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ちっちゃなイズナの大冒険4

 雪山では少しの油断が命取り

クスクは常にそう言い続けている

だから誰も油断していない

の、だが、バニエイラが凍ってしまった

少し登っただけで気温はグッと下がり、バニエイラが活動できる温度を一気に下回ってしまう

仕方ないので彼女はふもとで留守番させることにした


「役立たず」

「あんた何しに来たのよ」


「...」


バニエイラは何も言い返さない

というか凍っていて話せなかった


「てかさ、シャーズロット、あんたなんでこいつ連れてきたのよ?」


「す、すまん、私も知らなかったんだ」

「たぶんこいつ自身もな」


「とりあえず、こいつはここで像にでもなっててもらいましょう」


そういうと懐からペンを取り出しバニエイラに落書きし始めた

“間抜けの像です好きに落書きしてください”


「アハハハハハハ!似合う似合う!」

「ほら、あんたたちもなんか書きなさいよ!」


ペンを差し出す


「い、いえ、私はいいです」


「私もだ。後が怖い」


「なによ、ノリ悪いわね」


クスクはさらさらとバニエイラに落書きし続ける


整った顔はみるみるとんでもない顔に変わっていく

カチコチに凍ったバニエイラはかなり怒っているようだが動けないのでどうしようもなかった


「さて、行くわよ」

「ナズミちゃん、これ持っておきなさい」

「渡そうと思ってたの忘れてたわ」


クスクの手にお守りのようなものが握られている


「これ、なんですか?」


「あたしの加護よ」

「悪霊の加護」

「きいたことない?」


「いえ」


「そう、まぁ持ってなさい」

「悪いことにはなんないから」


「悪霊のって時点で悪いことしか起こらん気もするがな」


「あんたにはあげないわよ」


「別に構わん」


「へぇ~あたしの加護は幸運が上がるのよ~?」

「いらないんだ~?」


「なぜ悪霊の加護なのに幸運が上がるんだ?」


「ふふん、悪霊はね、周りから幸運を吸うことができんのよ」

「ふもとでいろんな人からすこ~しずつ集めてお守りにこめた物なの」

「相当量集めてるからそれなりの効果よ」


自慢げに胸を張るクスク

大男の姿でなければ可愛い仕草なのだが...


「ありがとうございます」

「クスクさんはお優しいですね」


「やさっ!、そ、そんなことないわよ!」

「私は悪霊よ」

「気を抜いてたら取り殺しちゃうわよ」


本当はクスクはナズミを自分が生きていたころ大好きだった妹の姿に重ねていた


バニエイラを置いて三人は再び山を登り始めた

目指すは頂上付近

付近と言ってもそれなりに広い

フェニックス族が見つかるかどうかもわからない

ほとんどかけである


クスクは頂上を幾度となく訪れているが

今まででフェニックスに出会ったのは一回のみ

案内人になってから数百年でその一回だけなのだ

そんな幸運が今回いきなり起こるとは思えないが、思いの強さは形になるとクスクは考える


このおちびちゃんがどこまで親友のことを思っているかはわからないけど

それでも自分の身を危険にさらしてまでこのたびをしているんだから

とても強い思いのはずだわ

きっと、願いをかなえるほどに


山はすでにふぶいている

突き刺さるような寒さがナズミとシャーズロットの体力を少しずつ削っていた

下層のまだ下腹、それだけしか登っていないが日が暮れてきている


「今夜はそこのうろでビバークよ」

「これ以上進むのは危険だわ」


クスクが指さす方向に雪が固まり凍り自然にできた浅い洞窟が見える

三人はそこに入るとポータブルカンテラと魔法で出した火を囲み交互に見張りながら眠った

下層でも魔物は襲ってくる

眠っているところを襲われればたとえFランクの魔物だろうとひとたまりもない

危険性はできるだけ排除するための見張りだった


まだ下層、頂上までは気の遠くなるような高さだった


クスクの過去はそのうち書こうと思ってます

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