、そんなぁ~」


「あなたたちのどちらかが一緒に行けばオーブが奪われることもなく」

「失敗もしなかったかもね」

「まぁ、失敗の件は私の情報処理不足によるところもあるわ」

「でも、オーブを奪われたことは話が別」

「あれは究極魔法までの魔法をこめられるの」

「とても、とても希少なアイテム」

「まぁ、お仕置きだけで勘弁してあげる」

「確かに希少なアイテムだけど、あなたたちよりは安いものよ」

「さl、こちらに来なさい、シャーズロット、バニエイラ」


アドライトのもとへと寄る二人

アドライトはバニエイラを引き寄せると自分の脚へうつぶせに乗せた

そして、お尻を叩き始める


「ヒィ!」

「い、痛いです~!」


スライムに物理攻撃は通じない

物理無効という種族スキルがあるからだ

それなのにそのスライムにダメージを与えているアドライト

それは彼女のスキルによるもの

無効破壊

耐性や無効といったスキルを意に介さず相手へと攻撃できるスキル

それが、彼女、魔王軍幹部たるアドライトのスキル


「さて、あとはコープライの報告を待つだけね」

「バニエイラ、シャーズロット、引き続き勇者の捕獲をお願いね」

「決して傷つけずにつれてきなさい」


「は、はい、了解しましたアドライト様~」

痛むお尻を撫でるバニエイラ

シャーズロットも同様に叩かれたが、彼女はやせ我慢しているようだった


――――――――――――――


 まず、自分の姿に驚いた

少女、と言っていい姿

それよりもまず性別だ

前世の記憶はあまりないが自分の一人称を僕と自然に言っていたがために

自分を男だと思っていた

いや、前世はそうだったのか?

それすらまったく思い出せない

名前、前世ではいぶきだった。それだけははっきり覚えている

いぶき...どちらともとれる名前だ


そして次に驚いたのが増えたスキルと魔法だ


 司令塔


下位の昆虫種、魔昆虫種に指令を与える


これは、昔手に入れていた攻撃指令や防御指令を使うためのスキルかもしれない


 鱗粉


羽から出る粉に様々な状態異常を引き起こす毒を付与する

麻痺、幻覚、猛毒、薬剤(回復効果小)


鱗粉かぁ、羽あるもんなぁ

飛べるようになったのはいいけどちょっと邪魔だなぁ

しまえないかな?

と思っていたら羽が小さく折りたたまれてちょっとしたコブくらいになった


あ、できるのね。便利~


スキルはこの二つか


魔法は...


魔法の一覧の下に妖精魔法の欄が加わっていた


 妖精魔法


妖精族が使える魔法


今使えるのは、四つか


 フレイム


激しく燃え上がる炎の魔法


 トルネード


回転する風が対象を切り裂く魔法


 ストーンエッジ


とがった岩を召喚し、突き刺す魔法


 フラワーパルファム


優しい花の香りで対象を包み込み、惑乱(激しく混乱)させる魔法



なんか、すごい強そうな魔法が使えるようになってる

でも、一番驚いたのはこれだ


コマンドに新たに召喚が加わっていたのだ


 召喚


妖精族が扱う特殊技能

現在、下位の昆虫種、魔昆虫種を3体まで召喚可能です


これはすごい

単純に戦力...

昆虫種がどこまで強い種を呼べるかわからないけど

戦力を呼べるのはものすごく有益だ


一人でスキルなどを確認していると

ミューが声をかけてきた


「ねーワムちゃん」


「ん?な~に?ミュー」


「服、着よっか」


「へ?」


そりゃそうだ

素っ裸だったわ僕


目の前にいる女騎士?さんはともかく

村長がいたわ

村長はちゃんと視線を外に向けてくれていた

お~、ジェントルマン


服はミューのものを借りる

ぴったりだ

同じくらいの体格が幸いした

鏡を見る

ショートボブの光沢のある青い髪型に触覚

白目のない瞳だけの赤い眼

体の色は薄い青

人間の手足があるのはうれしい


手を開いたり閉じたり

足を踏み踏みしたり


胸は...

ない

ま、まぁ少女だもん!

これから成長するもん!

する?よね?


 ホーリーピクシー


妖精種

聖なる光を帯びた特別なピクシー

召喚と魔法に長ける


ちょっとこのタイトルで長引かせすぎてる

タイトル変えるべきか?

いやでもまだ冒険始まってないしなぁ

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