ラバーズ4
雷獣の国ゴライオは双子の姉妹が治める国
ライカとイナミという双子で、顔はそっくりなのだが性格は全く違っていた
元気でいつもテンションの高い姉ライカと
テンション低く無口な妹イナミ
年のころはヒュームで言うところの17歳
まだまだ若いが立派に姫を務めあげている
双子が両方とも姫になるというのは珍しいが
彼女らは二人一緒の方がその実力をより発揮するため
前王から異例として認められた
その実力は国で最も高い
早速住人に聞き込みを開始したコープライとマーロー
聞いていた通り、ドライアドたちは本当にこの国にいるようだ
この街からほんの少し離れた森
そこに集落を構えているという
そこも一応ゴライオの領土なのだが、ゴライオ側がドライアドたちを保護する形で住まわせていた
その代わりにドライアドたちは森に恵みをもたらすというまさに共存関係が築かれている
次の日の早朝、すぐに集落に向かうことにした
すぐ近くにあるので朝のうちに到着
雷獣たちの情報通り、美しいドライアドたちがそこにはいた
「ようやく、見つけましたます」
「これで、私の旅も終わるのでございます」
「そっか、それじゃぁ僕たちもこれでお別れ、なのかな?」
寂しそうに言うマーロー
「何言ってるです?」
「帰るときは一緒ます」
「魔王城一緒帰りますですは当然のこと」
「私たち恋人なのことです」
「え?」
「でも、僕はヒュームなんだよ?」
「関係ないです」
「私たち、恋人こと、一緒いるのは当たり前」
「魔王様も、きっと祝福です」
マーローは嬉しかった
コープライがちゃんと自分を愛してくれていることが
コープライがドライアドの一人に話しかける
「申し訳ないます」
「魔王様使いの私です」
「あら?あなたは、アルラウネさん?」
「そうでます」
ドライアドたちが続々と集まって来た
「まぁ、アルラウネさんなんて珍しいわね」
「今ではあまり見なくなりましたものね」
アルラウネは絶滅寸前の種族
かつてアルラウネは体を焼いて食べれば薬になると信じられていたため
乱獲され殺され、今では数百人まで減ってしまった
数百人と言えば多いかもしれないが
通常種族の個体数は数万~数十億人
それに比べると数百人はあまりにも少ないと言える
アルラウネ以外にも絶滅寸前の種族はいる
それがネネコなどのすねこすり族含む七種族
どの種族もそれぞれが保護されており、少しずつだがその数を増やしていっている
ここにいるドライアドたちは500人ほど
世界中のドライアドは合計で数億人はいるのでここにいるのはほんの一部ということだ
「私たち、お願いあって来たでます」
「魔王様と同盟組んでほしいのでございます」
コープライはこれまでのいきさつを話した
「まぁ、願ってもないことですわ」
「喜んでお受けします」
「でも、一つだけ条件がありますの」
そう言ったのはドライアドのリーダーミーリア
この集落の首長だ
「条件?」
「ええ、実は最近見たことのない黒い魔物が森を荒らし、木々を傷つけていますの」
「そこで、魔王様のお力をお借りしたいのですわ」
「ゴライオの人達には頼まないのかい?」
マーローは至極当然の疑問を投げかける
「それは、できません」
「彼らに保護してもらっているということもありますが」
「あれの、あの魔物の強さは異常です」
「きっと雷獣族の方たちだけでは無駄に命を散らしてしまうことでしょう」
「わかりますでした」
「なれば魔王様にご報告して救援要請ますします」
「本当ですか!?」
「あぁ、ありがとうございます!」
ミーリアは手放しで喜んだ
「では、私たち報告行きます」
「少し待っててくだませ」
そういうとコープライは懐から二個のマジックアイテムを取り出した
それは簡易式転移のアイテム
設定すればそこに転移することができる
一つはここに設定、もう一つはすでに魔王城に設定されている
それにより二人は魔王城へと飛んだ
魔王城へと戻ったコープライは上司で敬愛しているアドライトが治療院に入院していると聞いて驚いた
慌てて彼女に会いに行く
そこには存外元気そうなアドライトの姿があった
「まぁコープライ!」
「よく戻ってきました!」
いきなりアドライトに抱きしめられる
「アドライト様、ドライアドとの同盟できたますです」
「そう、あなたならできると思ってたわ」
「せっかく帰って来たんですもの、ゆっくり休みなさい」
「それが、いまできないことなのです」
コープライはアドライトに今までのことを話す
「そう、魔王様にご報告しないとね」
「それで、そのヒュームはどこにいるの?」
「外で待たせてるます」
「そう、じゃぁこの件が片付いたら紹介して頂戴ね?」
「はい、わかりますでした」
コープライはその後、魔王に報告し
黒い魔物を倒すため戦闘力の高いディアボロ族のディプリーとダークエルフのテュポル
それにジン族のマハルを連れて再びドライアドの集落へと戻った
魔王は行く前に一言口添えしていた
「黒い魔物には十分気を付けて」
「途轍もない戦闘力と再生力を持っています」
「倒した後は必ずディプリーさんの炎で焼き尽くしてくださいね」
「肉片一片に至るまで」
そうしないとまた復活するらしい
理解したコープライは深くうなずいた
これの次回はやっとコープライが戦います
テュポルとディプリーは地味に久しぶりの登場です




