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現状把握から始めよう


さて、あの腹黒王子シオン様。第二王子なのに権力をくれてやると言えるには理由がある。

この国、ランダハル王国は長子継承という文化がない。次男だろうが三男だろうが優秀であれば後継ぎになれるのである。今の王子は三人いる。第一王子であるハルタ様は病弱らしく表舞台にはほとんど現れない。そして次男であるシオン様は学園の成績も優秀であり、剣術の腕前も高い。見目麗しく品行方正であり、人当たりもよい。そのうえ周囲を納得させる圧倒的な雰囲気をもった男である。それから第三王子のサキヤ様はである。学園の二つ下にいるが、粗野で荒っぽい印象を与えるが美丈夫であり「あにきー!」と呼びかけたい雰囲気である。男の憧れる男である。今のところ、第二王子と第三王子の一騎討ちかと思われている後継ぎ問題。しかし、女性が後を継ぐということは稀であるが前例はいくらでもある。この国の王女は一人。ユリア様である。第二王子の一つ上であり、この学園の女王様である。彼女が王位継承に討って出るか否かでまた形勢は一変するであろう。

ちなみに後継ぎ問題はシャルロッテ家も抱えている。今の私には弟が一人いる。この学園に来てはいるのだが寮で引きこもりである。幼少の頃からいじめられっ子体質であった。彼が今後どうするか。母は弟を産んで三年後に亡くなっており、父はそれ以来無気力となり田舎の領地に引きこもっている。親子揃って引きこもりとはメンタル弱いんだからー。しかし引きこもりでも男爵が勤まるなら弟にも出来ないことはないだろう。

そんな引きこもり男に囲まれて育ったマリアである私は、どうやら使用人に甘やかされて上には媚び下には横柄というなかなかの性格の悪さに仕上がっていたようだ。だが彼女なりに生き延びることに必死だったのだろう。そのかいあって田舎男爵という父の位の割りに公爵令嬢の下っ端Bまで登り詰めたのだ。なかなかの努力である。ただ、どうも彼女は必要なことしか学ばなかったらしく、知識に偏りがある。貴族の系譜・階級、それから礼儀作法には異常に詳しいのだが学園の経済学だの政治学だの地理学、数理学には全く興味がなかったらしい。とりあえず、無学であるより貴族として生き延びる知識だけはきちんと身に付けていただけで重畳である。今後も役に立ちそうである。



「とりあえず、身体が重い!!」



この身体には要らぬ脂肪が付きすぎである。校舎から寮までの移動で息が上がる。季節は秋も過ぎ、これから冬を迎えようというのに暑苦しい。前世でもここまで太った記憶はない。偏った食生活のせいか肌荒れもひどい。これはひどい。唯一母親譲りの銀髪と紫紺の瞳くらいしか美しい要素がない。顔は肉まみれで判別ができない。寮の部屋にはダイエットをしようとは思っていたのだろう。春までに70セルという目標が掲げられている。セルは日本でいうキロらしいが。16歳。まだ新陳代謝は活発なので努力次第では痩せられるだろう。

母親は子爵令嬢であり、ハッキリした顔立ちの美しい人だった。記憶の中にもあるが、なぜこのような豚を産み落としたのだ。父は幸薄そうな顔をしたひょろい人である。母がなぜ父を選んだのかは謎である。身分の釣り合いだったのかもしれないが、父はことのほか母を愛していた。亡くなってから引きこもりになるほどに。この家庭の問題も何とかせねばなるまい。

しかし、太る遺伝子はないはずなのにあまりに肥えすぎである。まずは最低限の見苦しくない見た目になることと勉学に励もう。マリアはどうやら記憶力は悪くないらしい。どこまで使える人間かは分からないが下っ端Bまで登り詰めた手腕から察するにそこまで愚鈍ではないはずである。

全力をもってしてあの悪魔のような王子を納得させるべく行動させていただこう。

とりあえず、寮の食事はバイキングであるが肉と甘味だけを食べるではない。野菜を食べるところからだ。

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