二人の主人公4
ファーリーン、妖精たちの国であり、森そのものと一体化した国
自然豊かで、特産は果物
いたずら妖精が余多いる中観光客が絶えない
それはひとえにこの国の食べ物の美味しさ、妖精たちの美しさ、自然の雄大さに寄るものだろう
二人も多分に漏れずファーリーンのありように目を奪われた
「これは、何というか・・・」
ポーっとキラキラ輝く妖精の羽に、髪に、動きに見とれてしまう
「すごいです!詩季さん!見てください!妖精さんがいっぱいですよ!」
「なんとまぁまぁ、あちらの方はピクシー、こちらはドクシーですね」
「おぉなんと、パックにブラウニー、キキーモラ!」
「あ!あっちには!素晴らしいです!エインセルまでいます!」
「イア・・・さん・・・?」
ハッと我に返るイア
「す、すいません、取り乱しました」
「ハハ、冷静なイアさんでもそんな風になるんだね」
「いえ、その、私、妖精さんが好きなもので」
「幼いころからそういうお話を好んで読んできましたから」
「よかったね、会えて」
「はい!」
二人はひとまずいろいろと回ってみることにした
ちょこちょこと可愛げのあるいたずらを仕掛ける妖精たち
観光客も冒険者もいたずらをされてもにこやかに笑っている
それほどに可愛いイタズラ
「ん?あの人だかり、もとい妖精だかりは何?」
道行く先に何やら妖精たちが集まっている場所がある
いや、集まりながら遠巻きに見ている
まるで触れてはならぬものを見焦がれるように
その妖精たち、観光客、冒険者たちの眼先にひときわ美しい妖精がいた
彼女は女だけのパーティを組んでいるようで、装備品から冒険者であることは分かった
「確認しました・・」
「あの方が・・この世界の」
「あの美女が!?」
「えぇ、間違いありません、見えています」
「あの方の力、名前、ステータス全てが」
「すごいです、妖精女王、ティターニア・・・」
「と、とにかく、話しかけてみようよ」
「そうですね、では私が」
ゆっくりと彼女に近づく話しかけようと手を伸ばした瞬間
のど元に何かが当たるのを感じた
白皮のオートガードが反応しないほどの速度で
ブーーンと奇妙な音がする何かが首元にある
「!」
「あなた、今マスターに何をしようとしていたのですか?」
「危害を加えるのならば、消去します」
「ちょ、ダメだよマーキナ!」
「他の人に迷惑かけちゃ」
「ですがマスター、この者、マスターに何かしようと」
「あ、あの!」
そこでようやく口を開くことができた
「わ、私、イアと言います」
「零番目、と言えばわかるでしょうか?」
「その方からの使いです」
「・・・」
「マーキナ、放して」
「僕はその人と大事な話があるから」
「・・・はい」
一行はオベロンの居城へ戻り、借りている部屋に入る
入ったのはシェイナ、イア、詩季の三人
他は外で待機する
オベロンの居城の一室で
主人公(・・・)たちの会議が始まった
三人が出会いました
主人公ズです




