12 混沌を撃つ2
オベロンに混沌について話す
彼は少し考えた後、協力すると言ってくれた
妖精国は全面的にバックアップしてくれるらしい
通信で魔王、ギルドにも報告をする
魔王は各国に協力要請を出し、ギルドも混沌の情報を集め、対処するとのこと
ギルドから集まった情報は魔王のもとに集まり、各国と共有
混沌を見つけ次第各国から総戦力をもって撃破する手はずだ
恐らく総力戦、1対世界となる
それほどまでに圧倒的な個を相手にするということ
ひとまず現状ではなにもわからない
相手がどこにいるのかも、その姿も
とりあえず彼女たちはファーリーンにとどまり、情報を待つことにしたのだが
オベロンから依頼が舞い込んだ
「君たちに頼みたいことがあってね」
「この国は森に囲まれているんだけど、その最奥、神獣の祠」
「そこにいる神獣を討伐してきてほしい」
「神獣を?ですか?」
「聞くからに討伐しちゃダメな気もするんですけど?」
「神獣と言ってもこの森を守っていてくれてたからそう呼ばれてただけだよ」
「神とは何の関係もない」
「討伐してほしい理由はその神獣が暴走し始めたからだよ」
「暴走?」
「原因は分からない」
「急に暴れだし、森を荒らしたり妖精たちを襲っているんだ」
「このままでは森自体が危険だ」
「そうなる前に討伐してほしい」
「わかりました。お任せください」
「そうかい、助かるよ」
「・・・なるべく、苦しませずに頼むよ」
「本来のあれはおとなしくて、優しい鳥なんだ・・・」
「はい」
依頼を受けたシェイナは自分のパーティとイア、詩季を連れて東の祠へと向かった
祠の後ろにある洞窟、そこから異様な気配がする
「肌がピリピリするよ、シェイナちゃん」
「そうだね、リモット、何か見える?」
「いえ、気配は感じますが、何とも・・・」
「私の解析者が捕らえました!」
「あれは、シームルグ!?」
「確かに神獣です」
「比喩などではなく、神獣に間違いありません」
イアが大声をあげた
彼女は鑑定よりも高度な解析というスキルを持っている
それは種族や弱点、大きさ、重さ、相手の情報ほぼすべてを把握することができた
その解析が導き出した神獣シームルグの状態
それは、悪神化
邪悪な神へと変貌しようとしている
「まずいですね、早急に討滅する必要がありそうです」
「オッケー、マーキナに改造してもらったこの銃の威力、見せてあげるよ」
詩季が取り出した銃は自分の能力をこめることで数段威力を跳ね上げるよう改良され
オーラブレードへ変形させる機能まで追加されていた
つまり、近、中、遠距離すべてに対応できるようになったのだ
こちらの気配を感じ取ったのか、シームルグがゆっくりと姿を現した
巨大な怪鳥、くちばしは禍々しく歪み、爪は瘴気に満ちている
翼は黒く、目は真っ赤に光っていた
「推定危険度、厄災、複数国が亡びるレベルです」
「動き出した!避けて!」
シェイナの声に合わせ、シームルグの爪を避ける
爪は空を切り、地面に突き刺さった
その突き刺さった部分から白煙が上がる
どうやら致死性の猛毒があるようだ
「一撃でも喰らったらまずそうだ」
「なら」
「スナイプモード」
銃を変形させて大きく後ろに下がる詩季
銃に力をため始める
「僕が防御する!みんなは攻撃に徹して!」
「それと・・・」
「サモン!」
「五王降臨!」
オベロンからもらった箱、その箱から分けられた力
それにより召喚妖精たちは五王という特殊な存在へと進化していた
冥王ナーシェイン、雷帝フェンラッテ、獣星ラスカ、妖皇ヌエ、魔君アスタロト
それぞれがシェイナをしたい付き従う王
「ナーシェイン、お呼びに応じ、まし、た」
「フェンラッテ、主様のもとに」
「ラスカ、来てやったぜ!」
「ヌエ、馳せ参じました」
「アスタロト、お呼びでしょうか?ご主人様」
それぞれが相当な力を持っている
彼女たちは一様にシェイナにひざまずいている
「みんな、相手は悪神になろうとしている神獣だ」
「相当危険な相手だけど、やれる?」
「神獣、ですか」
「たやすいかと」
アスタロトが余裕の笑みを浮かべている
「だ、だいじょうぶ、です、頑張り、ます」
ナーシェインは自身がなさそうだが、それは彼女の性格によるものだろう
「主ぃ、舐めてもらっちゃ困るぜ、あんなのあたいらにかかりゃ楽勝よ!」
ぐるぐると肩をまわし、戦闘準備に入るラスカ
「無論、拙らの心配はいい、主殿は結界の展開に徹してほしい」
ヌエは静かに言った
「では、参ります!」
フェンラッテが号令をかけると、五王は走り出す
悪神獣シームルグとの戦闘が始まった
厄災厄災




