終節:銀の次世代
戦闘の翌日。
むすっとした顔で自分の席に座り、机に頬杖をついている銀次に、クラスメイトの一人が話し掛けてきた。
「銀次くん、えらく機嫌が悪いじゃないか。どうしたんだい?」
「別に。ちょっと昨日嫌な事があってな」
黒の長髪に新雪のような白い肌、メリハリのついたスタイル抜群の体を制服に包んだ女子生徒の言葉に、銀次は答える。
人を魅了する美貌に戸惑ったような表情を浮かべる彼女は、学園のアイドル、雪原望だ。
「君が翌日まで引きずるなんて珍しい。ボクで良ければ話を聞くよ?」
ちなみに、望はボクっ娘である。ボクっ娘だ!
しかし非常に価値の高い彼女に話を聞くと言われても、人に話せるような事でもなく。
「……いや」
と、銀次が断りかけた所で。
「銀くんの身に起こったイヤな事! これは早退の件と合わせて聞かねばなりませんね! 根掘り葉掘り!」
「葉月てめぇ、どこから生えて来やがった!」
「なんと! まるで人を湿りに生えたキノコのように言わないで下さい!」
「似たようなもんだろが!」
銀次の背後で手帳とボールペンを握った小動物のような少女に、銀次は全力でツッコむ。
顔のランクは中の上、慎ましやかな胸に低めの背丈が愛らしい、この元気な少女は皆川葉月。
大げさに抗議する彼女は、報道部の名の元に銀次の根掘り葉掘り調べようとするのだ。
「私も興味あるね」
「お前もかよ……放っとけよ、別に大した事じゃねーよ!」
目尻のつり上がった猫を思わせる瞳の少女までもが近づいてきた。
彼女も美人だ。
大人びた顔つきの彼女は如月御幸。
事情があり、一応銀次の婚約者という事になっている。
そんな美少女たちに囲まれて喚く銀髪の不良を。
既に悟りに入っているクラスメイトたちは生ぬるい目で眺めるのだった。
※※※
「ジン」
神山市を後にしようとバイクに跨がったジンに。
声を掛けたのは、黒いフルカウルバイクに腰をもたせかけた黒いサングラスを掛けた青年だった。
「ハジメさん。来てたんすか?」
驚いたジンに対してうなずいた黒尽くめの青年は、街の中心にある学園へ目を向ける。
「……どうだった。次世代は」
「俺好みでしたよ」
ジンの返事に、ハジメは口の端を上げる。
「なら、後を任せても大丈夫だという事だな」
「ええ……『バース』の大首領も、分かっててやらせてくれたんでしょうね」
その黒い青年は元ヒーローにして現『黒殻』の総帥である男。
黒の一号、本条ハジメだった。
「俺たちが仮に消えても。奴はきっと、次を担ってくれる筈です」
「そう信じよう」
二人はメットを被ると、バイクのエンジンに火を入れ。
重く腹に響く音を立ててアクセルを吹かすと、神山市を後にした。
Silverbeat vs Blackshell No.5―――END.




