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【白銀甲虫】シルバービート〜装殻系短編集〜  作者: 凡仙狼のpeco
コラボ:白銀の甲士~悪の大幹部VS黒の伍号~
5/12

第5節:衝突

「デェア!」

「行くぜェ!」


 シルバービートは、大地を蹴って伍号に接近した。


 伍号も、同時に前進して来る。

 自分同様、堅牢で重い印象の外殻を纏いながらも、伍号は印象とは裏腹に素早く、鋭い。


 シルバービートは、右手に装着されたクワガタ虫型の手甲、スタッグ・ブレードを突き出した。

 クワガタの双顎に当たる二本の爪が、凶悪に陽の光に照り返りながら伍号に迫る。


 しかし伍号はまっすぐ突き出したスタッグ・ブレードの腹を、右の拳で弾いた。

 さらに、伍号は左足を踏み出して体を瞬転、シルバービートの懐に潜り込んでくる。


「グッ……!?」


 密着により、スタッグ・ブレードが自由に振るえなくなる。

 伍号は体を捻る勢いを殺さないまま、左のショートフックを見舞って来た。


 シルバービートは腹に力を込めて、それを受けた。


※※※


 ……先手は取った。


 しかし。

 伍号の拳がめり込む重い衝突音と裏腹に、シルバービートの体はびくともしなかった。


「何!?」

「ふん!」


 シルバービートは、逆に肩を押し付けるように足を踏み出したかと思うと、スタッグ・ブレードに頼らず、肘を伍号の胸郭に叩き込んでくる。


 が、こちらも有効打にはならない。


 伍号の外殻とて伊達ではないのだ。


「硬い……!?」

「へっ。ナメんなよ!」


 バチバチと腕に雷撃を走らせる伍号に対し、危機を感じたシルバービートがスウェイバックで上体を反らして下がる。

 体が離れる事で出来た隙間を利用して、伍号は右ストレートを放った。


 しかしシルバービートは。

 即座にスタッグ・ブレードを右手から飛ばして、その雷拳の軌道を塞ぎ、避雷針にした。


 素晴らしい状況判断。


 拳に触れたスタッグ・ブレードに稲妻が走り、バチバチと、目を射る光が伍号の眼前で弾けた。


※※※


 だが。


 その雷光を前に、シルバービートは止まらなかった。

 光を裂くように一息で、今度は自分から伍号の懐に飛び込む。


「うぉ!?」

「電撃には、慣れている!」


 驚きの声を上げる伍号の腹に、左の拳を叩き込んだ。


「貰った!」


 今度は十分な威力を乗せた、シルバービートの一撃。

 拳が外殻を砕く手応えと、鈍い音が響き渡り……。




 同時にシルバービートは、右脇腹に衝撃を感じて吹き飛んだ。




「ぐっ……!」


 横薙ぎに地面に叩き付けられたシルバービートは。

 ジャックナイフで、すぐさま跳ね起きる。


 見ると、自身の外殻を砕かれた部分を手で押さえながら、伍号がゆっくりと足を降ろすのが目に映った。


※※※


 ーーー強い!


 二人は同時に思った。


 どうやら、カウンターで蹴りを貰ったらしい、と気付き、シルバービートは相手のセンスに舌を巻いた。

 あのタイミングで、予想していなかったらしき反応は演技なのか。

 それとも瞬間的に反応して見せたのか、シルバービートには判断がつかなかった。


 伍号も、相手に対して感心していた。


 シルバービートの戦闘能力は『バース』本部の中でもトップクラス。

 数々の実戦をこなし、更に身体能力も高いとは聞いていたが。


 自分から治まってもいない雷撃に突っ込むなど、並大抵の度胸ではなかった。


 伍号が、拳を叩き付けられた部分を見下ろすと、外殻に深々と拳の痕が刻み込まれている。


「やるじゃねぇか!」


 伍号は、肩や腰などについた土や埃を落とすように、全身を叩きながら払っているシルバービートに言う。

 相手には予想外のカウンターを叩き込んだ筈なのに、彼を鎧う外殻には傷のようなものは一切見られず、本人もダメージを受けていないようだった。

 

 ーーータフだな。


 伍号は思い。


「自分の損傷より攻撃か。イカれてるな、お前」


 シルバービートが、伍号の損傷を見て言う。


「雷撃も収まらないうちに、突っ込んできたお前が言うな」


 伍号も言い返し。

 二人は、再び対峙した。

 

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