白鬼の姫武者修行の旅2
翌朝、自分たちの取った宿とは別の宿にものすごい妖精だかりができていた
「なんじゃ?この騒ぎは」
「わかりません、ちょっと見てきm」
「ネネコ!おとなしくしてなさい!」
走っていこうとするネネコを叱るキリサメ
アカネがしっかりと捕まえたようだ
キリサメが妖精をかき分けて中を確認すると
花、いや、宝石と見間違うほど美しい妖精がいた
ハクラと並んでも何ら遜色ない美貌にキリサメも思わず息をのんだ
「どうじゃ?何が見えた?」
ハクラも気になって覗いた
「ん?あれは、もしや、マシニアのシェイナ殿?」
ハクラも葬儀と復活祭には出席している
チラッとだが姿は見ていた
宿に入るハクラとキリサメ
「失礼、マシニア国のシェイナ女王とお見受けいたします」
「?」
「あなたは?」
「わらわはキガシマの姫、ハクラと申すものです」
「この度は女王様のご復活を心よりお祝い申し上げ...」
言いかけたところでシェイナに制止された
「堅苦しいですよ」
「僕は女王としてではなく冒険者としてここにいるんですから」
「あ、でも今は女王として呼ばれてるから...」
「まぁいいや、とにかく、堅苦しいのはちょっと」
「む、そうですか、ではわらわもそのように接することにします」
ニコリと笑うシェイナにハクラも心を奪われる
そこにトテトテと小さな女の子がやってきてシェイナの足に腰かけた
「ん?君は?」
「ネネコです!」
「お姉さん、綺麗です!」
「私のお姉さんになってほしいです」
「え?」
「お姉さん、私のおにぃのお嫁さんになっムグムグ」
キリサメが口を押えて引き離した
「も、申し訳ありません!」
「連れの者が失礼を!」
シェイナはまったく気にしていなかったが物凄い勢いで謝られた
「いいよいいよ、可愛いし」
そっとネネコの頭をポンポンする
かなり失礼なことをしたと思ってのか、ハクラは深々とお辞儀をし
キリサメ、ネネコとともに宿を去った
「こらネネコ!」
「今度という今度は許しません!」
怒りに打ち震えるキリサメ
ネネコのお尻を叩くために首根っこを捕まえる
「ひぃいい、ああああん、ごめんなさいですぅうう!」
泣きじゃくるネネコのお尻に手を振り下ろした
それをハクラに制される
「待て待て、シェイナ女王様も許してくださってるのじゃ」
「注意だけにしてやれ」
「しかし、姫」
「一国の女王にあのようなことをしたのですよ?」
「ふむ、ならばネネコ、お前は謹慎としよう」
「しばらく宿で反省じゃ、わかるな?」
「う、うぅ、わかる、です」
「反省、するです」
しょぼんとするネネコ
「アカネ、ネネコを頼んだぞ」
「え?わ、私ですか?」
「お前以外に誰がおる?」
「わらわとキリサメ、リンドウはこれから行かねばならんところがある」
「その間だけじゃ、案ずるな」
「は、はい」
「承知いたしました」
二人を残してハクラは妖精国にある宝珠の果実を買いに行く
この果実を仙人たちが好むのでお土産に持っていくといいと姉クラハに言われたからだ
その味は宝珠と呼ばれるにふさわしいほど甘く、口に含んだ瞬間多幸感に包まれるらしい
ファーリーンの特産で、ここでしか作られていない
それを大量に買い込み、アカネとネネコを迎えに行くと、その日のうちにファーリーンを後にした
クロスストーリーです




