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戦士の俺が、魔女に転職します  作者: 炬燵天秤
第1章 魔女に転職します
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第2話 ファイアーボールって何だっけ?

炬燵天秤です。


このペースは多分長くは続かない………!


せめて3、4日の間隔で頑張りますが。


ではどうぞ!

「えっと………、こっちがフィアナの言ってた部屋か?」


慎重に扉の奥を覗き込んでみると、そこまで広くない部屋に衣装棚と思われる箱が幾つか置いてある。あれに服が入っているのだろう。嫌な予感しかしないが。


「………やっぱ女物だよなぁ………」


試しに一つ確かめてみるが、当然のように全て女物。《影月》は女性のみで編成された諜報部隊。まあそれに対応して《黄昏》という男のみの部隊もあるのだが。


というか、確かに隠れ家じゃなくて休憩所だなこれは。服選びは女性のひと時の幸せなのだろうか。


ふと衣装棚の側に姿見が掛けられているのに気づく。勿論それに映っている自身の肢体にも。


「ふむ………、やはり美少女だな。それだけはあのサキュバスを褒めるべきか。だが、胸無いから俺の好みじゃないな」


身体をクルクルと回転させて全体を把握する。絹糸のようにサラサラな白髪、戦いなど経験したことのないようなきめ細やかな肌、十代前半の小柄で起伏に乏しいな身体はいとも容易く砕けそうな繊細さがある。


『ふむ。マスターの身体もなかなかそそるものがある。楽しめそうだ』


「………スルト、そんな趣味ロリコンだったの?」


若干杖から身を離して仰け反ると、スルトは憮然としたように空中に浮かび身体を揺らした。


『我の信条は愛すべきものは愛すだ。それがどのような齢だったとしても気に入ったのならその者を愛でる。それがスルトだ」


………杖のくせに立派な信条を持ってるな。


「やれやれ、なら服選び手伝ってくれよ」


『承知した。だがマスター、その口調は改めた方が良い。その美貌でその口調では確実に怪しまれる』


「………ぜ、善処する………よ」


自分で言ってて怖気が走ってしまうが、考えても仕方のないことなので衣装棚を漁ることで考えないようにした。



暫くスルトと相談して違和感のない、そして俺の許容範囲内の服選びに没頭した。一応満足のいくものを見つけたので着心地を確かめるために試着してみる。


「うん。これで行こう。気に入った」


『魔女というには合ってないかもしれないが、マスターには似合っている。かの人形師のようだ』


レイが選んだのは紫を基調としたフリル付きのゴシックドレス。カチューシャは流石にハードルが高すぎたのだが、ふと姿見に映る己を見直して愕然とする。


「可愛い。が、俺は何てものを着てるんだ………⁉︎」


大人しめ? の服を着たつもりだが、甘んじてこの状況を受け入れてしまうとは。


『そういえばサキュバスの性転換魔法には、対象が体に慣れるために僅かながら補助の精神魔法が入っていたはずだ。じきに慣れるのかもしれないな。そうでなくても心は身体に影響を受けるが』


「うへぇ………」


肩を落としながらもチラチラと姿見に映る自分を見てしまう。やはり意外と似合ってる。


「さて、これからどうするか………、やっぱ試し撃ちだな」


『なにがやっぱなのかまるで分からないが、マスターがあのぺったん娘に運ばれている時に小さな洞窟を見つけた。おそらく小規模なダンジョンのはずだ』


「それフィアナの前で言ったらぶっ飛ばされるぞ………。ダンジョンか。肩慣らしには丁度良いか」


世界各地に存在する無数のダンジョンは大人1人で突破出来るものから大国の軍隊が挑んで敗れるなど様々な規模と難易度のものが存在する。近くにあるものは前者らしい。


「魔法職一人だけとかフラグな気もするけどな………」


『裏ボスにボコボコにされるというやつか? そういえばあの勇者は我らの知らない迷信を信じていたな』


「ま、今はこの身体に慣れなきゃな。幸い自分でヒール出来るし解毒薬とかも置いてあって助かった、………ね」


この口調に慣れなくてはいけないと思うと気が滅入る。兎に角、フィアナに書き置きを残し、ある程度の食料を拝借して小屋の玄関へと向かった。



「焚き火の匂いがする」


『焚き火? 近くに人がいると?』


レイは小屋を出て5分ほどしてから足を止めた。それは微かな、しかし見逃せないものだ。


「いや、オークの匂い。はぐれか偵察隊かは分からないけど小規模」


『五感は劣化していないようだな。………的にするのか?』


魔王軍がどれほど統制が取れているのか分からないが、国境付近まで来ているとなると由々しき事態だ。各国が包囲網を形成しているとはいえ、山中まで警戒することは流石に出来ない。


「仕留める。豚鬼オークの焼肉は美味しくないだろうから、勿体無い気もするけど」


『承知。………マスター、オークどもがこちらに向かってくる。数は………5。どうやら人間を追いかけているようだ』


「人を⁉︎ すぐに向かうよ! ………あたっ‼︎?」


飛ぶように地を蹴ろうとして失敗し、危うく転びかける。か、完全に身体のことを忘れてた………。


『落ち着いていけ、マスター。急がば回れと言うのだろう?』


「くうぅ………」


スルトに窘められつつ小走りで林道を駆ける。暫くしないうちに今のレイと同じくらいの年の神官服を着た少女が走って来るのが見えた。


その後方にオークも視認出来る。


「女の子を襲うとは………、処刑だな」


傍に浮いているスルトを掴み、魔力を収束させる。いつもより魔力がスムーズに身体を廻ることに驚くが、笑みを浮かべて杖を掲げる。


「そこの君! 伏せて‼︎ ーーーファイアーボーーール‼︎!」


瞬間杖の先で収束していた魔力が獄炎へと改変され、熱線となって直進する!


「あ、あれ………?」


間一髪避けきれた少女の頭上を通り過ぎ、ギャアギャアと喚いていたオーク達を一瞬で消し炭にした。


幸いな事に、あまりの高熱で周りの木々は延焼する事なく炭化した為、山火事の心配は無さそうだ。


既に熱線は消え去り、森に再び静寂が訪れた。


「………………」


『マスター、《火竜ドラゴン息吹ブレス》でも撃とうとしたのか?』


スルトが少し責めるような口調で尋ねてくる。が、


「ま、まさかぁ………」


分かるはずもなくそう答えるしか出来ない。


「………え、………え?」


伏せていた少女は訳が分からずにへたり込んでいた。

きんモザ面白い。


これとは何の関係もありませんが。


次の回でヒーロー出しておきたいなぁ………




感想を頂ければ幸いです。

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