プロローグ 王都落城
初めまして
処女作ですがよろしくお願いしますね。
性転換ものですがそこまできついものを書くつもりはありませんのであしからず。(書けないともいう)
あと今回はまだ男なので注意を。
ではどうぞ!
火の手が上がり、倒壊していく王城を背景に走り続ける。
「城が………、お父様ーーー‼︎?」
腕に抱えた少女ーーーこの国の王女があげる痛切な叫び声をなるべく聞かないようにして焼き払われた王都の街並みを俺ーーーレイは駆け抜けていた。
『ギャア、ギャアギャア‼︎』
逃げ惑う王都の民を殺戮していたゴブリン達が高速で駆けていく俺に気づき、不快な叫び声を上げる。大方仲間でも呼んだんだろうな。
「テメーらと戦ってる暇なんてねぇんだよ!」
一体どこから嗅ぎつけてくるのか、わらわらと百を超えるゴブリンが粗末な武器を手に追いすがろうとしてくる。ああ、オークまで姿を現してきやがった。
『ガアァァアアア‼︎』
「五月蝿え!」
民家の陰から鉄の棍棒を振り上げてきたオークの頭を足場にして石造りの建物の木製の屋根に跳び乗る。
「クソったれが………っ」
「王都が………」
そこからは王都を一望出来た。美しかった街を燃料とした黒煙は薄暗い空まで届き、黒く焦げた石壁はボロボロと崩壊していく。王都を誇りとしていた民は凶爪に伏し、数多の魔物が滅んだ都を謳歌している。
「姫さん。行きます。森まで逃げ切れれば守備隊のやつらもいるだろうし、信頼出来る友人もいる」
「わかり………ました………」
予想することなど出来なかったであろう落日にも、涙を流し、崩れ落ちそうな足を奮い立たせて頷いた。流石はあの王様の娘か。
密かに感心し、絶対に送り届けなければと決意を新たにしたところで、背後に魔力が集まっていくのを感知する。
「ったく、娘さん1人すら逃さないとか、魔族はケチだな?」
「そんなことはない。我々に必要なのはその巫女1人だけなのだからな」
魔方陣から現れたのは、2人の絶世の美女だった。勿論人間ではなく魔族だったが。
(メイド服の方はサキュバス。………もう片方は………混種か? 見たことない魔族だな)
姫を降ろして背後に庇いつつ、背中の赤黒い色をした剣の柄に手をかける。いつでも抜けるように構え、相手の情報を得る為に挑発する。
「見たことねぇ種族だな? 魔界の新参者か?」
鼻で笑いながら尋ねると、青白い肌の混種が笑みを浮かべた。
「確かに、新人ではあるな。魔王の新人では」
「そんなっ、魔王が………⁉︎」
見るものを圧倒する膨大な量の魔力が女魔王から発せられ、空気が澱んでいく。常人なら正気を保てないレベルだ。
「魔王様、角魔の長から城にいる人間を全て討ち果たしたと連絡がきました」
「そうか。この街以外も滅ぼすのだ。英気を養う宴の準備をしろと伝えておけ」
「仰せのままに」
………どうやら、人間界の侵攻が目的らしいな。全く、魔王はどんなやつでも方針を変えないらしいな。
「さて、名のある剣士と見受けるが、我が配下となり相応の戦果を上げれば、それ相応の領地をやらぬこともな
「死ね」
お決まりの定型文を言わせる前に、先制攻撃の焔槍を投げつける。当然のようにメイドサキュバスに受け止められたが、その隙に姫さんを抱えて城門へと駆け出す。魔王とタイマンなんてやってられるか。三十六計何とやらと勇者も言っていたしな。
「残念だ。ならば、ここで堕ちろ」
魔王が手をかざすと同時に巨大な氷槍が現れる。その大きさ、この街の大聖堂の塔くらいないか?
「なに、痛みは一瞬だけだ。苦しまずに死ぬさ」
愉悦に満ち満ちた表情で腕を振り下ろす。それに従って氷槍は俺たちに向かって墜落してくるな。
「あ、ああ………」
「心配するな。姫さん」
絶望の表情を浮かべている少女に笑いかけ、剣の柄を強く握り込む。
「灼き払え。スルト」
ゴウッッツ‼︎!
刹那、天を貫く火焔が迸り、巨大な氷槍を吞み込むと同時に一瞬で蒸発させた。
「………ほう?」
「魔人の使い手………まさか今代の勇者?」
驚きを隠せなかったらしく、メイドサキュバスはその美しい瞳を見開いている。
「姫さん、こいつらを足止めしたら必ず戻る。先に守備隊のところに行っててくれ」
一枚しかない魔法転移符を少女に翳すと、身体が光に包まれる。本来は自分用の緊急脱出魔法アイテムなのだが、背に腹は替えられない。
「レイさん⁉︎ そんな………レイさ」
緊急脱出用だけあって一瞬で消え去った。ちょっとは笑えただろうか?
精神を研ぎ澄ませ、魔王へと向き直る。
「さて、悪いが痛めつけるぐらいはさせてもらうぜ? 魔王」
「巫女を逃した代償は払ってもらうぞ? ………名はなんと言う?」
「先代の勇者パーティーが魔法剣士、レイ。………行くぞ、魔王‼︎!」
一瞬で魔王との距離を詰め、斬りかかる。
「我が名はメアリーアーチェ。人間界に絶望を振りまきに来た!」
焔を纏う剣を凍て付いた斧で受け止められる。暫くの拮抗の後、共に弾き飛ばされた。その間隙を縫うようにしてメイドの魔法がレイに襲い掛かかる。
「ぐっ‼︎」
(これは、無理かもな………)
魔法弾を躱しながら結末を確信する。しかし、せめて魔王にはダメージを与え、魔族の侵攻を食い止める。
「絶望せよ、人間ども! 己が弱さに失望し、抗うことなく闇に沈むがよい‼︎」
「そんなこと、させるかあぁぁぁあああ‼︎!」
死を確信しながらも、俺は魔王へと突撃したーーー
まだプロローグですが、いかがでしたか?
次で本編に入る為に戦いの描写はカットさせて頂きますね(汗)
レイ・魔王「「えっ⁉︎」」
と、というわけで次から本編ーーー美少女が活躍します。よろしくお願いします!
感想を頂ければ幸いです。