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12 混沌を撃つ5

 戦いの火蓋が切って落とされた

妖精たちはすでに避難が完了している

先に動いたのはシェイナ

四方に巨大な結界を展開する


「この中ならいくら暴れても大丈夫」

「行くよ、みんな」


キラキラ輝く詩季が攻撃を開始した

視界から消え、突如としてリコリスの目の前に現れる

気づいた時にはすでに超能力をこめた銃弾を雨あられのように撃ちこまれていた

リコリスがすさまじい威力のESP弾により消滅したことでルコリアが怒り、詩季に向かってくる

が、すでに視界から詩季が消えていた


一方ではキュリオンとミューが剣を打ち合っている

キュリオンの瞬速剣技を恐ろしいスピードでラーニングし

見事に返していた

返しながらミューのスピードがどんどん上がっていく

瞬速を越え、光速、そして神速へ近づくほどの速さ

キュリオンが押し負け、体中を切り裂かれ倒れた

そこをリモットがとどめを刺す


「メテオライトスター!!」


天から現れた複数の隕石の矢がキュリオンを襲う

打ち砕かれ、焼かれ、キュリオンは敗れた


セプテリルが動く


「ここまでとは、正直予想していませんでしたよ」

「だが私の敵ではない」


ぐっと手を切り裂いた空間に押し入れると、闇を纏った剣を取り出した


「終焉のつるぎ 神斬り」


禍々しい刃

それをシェイナに向け、一気に間合いを詰めた


迫りくる刃を紙一重でかわす

しかし起動が急に変わった

横なぎから縦斬りに

刃が触れる寸前でイアが白皮で弾いた


ニヤリと笑うセプテリル


触れた・・・な、それに!」


黒い炎のようなものが白皮を駆け上がり、イアを包み込んだ


「あぁあ!!」

悲鳴を上げる


サーっと砂のように崩れ落ちるイアの体


「イアさん!!」


「無駄だよ、彼女は消滅した」

「次は君たちがこうなる番だ」


再び禍々しい剣をシェイナに向ける


「時間よ!巻きっ」


そこで詩季の力が解除された


「くそ!時間切れだ!」


元に戻った詩季をサヤが呪縛する


「つか・・まえ・・・た・・・・」


それを見計らったようにルコリアが手を合わせると

見えない手に圧縮されるように詩季が押しつぶされる

それをESPでなんとか抑え込んだ


「ぐ、くそ、シェイナさんを助けに行けない、じゃ、ないか・・」


そこにチャリーンとなる錫杖の音

ハノラが錫杖を地面に突き立てる


「召浄術、光槍!」

地面から多数の光の槍が現れ、ルコリアとサヤを刺し貫き

ルコリアに致命傷を与えた

サヤはギリギリで急所を交わしていたが、戦闘不能となる


「サヤ、ルコリアを連れて離れろ!」


オウロウが大剣を背中から抜き放ち、詩季に向かう

呪縛が解けたばかりの彼女はまだ動けない

振り下ろされる大剣

それを間に合ったミューが受け止めた


「詩季さん、逃げて!」


ようやく動けるようになり、オウロウに銃撃を放ってミューと共に離脱する


「グルrrrrrrr、うっとうしい!」


シェイナにセプテリルの刃が迫ってきている

すでに大型の結界を張り巡らせているシェイナに自分を守るすべはない


「終わりだ!」


まさに切っ先が刺し貫こうとした瞬間

イアの崩れ落ちた体からなにかが飛び、剣をはじいた


ポーンと響く音


―成長を確認しました―

―個体名イアは命天使へと進化が可能です―


無機質な声


あぁ、久しぶりだな、このこえを聞くのも・・・


―進化しますか?—

 Yes or No


答えは、Yesです!


顔の左半分に張り付いていた仮面のような白皮は消えていた

そのかわり背中に天使の翼が生え、神々しい姿へと変貌する

転生前に受けた転生後まで残っていた深い顔の傷

その傷も跡形もなく消えており、清楚な美しい顔がそこにあった


「馬鹿な、天使だと!?」


セプテリルが驚くのも無理はない

かつて創造主に消された世界

そこで自分が担っていた役割、それが天使だった


「あなたは私が相手をします!」


まっすぐ指をセプテリルに向ける


「ふん、たかだか今天使になったばかりの小娘ごときが」

「粋がるんじゃない!」


空から一気に降下し、セプテリルに向かう

セプテリルの剣がイアの翼めがけて振り下ろされた

その刀身を翼が砕く


「!」

「神をも斬り殺す、私の剣が・・・」

「天使ごときに折られる・・だと・・・?」


舞い降りたイア

翼を変質させ、手に絡めると二振りの刃を作り出した


「双剣術、アラハバキの舞い」


踊るように優雅に可憐にセプテリルを切りつける

その動きに、速さに、彼は対応できなかった


「この私が!傷を負うだと!」

「あってはならない!あってはならないぃ!」


怒りに満ちたセプテリル


「セプテリル様!」


差し迫る二双をサヤが受けた

サヤは同を薙がれ真っ二つになり倒れる


「サヤ!」


セプテリルがサヤに手を伸ばす


「お役、に・・立てました・・・・か?」


「あぁ、あぁ・・・」


ついて行くものが終焉を望むものだった

しかし狂乱は全員彼に救われていた

彼のために自らを犠牲にすることこそ本望だった


「・・・引きます」


「何を・・・」


「引くと言ったのです!」

「我々の、負けです」


セプテリルはサヤの死体を抱え、オウロウとともに立つ


「あなた方にはもはや勝てないのかもしれない」

「しかし、いずれまた戦うのでしょう・・」

「この世界・・・いや、すべての世界が残っていればの話ですがね」

「お気をつけなさい、混沌は、少女の姿をしています」

「あれは、次元が違う・・・」


それだけ言い残すと、狂乱達の死体、オウロウとともに空間の裂け目に消えていった


「ふぅ~、何とかなったね」

「引いてくれるとは思わなかったけど」


詩季が額の汗をぬぐうように手を動かす


「結界を解除」

「あれが、闇なんだね」

「それに、混沌・・・少女の姿をしてるって言ってた」

「彼らは会ったことがあるみたいだね」


「そうですね」

翼を収納するイア


「・・・」


全員がイアの顔を見ている


「仮面の下って、その、美人だったんだ・・」


今まで顔の半分から口元までが仮面に隠れていた 

全員興味ありげにイアを見つめ続け

イアはさすがに恥ずかしくなり、翼で殻を作って閉じこもってしまった




今回ちょっと長かった

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