2-10「隣に立つ理由」
クレージュはアーニャの提案に乗り
新しい道を見つけたようで…
朝の空気は、冷たかった。
◆
クレージュは、
焚き火の残り香で目を覚ました。
「……あ」
体を起こすと、
すぐ近くにアーニャがいた。
短剣を腰に差し、
周囲を警戒している。
◆
「……おはようございます」
「おはよう」
短い返事。
◆
体を動かすと、
昨日の疲労が、
ずしりと残っているのが分かった。
「……昨日のこと、
覚えてます?」
◆
クレージュは、
少し間を置いて頷いた。
「……はい」
「怖かったです」
◆
アーニャは、
否定しなかった。
「普通」
「怖くない方が、
おかしい」
◆
一瞬の沈黙。
◆
「……ねえ、クレージュ」
「はい」
「これから、
どうするつもり?」
◆
問いは、
シンプルだった。
◆
「……逃げ続けるのは、
無理ですよね」
「そう」
「回収屋は、
諦めない」
◆
クレージュは、
拳を握る。
「……だったら」
「制御するしかない」
◆
その言葉を、
自分の口で言ったことに、
少し驚いた。
◆
「六彩を、
ちゃんと扱えるようになる」
「壊さないために」
◆
アーニャは、
それを聞いて、
小さく息を吐いた。
「……やっと言った」
◆
「え?」
「昨日の夜から、
そう思ってる顔してた」
◆
クレージュは、
苦笑する。
「……顔に出ますか」
「めちゃくちゃ」
◆
少しだけ、
空気が和らぐ。
◆
アーニャは、
真っ直ぐにクレージュを見る。
◆
「……私も、
行く」
「え?」
「一人じゃ、
死ぬ」
即答だった。
◆
「それに――」
◆
言葉を選び、
続ける。
「……あんた、
一人で力を背負うタイプじゃない」
◆
クレージュは、
しばらく言葉を失った。
◆
「……いいんですか?」
「危ないですよ」
◆
「今さら」
アーニャは、
肩をすくめた。
◆
「危ない奴を、
一人にしとく方が危ない」
◆
その言葉に、
胸の奥が、
少し温かくなる。
◆
「……ありがとうございます」
「礼はいらないよ」
「ただし、同行するなら、
条件がある」
「条件…ですか?」
「力を使う時は、
必ず言う」
「一人で判断しない」
「……分かりました」
◆
アーニャは、
小さく頷く。
◆
「次の街、
行き先は決めてる?」
「……いえ」
◆
「じゃあ、ここにしよう」
地図を広げ、
指で示す。
◆
「ルーン学派の拠点がある街」
「魔法研究者が集まる場所」
◆
クレージュは、
目を見開いた。
◆
「……制御を、
学べるかもしれない」
◆
「可能性はある」
「ただし――」
「面倒な連中も多い」
◆
クレージュは、
小さく笑った。
「……今さらですね」
◆
二人は、
荷をまとめる。
◆
太陽が、
完全に昇る。
◆
草原の向こうに、
次の道が伸びていた。
◆
クレージュは、
一歩踏み出す。
今度は――
隣に、
誰かがいる。
◆
──六彩の少年は、
初めて「一緒に進む」ことを選んだ。
──それは、
力を制御するための旅。
──そして、
本当の意味での“仲間”が始まる旅だった。
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