コロポックルちゃんは竜玉を探しています6
人魚たちは楽しそうに入り江ではしゃぎ
あまり羞恥心がないのか胸をはだけだしている者もいる
今ハイリーとジャノは目隠しをされ、リンナに手を引かれていた
このマーメイドたちの住む入江は村といってもそれなりの規模があり
女性しかいない
男のマーメイドたちは隣村で大規模な遠洋漁業を行っているのでなかなか戻らないらしい
「着きました。こちらからお入りください」
そこはリーダーが住む家
「リーダー、私たちを助けてくださった冒険者の方たちを連れてきました」
先に戻ったマーメイドから話は聞いていたらしい
「あぁ、きみたちがそうか」
「私はこの村のリーダーのルニ・フィンレイ」
「この度は村の者を助けていただき感謝する」
整った顔に珠のようにすべすべの肌
彼女もまた髪くらいでしか胸を隠していない
男が見ればすぐに鼻の下が伸びるだろう
ルニは下半身がつかる程度の海水に浸かり、頭を下げる
「い、いえ、たまたま通りかかっただけですし」
「あのタコにはほとほと困っていてな」
「村の女たちがしょっちゅう襲われていたのでね」
「この村で戦えるものはほとんどいない」
「君たちがいてくれて助かったよ」
「お礼と言っては何だが、この村で歓迎しよう」
そういうとルニは今案内してくれた女性に指示した
「ではこちらに、水生ではないあなたたち用の部屋を用意しますね」
「お時間が許すのであれば泊まっていってください」
「ありがとう!じゃぁそうさせてもらいます!」
渡りに船だった
綺麗な景色に美しいマーメイドたち
観光名所になっていてもおかしくないが
この入り江は入り組んだ場所にあり、発見が困難ということもあって
旅行者や冒険者はなかなか来ないのだという
確かに案内されたがどこをどう進んだのか覚えるのは容易ではないことがわかる
「こちらでお休みください」
「後ほどお食事などの準備ができましたらお呼びします」
ペコリと頭を下げると部屋から出ていった
部屋は広く、男性と女性の部屋が分かれていた
恐らく来客用として作られたのだろう
ベッドもふかふかで、倒れ込めばすぐに夢の中に吸い込まれること間違いなし
「これでやっと休める~」
「アズ、マーメイドさんたち助けてよかったね~」
「うんうん」
「それにしても、すごいね」
「なんでみんなあんなきわどいんだろう?」
「ハイリーもジャノも鼻の下のばしてたもんね~」
「あの、ちょっといいっすか?」
横に立っていたハイリー
「なによ?」
「目隠しとってもいいっすかね?」
「あ、忘れてた」
「おい」
ハイリーとジャノは目隠しをとった
「ひょー、いい部屋じゃんよ」
「うっほ、ベッドきもっちぇ~」
ベッドに倒れ込むハイリー
「ちょっとハイリー!そこ私のベッド!」
「あ、わっち用のベッドも用意してくれてる」
近くにあった小さな小さなベッドに腰かける
「うわぁ~、こっちもすっごいふかふか」
「すぐ寝れそう」
程よい弾力のベッド
ここにはどうやらコロポックルのようなかなり小さな種族が来ることもあるようだ
それからしばらくすると、食事の用意ができ、マーメイドが呼びに来てくれた
案内されたのは広場
そこには豪華な食事が用意されていた
新鮮な海鮮で作られた料理
お刺身や焼き魚、タコのフリット、海藻のサラダ等々
タコは恐らく倒したルスカのものだろう
異様に大きかった
「うわぁ~、ものすごく豪華!」
「どうぞお座りください」
「まもなくリーダーも来ますので」
「あ、それならハイリー、ジャノ、目隠し」
「いえ大丈夫です」
「リーダーもちゃんと服を着てくるそうなので」
「あ、そうなんだ」
「じゃぁ大丈夫か」
「よかったぜ、目隠ししてたらメシの味なんてわかんねぇよ」
ほどなくしてルニがやってくる
「お待たせした」
「もう一度礼を言う」
「わが村の者たちを救ってくれてありがとう」
再び頭を下げると席に着くルニ
「それでは宴を始めよう」
「楽しんでくれ」
宴はとても楽しいものだった
美しいマーメイドたちが踊る伝統の舞い
美味しい食事
マーメイドたちとの談笑
時間はあっという間に過ぎ、お開きとなった
「では、ゆっくり休んでくれ」
ルニはそう言うとまた頭を下げて戻った
「いやぁ、楽しかったね~」
「わっちお刺身って初めて食べたよ」
「あんなにおいしいんだね」
「俺はタコを始めて食べた」
「食感がなかなかにいい」
その日はゆっくりと休み、次の日また目的地目指して旅立った
村からの出がけにルニからお土産を渡された
竜宮の珠と呼ばれる宝珠で
マーメイドやマーマンたちの女王オトヒメが住む竜宮城で作られている宝石の珠だ
なかなかの高値で売れるらしい
「そんな!こんなのもらえないです!」
といったが無理やりに渡された
「さて、リュウグウ国までもう少しだよ」
みんな元気になり、足取りも軽くリュウグウ国を目指した
特に進んでないけどまぁこういう回があってもいいかなと