きのこの戦い
ぜひ読んでください!
これは、あるスーパーの話。
スーパーの野菜コーナーの一角に「きのこのバラエティーパック」が並べてあった。
その中には、実に「しめじ」、「しいたけ」、「えのき」、「えりんぎ」、「まいたけ」、「なめこ」
の6種類ものきのこが入っていた。
こんなにきのこが集まるとみんなだんだんウズウズして、自己紹介をしだした。
「僕は、しめじだよ。スタイルがいいんだ。」
「私は、しいたけよ。頭でかっちなのが悩み。でも、食べやすいわよ。」
「わしは、まいたけ。この渋いルックスと味から大人に人気じゃよ。」
「あたいは、えのきよ。色白なのが自慢なの。」
「俺は、えりんぎだぜ。バーベキューで大活躍のバラエティー部門だ。」
そのとき、えのきが「なんか、体がヌメヌメしてきたわ。気持ち悪い。」と言った。
すると、あるきのこが口を開いた。
「た、たぶん、おいらのせいだよ……。」
(全員)「ん?あなただれ?」
「お、おいら、なめこっていうんだ。ヌメヌメしているのが特徴なんだよ……。」
全員「えぇ~!!気持ち悪~い。」と言い出した。
なめこは、ヌメヌメなだけでも嫌われやすいのに、きれい好きのえのきを怒らせてしまい、
バラエティパックの中で嫌われてしまった。
しばらくすると、しめじが「つまらないから、はないちもんめしようよ!」
と提案しました。
みんなもそれに乗り、なめこも勇気を出して「入れて!」と言った。
みんなそれを聞き、渋ったが、心優しいまいたけのおじいさんが「入れてやろう。」
と言い、全員で始めた。
なめこは、まいたけと手をつないだ。
決着がつき、みんなが手を放したとき、まいたけがあることに気付いてしまった。
「わしの手ヌルヌル……。」ということに。
こうして、唯一の味方のまいたけにも嫌われてしまった。
買われるまで、なめこ以外のみんなはたくさん遊んだ。
トランプに「入れて。」といえば、トランプがヌメヌメになり使い物にならなくなるから、
と断られ、マッチ棒をやろうとしても全員の指が汚れる、と言われた。
そして、買われるまでの間、なめこは一人で悲しんだ……。
そろそろ、日が暮れるというころ、一人の主婦がこの「きのこのバラエティパック」
をかごに入れた。
その主婦の家に持って帰られ……「きのこ炒め」にされた。
まぁ、なぜか炒められてもきのこたちの心は生きていて、おしゃべりできた。
えりんぎが「食べやすい俺が一番早くなくなるな。」といい、
しいたけが「私、一番かどうか分からないけど、キモイなめこよりは人気があると確信できるわ。」
と言い、みんなも同調。
なめこ自身もすっかり自信を無くしてしまった。
家族みんながあつまったところで……
「いただきまーす!」
みんながきのこ炒めに箸をのばした。
きのこ達はドキドキだ。
家族が話し始めた。
「僕、しいたけが食べたいなぁ。」
ほらみた、としいたけは思った。
しかし、「でも、なめこも独特でおいしいよなぁ。」
という声も聞こえた。
なめこを含めた全員が耳を疑った。
「えのきもしめじもうまいけど……。」
うまいけど……?
「やっぱ、なめこが好きだなぁ。」
人間はなめこの独特な感じが好きらしい。
みるみるうちになめこがなくなっていく。
残ったきのこたちは、もう驚きと悔しさを通り越して、
なめこを尊敬するばかりだった。
みなさん、どうでしたか?
この話で、きのこを見る目が変わるといいです。