白鬼の姫武者修行の旅3
宝珠の果実は露店に大量に並んでいたのだが
値段が意外と張る
通常の果物であれば銅貨5~20枚ほどで買えるのだが
宝珠の果実は一つで銅貨100枚
幸いクラハにまぁまぁの額はもらっていたので50個ほど買い込んだ
保存も効き、それでいて劇的に甘く、香り高い果実
自分たち用にもいくつかを買った
宿に戻ると意外なことにおとなしくネネコが待っていた
アカネと二人スースー寝息を立てている
「戻ったぞ」
アカネが慌てて飛び起きた
「も、もうしゅわけありゅましぇん!」
よだれが垂れ、口調もおかしなことになっている
「よいよい、寝ていろ、疲れたじゃろ」
「い、いえ、そういうわけには」
「おおそうじゃ、ならネネコも起こせ」
「お土産がある」
「はぁ、お土産、ですか?」
「宝珠の果実じゃ」
「きっとうまい、みなで食べるのじゃ」
「キリサメ、切り分けてくれるか?」
「はい」
キリサメは懐からナイフを取り出すと、果実をするすると斬り始めた
皿に並ぶ果実は豊満な香りと甘いにおいを放っており
その香りは桃に似ていた
その匂いを嗅ぎつけてか、起こさなくてもネネコが飛び起きた
ベッドからぴょんと跳ね上がり、トテトテと駆け寄ってくる
「美味しそうです」
「お、起きたかネネコ」
「おとなしくしていたご褒美じゃ」
「食べるがよい」
ネネコが手を伸ばして果実をムチャムチャ食べる
ネネコに衝撃が走った
動きが止まる
顔はほころび、目はトロンとしていた
「どうじゃ?」
「はぅ~、とっ・・・ってもおいしいです!」
「シャクシャクの甘々です!」
ネネコは次から次へと口に放り込んでいく
「慌てるな、まだたくさんあるからゆっくり食べるのじゃ」
「ほれ、お前たちも食うのじゃ」
皆果実をほおばり、幸せの時を過ごした
「よし、果実も買ったし、明日ここを出立するとしよう」
「目指す桃源郷はまだ少し遠いぞ」
「しっかり休んで備えるのじゃ」
ファーリーン最後の食事
果物のソースを使った肉料理や、独自の香草を使った野菜料理
宝珠の果実のジュースも絶品で、加工する前の果実の状態のものとは違ったおいしさがあった
デザートに宝珠の果実を使ったタルトタタン(この世界にタタン姉妹はいないので作り方が似ているだけ)
至福の時
次の日、早朝に用意を済ませると、昼前に国を後にした
架空の食べ物を書くのってたのしいですね




