白鬼の姫武者修行の旅4
ファーリーンから出て程なくすると切り立った山々が見えてきた
それらは霞に包まれ白い靄がかかっている
仙人たち仙族は霞を食べると思われているが、それは勝手に流れたうわさであり
本来は果物や野菜などを食べる
特に山で栽培している桃は長寿をもたらしたり、美容効果があると言われていて
周辺国に飛ぶように売れる
山はそこまで険しくはないのだが、霞によって桃源郷の位置がつかめない
ハクラたちも姉クラハの地図がなければ迷っていたに違いない
クラハは数年前この深い霧のような霞の中、桃源郷を探し出した
クラハとハクラは鬼人族と仙族のハーフである
彼女たちは鬼人と仙人両方の力を使えるのだが
ハクラの仙力はクラハに比べて弱い
それはつまり仙力を使いこなせていないということ
仙人たちとの修行でそのコツを少しでもつかもうとしていた
仙族は意外と楽天的で外から来るものにも優しい
敵かもしれない外から来るものを歓迎するのだ
いや、正確には敵はまずこの郷に来ない
彼らはその力を使って特殊な結界を張っている
敵意のあるもの、悪意のあるものを寄せ付けない結界を
「む、見えてきたぞ」
「あの巨大な桃の木が目印と書いてある」
「ふむ、何と壮大な」
「それに、桃の実まで大きいぞ」
ネネコが走りだそうとするのを首根っこを掴んで制する
桃の香りが風に流れて漂ってきた
甘い香り
眠たくなるような気持のいい香り
トロンとしていると、前方の長い階段から美しい着物をきた女性たちが下りてきた
「あらあら~?お客様~?」
「珍しいですわね~」
「ようこそ、桃源郷へ」
「案内しよう、ついてきなさい」
二人の仙女に案内され、桃源郷内へと入っていった
そこは常に桃の香りがしており、霞掛かっている景色は幻想的で綺麗だった
中には仙人たちが酒を酌み交わし、桃を食べ、気楽気ままに暮らしている様子がうかがえた
花びらが舞い散り、この世の極楽を体現したかのような景色に息をのんだ
「あなた、、もしかして~ハクラちゃん?」
「え?は、はい、そうじゃ、です」
「フフフ、クラハちゃんてたとおりだわ~」
「いいわね~、つまみ食いしたくなっちゃう」
「ジョカ、狙うんじゃないよ」
「わかってるわよ、クラハちゃんに殺されちゃうわぁ~」
二人の会話に翻弄されつつも仙族のリーダーらしき男の元へと案内された
「やぁ、よく来たね」
「僕はフッキ」
フッキと名乗った男
彼は仙族のリーダーであり、クラハ、ハクラの叔父にあたる人物であった
「君たちは僕の弟の娘たちだ」
「ハクラ、ゆっくりしていくといい」
「センリョクの修行に関しては八仙たちに頼むとしよう」
八仙、特殊な格闘術、酔拳を扱う仙人たち
彼らから教えを享受することで酔八仙拳を習得できる
しかしその修業は壮絶で、大概のものが途中で死ぬか、リタイアするのだという
それでもハクラに迷いはなかった
仙人たちの名前はもちろんあれからとってます
漫画の方じゃないやつです
八仙は実在する人達です




