3-6「悲劇を知りそして選ぶ答え」
灰色の村の出来事を知り、フレイとエイドの立場を理解したクレージュ。
そしてこの悲劇を知った上でクレージュはひとつの答えを出そうとしている。
夜明け前の空は、
まだ色を決めきれずにいた。
灰色の村を離れて、
一行は森の中で足を止めていた。
◆
焚き火は小さくもえていた。
誰も、よく眠れてはいない。
クレージュは、少し離れた場所で一人、立っていた。
(……同じなんだ)
フレイの話。
そして――
まだ会っていない男、
エイドの選択。
どちらも、
“灰色の村”を起点にしている。
(守りたかった)
(二度と、同じことを起こしたくなかった)
理由は同じだ。
ただ、
選んだ道は違うだけ。
背後で、
足音がした。
「……眠れないか」
フレイだった。
「はい」
クレージュは、正直に答える。
「なんか色々考えてしまって」
フレイは、隣に立ち、同じ空を見る。
「……あいつのことを、考えてるのか?」
「いえ、エイドのことです」
フレイは、小さく息を吐いた。
「そうか」
「……間違ってないと、思うんです」
クレージュは、
言葉を選びながら続ける。
「エイドのやり方は、冷たいかもしれない」
「でも、世界を守るためのひとつの選択です…よね」
「……そうだな」
フレイは、否定しなかった。
「俺も、そう思ってる」
クレージュは、少し驚いたようにフレイを見る。
「だが」
「俺はそれを選べなかった」
「……どうしてですか」
「管理すれば、被害は減る」
「力を制限すれば、安心できる」
「それでも――なぜ?」
フレイは、
少し考えてから答えた。
「……信じたかった」
「力と一緒に生きれることを」
「管理されなくても」
「縛られなくても」
「力と共に生きることのできる人間が、いるってことを」
クレージュの胸が、
静かに熱くなる。
「……俺は」
言葉が、自然と溢れた。
「どちらにも、なりたくないです」
フレイは、
黙って聞く。
「管理されるのも、誰かを管理するのも」
「……怖い」
「でも」
クレージュは、拳を握る。
「放置して、何かを失うのは」
「もっと、嫌です」
フレイは、
ゆっくりと頷いた。
「……それが、お前の答えか」
「まだ、答えじゃありません」
クレージュは、首を振る。
「でも」
「逃げない、ってことだけは」
「決めました」
森の向こうで、
鳥が鳴いた。
夜が、
明け始めている。
「……いい顔だ」
フレイは、そう言って微笑んだ。
「昔の俺には、できなかった」
その言葉に、クレージュは
何も返さなかった。
だが――胸の奥で、
何かが定まりつつある。
(同じ力)
(同じ悲劇)
(それでも、違う答え)
◆
朝日が、
森を照らし始める。
灰色ではない光が、
静かに広がっていく。
──二つの正義を知った少年は、
どちらにも立たないことを選んだ。
──だがそれは、
無責任ではない。
──“自分の答えを持つ”ための、
第一歩だっ
お読みいただきありがとうございます。
次回はクレージュの内面と能力との距離を描きます。
お楽しみに。




