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戦士の俺が、魔女に転職します  作者: 炬燵天秤
第1章 魔女に転職します
18/42

第17話 時代遅れ

まさかの連続投稿。こんなことがあり得るとは………


悪魔戦だけなのでかなり短いんですけどね。


第16話見ていない方は気をつけて下さい。

「一体あいつは………?」


虚空から次々と現れる怪物モンスターから逃げ惑う観客達を見て、黒い肌だとよく目立つ白い歯を見せて笑う悪魔を見上げ、睨みつける。


「悪魔よ。魔物とは全くの別種。それに物理が効かないから気を付けて」


取り敢えず空で笑っている姿がムカついたので《氷礫アイスショット》(衣装棚くらいの大きさ)をいくつかぶつけて叩き落とし、地面に拘束する。これでしばらくは時間を稼げるはず。


「そちらも無事なようだな」


アレンの腕から降りると、砂埃の中から人影が現れる。先ほどまで戦っていた相手ーーー


(なっ、ーーー親父っ!⁉︎)


危うく声に出してしまうのを必死に堪える。目を疑って何度も見返すが結果は変わらない。


ヴィルギード・アグニス将軍。短く刈り上げた白い髪に彫りの深い面貌、ゴブリン程度なら軽く睨み殺せそうな鋭い視線が俺たちのことを見ていた。


先程まで死闘を繰り広げていたのは、まさかの実父だった。


「ど、どうしてラスマール皇国の将軍がこんなところに………?」


「俺を知っているとは。ーーーガナード侯爵領は皇国から下賜された領地だ。監査という目的で剣闘会に出場していたとしても問題はないだろう?」


いやいや、与えたっていっても120年近く前の話だろうに。下手したら国家間の問題にだってなるだろ。


「小娘が言いたいことは分かる。だが今回はガナード侯爵に認められたことだ」


小娘どころかお前の息子なんですがそれは。幸いそのことには気づいていないーーー


「ガナードがシル王国に行く遠因になった俺のバカ息子がいてな。そいつと小娘の剣技が似ている。ネアといったか、なにか知っているのではないか?」


って、思いっきりばれてるし! まさかここで会うとは思わなかったからどうやって誤魔化せば良いかわからないんだけど⁉︎


「なあ、そんなことを詮索してる暇は無いんだが?」


「そ、そうよ。まずはあの悪魔をなんとかしないと………」


置いてけぼりだったアレンが助け舟を出してくれるたのでありがたくそれに便乗する。睨むような視線から目をしばらく逸らしていたら諦めたのか親父は顔を悪魔へと向けた。


「ふん。………武芸者の大会に割り込むなど愚かな悪魔もいたものだな。やはりバカとバカ息子の仮説は正しいということか」


バカは勇者のことだ。バカと言われても仕方の無い行為(女湯覗き見とか)を俺と一緒に繰り返してたし。お陰でダークエルフの王城を出禁になって勇者が正式な謁見を許されなかったという伝説も出来てしまった。行きがけにダークエルフのお姫様を助けていなかったら打ち首だったかもなぁ………


「アレンはアグニス将軍と一緒に前衛で時間稼ぎをやって。可能なら倒しちゃっても構わないから。その剣なら悪魔にも通るはずよ」


思考は脱線していたが、悪魔の滅ぼす為の闇魔法・・・悪夢の閉鎖世界ナイトメア・ディストピア》の詠唱は始めておく。昔神聖魔法を無効化する悪魔が現れた時に勇者やエルフ達と共同開発した呪文の一つだ。


「わかった。すぐに倒してくる」


「若造、石化の魔眼にだけは気をつけろ。生き残れたら酒でも奢ってやる」


「一番良い酒でよろしく」


アレンは不敵に笑い、光を帯びた聖剣を正眼に構える。最近始めた魔法の訓練でようやく補助魔法を扱えるようになった。攻撃魔法はノーコンなので禁止している。


これ以上被害を出さない為にも詠唱を急ぐ。そう、別に将軍のお金で高いお店に行きたいからでは決してないのだ。


『下等種の分際で私を蠅のように叩き落としましたね? 獅子のくせして身の程を知らない者どもめ』


おい悪魔、自分を卑下して相手を持ち上げてどうする。


「なら悪魔、とっととその身を焦がしやがれ‼︎」


聖剣を振りかぶったアレンは真正面から突進して《烈波》を放つ。あいつ、初っ端からゴリ押しで戦うつもりか?


『フフフ、残念ながら私に剣は効きま、グハッ⁉︎ 貴様、もしやその剣は!⁉︎』


なにやら余裕をぶっこいていた悪魔がアレンの一撃をもろに受けて瀕死だ。更にウィルギードの双剣が反撃しようとした大爪を右腕ごと斬り飛ばす。


『ガッ⁉︎ な、なに⁉︎ たかが黒鉄で私の防護障壁を破るだと⁉︎』


深い傷を負い、腕を失うという死に体だが、なんとか死ぬ前に詠唱が間に合う。勇者に教えてもらった早口言葉を練習した甲斐があった!


「世界に仇成す邪神の僕に望み滅んだ永遠とわの監獄を。《悪夢の閉鎖世界ナイトメア・ディストピア》‼︎!」


起句を唱え終わると同時に、魔法陣から現れた影の蛇達が悪魔に襲い掛かった。爪を、左腕を、脚を、はらわたを食い荒らされていく悪魔は醜くもがきながら悲鳴をあげる。


『ガアァアア⁉︎ ナゼだ。何故私がこうも容易く滅びなくてはいけない⁉︎ ベカードレイク様の左腕である私がっ⁉︎』


「人間のこと、知らな過ぎよ」


怪物達が剣闘会の出場者や街の騎士団に討伐されていくのを見ながら冷たく告げる。


悪魔は学ばない。それが勇者と俺の出した仮説だった。突然現れては神聖魔法にやられ、聖剣で討たれ、果てにはただの闇魔法でもその身を滅ぼされるようになった。敵の戦力を測ることもせず、己は上等種だから負けないと盲信してその自尊心ごと粉々に身体を砕かれて終わるのだ。これを学ばないと言わずしてなんというのか。


『あ、あアア、ア……………』


10年ぶりに現れた悪魔は、半刻を待たずに頭角だけを残して砂となって消えた。

悪魔は弱いわけじゃないんです。あれです。wiki見て初見殺しだけ注意していれば特に苦戦することもなく倒せちゃうボスモンスターみたいな。不憫(´・ω・`)




いっそのこと勇者パーティー時代のことも書いた方が良い気がしてきたかも?(無謀)

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