表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/76

4-15「灰色の兆し」

何者かが灰色の村を再現しようとしているのか!?

王都で兆しの事件が起きた。

クレージュの対応は?

それは、夜明け前に起きた。


王都外縁部。

城壁にほど近い倉庫街。


巡回中の衛兵が、最初に異変に気づいた。


「……何だ、これ」


石畳の一角が、淡く変色している。


霜のようにも見える。

だが、冷たくはない。


触れた瞬間。


魔力が、逆流した。


「ぐっ……!」


衛兵が膝をつく。


魔力が吸われる。


奪われる。


音もなく。


静かに。


それは、灰色の村とよく似ていた。


だが今回は――


“六彩は関与していない”。



「倉庫街で魔力異常です!」


朝の報告が、クレージュの元にも届いた。


「……行きます」


迷いはない。


フレイとアーニャも同時に動く。


現場に着いた時、

既に小規模な結界が張られていた。


魔導院の初動班。


「六彩は下がれ」


到着と同時に、冷たい声。


「原因不明だ。

刺激は避けたい」


クレージュは反論しない。


代わりに、目を閉じる。


(……感じる)


これは、暴走ではない。


圧縮。


誘導。


“流れ”を歪める力。


「……六属性じゃない」


ぽつりと呟く。


「何だと?」


魔導士が振り向く。


「これ、単一属性じゃありません」


「でも六彩でもない」


クレージュはゆっくり膝をつく。


地面に触れる。


吸われる感覚。


だが、流れがある。


「……奪う魔法じゃない」


「“集めている”」


その瞬間、

灰色の部分が広がった。


衛兵が一人、倒れる。


「下がれ!」


フレイが叫ぶ。


だがクレージュは動かない。


(ここで暴発させたら)


六彩が原因にされる。


管理の理由になる。


だから。


深く息を吸う。


火も、雷も、使わない。


光も使わない。


選ぶのは――


風。


極めて弱く。


流れを読むだけの風。


灰色の中心を探る。


(……ここだ)


一点に、魔力が集約している。


誰かが“回路”を作った。


意図的だ。


クレージュは、土属性をほんのわずかに重ねる。


遮断ではない。


“逸らす”。


魔力の流れを、横へ流す。


灰色が、止まった。


「……止まった?」


魔導士が目を見開く。


クレージュは額に汗を浮かべながら、立ち上がる。


「壊してません」


「流れを変えただけです」


「根は、別にあります」


沈黙。


魔導院長が一歩前に出る。


「……六彩は使ったか?」


「いいえ」


「二属性だけです」


「最低限で」


魔導院長は、静かに息を吐く。


(制御している)


周囲の空気が変わる。


恐怖ではない。


評価。


クレージュは、倒れた衛兵のそばへ行く。


「大丈夫です。

命は吸われていません」


衛兵は、ゆっくりと目を開けた。


「……助かったのか」


「はい」


クレージュは、静かに頷く。


その様子を、

少し離れた場所から見ている人物がいた。


フランソワーズ。


そしてさらに遠く。


塔の上から見下ろす影。


エイド。


「……ほう」


エイドは小さく呟く。


「暴れないか」


「枠を壊さないか」


「力を誇示しないか」


そのすべてを、

彼はしなかった。


王都の空気が、変わる。


今度は、

六彩のせいではない。


“六彩が止めた”。


その事実が、

静かに広がり始める。


だが同時に。


管理派は焦る。


「……彼は」


軍部代表が低く言う。


「理想だけでなく、

実力も証明した」


それは、

最も厄介な存在への進化だった。


六彩は危険か。


それとも必要か。


問いは、

もう曖昧ではいられない。

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ