ケチャップの帰宅
「ああ、わたしケイト・ケチャップマン大佐は」
「栄誉ある初陣での戦闘に生き残ることが出来た」
「これは奇跡である・・・」
「わたしの愛機、マーガレット8世は今日も元気だ」
「今、わたしの目の前に」
「恒星の太陽の光が差し込んでくる」
「この瞬間にわたしは、人類と宇宙の平和のために」
「アストロノーツとしての第一歩を歩み出す決意を」
「固めたのであった・・・まるっと・・・」
「・・・うーん我ながら傑作ね」
「しっかしこの、鉛筆と消しゴムとメモ帳っていう」
「原始化石ハードは、便利でいいわねえ・・・」
「貧乏人のためにあるツールよね?」
「痛たたた!!」
「トリガーとミサイルボタン連打しすぎて」
「ケンショウ炎になりそう・・・」
「やっときた、あたしのミドルシップが・・・」
「おーい!ここだよお!ケイトちゃんでーす!」
ミドルシップ「∨・A・A」に機体ごと収容してもらった。
「まったく!派手にやってくれたわね?」
「やり過ぎを超えてるわよ?現役女子高生?」
「申し訳ありません!シャムロッド大尉殿!」
「命より大切な機体を壊してしまいました!」
「・・・まあいいわ」
「この異常に壊れてる機体を、サクラに直してもらうから」
「あんたは目障りだから消えなさい」
ビシッ!
「はっ!大尉殿!」
「宇宙航海日誌まるまるメートル」
「今、私の眼下には、人類未踏のジャングル」
「大回転ゾーンが広がっている」
「ついにここまで来たのだ」
「多くの宇宙移民を犠牲にしたが・・・」
「難民を産んだ歴史に終止符が打たれる」
「この険しいブッシュをナタで切り開けば」
「かぐや姫が隠れている竹やぶの竹が好きだと言える・・・」
「うーん。こんな感じで書けばいいのかしら?」
「しっかし」
「鉛筆と消しゴムと日誌帳で航海日誌を記録せよなんて・・・」
「マザー・レインも何考えてんのかしら?」
「確かに、燃やせば証拠隠滅できるし・・・便利よね」
「灰から再生する技術は、いまだに無いからねえ・・・」
現役女子高生のお帰りだわ。
どうしてくれようかしら、このお嬢様を・・・
「トリン艦長殿!」
「ケイト・ケチャップマン軍曹、帰還いたしました!」
ビシィッ!
「・・・・・」
「あなた・・・楽しんでるでしょ?」
「ぷっ!」
「?」
「いえ!・・・自分は真剣であります!」
「・・・・・」
「まあいいわ、近い内にあなたの実家のご両親と」
「星間ネットワークで面談しますから、そのつもりで・・・」
「!」
「艦長殿!せっしょうでござる!」
「はあ?」
「・・・その発言は、軍隊では適用されないわよ?」
「ご、ごめんなさい!」
「親にだけは密告しないでえ!!」
「・・・・・」
本当に疲れるわ、この現役女子高生は・・・宇宙をナメてる。




