3 冒険の始まり3
ミューと生活し始めてから数週間が経った
ミューを観察していて分かったが
彼女の運動能力は非常に高い
森を駆け巡るその足の速さは目で追えないほどだ
なぜあの時ゴブリンに襲われていたのか分からないほど
気になって聞いてみる
(ミュー、君は、そんなに速いのになんでゴブリンに襲われたの?)
「へ?」
「ああ、あの時ね、たまたま石につまずいて足をくじいてたの」
「うまく歩けなくて、ゆっくり小屋に帰ろうとしたらあいつらに襲われて」
(ふむふむ、なるほど)
(普段なら逃げれるってことか)
ミューは今まきを集めている
そういった生活に必要なものをとりに行くときは必ず自分がついていく
魔物に襲われないよう見張るということももちろんだが
ミュー自体を狙う者がいるらしいのだ
希少な種族同士のハーフ
今までは運よくなのか、攫われたことはないらしいが
世間には希少種族のコレクターや奴隷商などがいるらしい
どこからかミューのうわさを聞きつけて誘拐する可能性も無きにしも非ずといったところか
僕もどこまでこの子を守れるかわからない
でも、もし、敵に勝てないまでもこの子を逃がすだけの時間は稼げるだろう
最悪僕が死のうとも
ふと、ミューがジッとこっちを見ていることに気づいた
(ん?どしたの?)
「ワムちゃんの目ってきれいだね」
「宝石みたい」
(え?そう?なんか照れるなぁ)
僕の目は複眼だ
日に照らされれば反射して青くキラキラと輝く
「よしっと」
「まき、集め終わったよ」
(はいはい、じゃぁ帰ろっか)
ミューとワムは一緒に連れだって歩き始めた
まきを背負ったミューはよたよたと歩く
素早さは異常なミューも、体力、主に力は弱い
自分ほどもない
そこで、ワムはミューを“みる”ことにした
今まで思いつかなかった
いや、忘れていたといっていい
そうだよ、確認しようよ
何やってんだ僕
ミューの力をみとけばいざというときどうすればいいかアドバイスくらいできるじゃん!
種族名:フォースウルヴェンキャットマン(銀狼族と妖猫族の混血)
個体名:ミューロラル
銀狼族と妖猫族の混血種
ふむふむ
種族名長いなぁ
つぎは、スキル一覧
スキル一覧
神風
剣の風圧に斬撃を乗せる高等剣術
疾風
素早さに補正をかける
二個、なるほど、あの速さは“疾風”のおかげか
ん?スキル一覧の下になんかある
種族スキル?
こんなのあるのか
これも見ておくかな
種族スキル
ラーニング
見ただけでスキルを獲得できる
ただし、獲得できるスキルは限られる
種族スキルも合わせて三つ、か
僕からすれば少ない
でも、ミューはまだ10歳
子供にしてはすごいんじゃないかな
てかさらっと流したけど種族スキル!?
“ラーニング”
見ただけでスキルを獲得、か
とんでもスキルだ
神風はこれで覚えたんだろうなぁ
...
てか見たって絵本のことだよね
絵本からスキル覚えるって
この子、天才?
でも、道は開けた
敵が現れたらこの子には陰に隠れてもらって
敵が繰り出すスキルを見てもらうことにしよう
何か覚えるかもしれないし
スキルはいっぱい持ってて損はないはずだ
あ
もしかしてこの種族スキル?
僕にもあるのかな?
わからないことはみてみよう
スキル一覧の下
いままでスクロールせずにみていなかったところをみる
種族スキル、はなかった
かわりに、転生スキルというものがあった
なんだこれ
転生したときに手に入れたってこと?
確認、するっきゃない
転生スキル
スキル喰い
攻撃を受ける、もしくは敵を倒すと
そのもののスキルを50%の確率で獲得することがある
また、特性を持つ食物からもまれに獲得する
これか
これのおかげでモンスターを倒したときや
世界樹の葉っぱじゃない草を食べたときにスキル手に入れてたのか
一個しかないけど
すごく有益だ
ようするに、僕は敵と戦えば戦うほど強くなれる
積極的に戦っていくのもありだね
あと、特性?効果のことかな?
そういう効果持った植物を食べよう
あ、なんか食べること考えてたらおなかすいてきた
もうすぐ小屋に着くし
ミューの手作りサラダたべよーっと
ミューのサラダはうまい
山菜や畑で育てた野菜をふんだんに盛り付け、そこにお手製ドレッシングをかけてくれる
世界樹の葉、ほどではないが
ものすごくうまい
あー、早く食べたい
小屋に着き、まきをしまうと
ミューはさっそくサラダを作ってくれた
あぁ、幸せ
ムシャァ
お、今日は山菜多めだ
こおの山菜おいしいんだよねぇ
ムッシャァ
黙々とサラダを食べていると周囲に張っていた“警戒”に何かがかかった
数は10
何かまでは分からない
無効もこっちが“警戒”していることに気づいただろう
そういうスキルだ
(ミュー)
「ん?どうしたの?ワムちゃん」
(すぐに剣を持って)
(裏から外に出よう)
「え?ど、どういうこと?」
(いいから早く!)
「う、うん、わかった!」
木でできた剣をもってワムとともに小屋を出るミュー
このまま森の中に隠れて隙を見て木こりたちの村に向かおう
物音を立てないように森へと向かう
見つかることなく森には入れた
入れた、が、そこには
明らかに盗賊とわか人間種の男たちが待ち構えていた
ピーーーンチ!