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2-10「隣に立つ理由」

クレージュはアーニャの提案に乗り

新しい道を見つけたようで…

朝の空気は、冷たかった。


 



 


 クレージュは、

 焚き火の残り香で目を覚ました。


 


「……あ」


 


 体を起こすと、

 すぐ近くにアーニャがいた。


 短剣を腰に差し、

 周囲を警戒している。


 



 


「……おはようございます」


 


「おはよう」


 


 短い返事。


 



 


 体を動かすと、

 昨日の疲労が、

 ずしりと残っているのが分かった。


 


「……昨日のこと、

 覚えてます?」


 



 


 クレージュは、

 少し間を置いて頷いた。


 


「……はい」


 


「怖かったです」


 



 


 アーニャは、

 否定しなかった。


 


「普通」


 


「怖くない方が、

 おかしい」


 



 


 一瞬の沈黙。


 



 


「……ねえ、クレージュ」


「はい」


「これから、

 どうするつもり?」


 



 


 問いは、

 シンプルだった。


 



 


「……逃げ続けるのは、

 無理ですよね」


 


「そう」


 


「回収屋は、

 諦めない」


 



 


 クレージュは、

 拳を握る。


 


「……だったら」


「制御するしかない」


 



 


 その言葉を、

 自分の口で言ったことに、

 少し驚いた。


 



 


「六彩を、

 ちゃんと扱えるようになる」


 


「壊さないために」


 



 


 アーニャは、

 それを聞いて、

 小さく息を吐いた。


 


「……やっと言った」


 



 


「え?」


 


「昨日の夜から、

 そう思ってる顔してた」


 



 


 クレージュは、

 苦笑する。


 


「……顔に出ますか」


 


「めちゃくちゃ」


 



 


 少しだけ、

 空気が和らぐ。


 



 


 アーニャは、

 真っ直ぐにクレージュを見る。


 



 


「……私も、

 行く」


 


「え?」


 


「一人じゃ、

 死ぬ」


 


 即答だった。


 



 


「それに――」


 



 


 言葉を選び、

 続ける。


 


「……あんた、

 一人で力を背負うタイプじゃない」


 



 


 クレージュは、

 しばらく言葉を失った。


 



 


「……いいんですか?」


「危ないですよ」


 



 


「今さら」


 


 アーニャは、

 肩をすくめた。


 



 


「危ない奴を、

 一人にしとく方が危ない」


 



 


 その言葉に、

 胸の奥が、

 少し温かくなる。


 



 


「……ありがとうございます」


 


「礼はいらないよ」


「ただし、同行するなら、

 条件がある」


「条件…ですか?」


「力を使う時は、

 必ず言う」


「一人で判断しない」




「……分かりました」


 



 


 アーニャは、

 小さく頷く。


 



 


「次の街、

 行き先は決めてる?」


「……いえ」


 



 


「じゃあ、ここにしよう」


 


 地図を広げ、

 指で示す。


 



 


「ルーン学派の拠点がある街」


「魔法研究者が集まる場所」


 



 


 クレージュは、

 目を見開いた。


 



 


「……制御を、

 学べるかもしれない」


 



 


「可能性はある」


 


「ただし――」


「面倒な連中も多い」


 



 


 クレージュは、

 小さく笑った。


 


「……今さらですね」


 



 


 二人は、

 荷をまとめる。


 



 


 太陽が、

 完全に昇る。


 



 


 草原の向こうに、

 次の道が伸びていた。


 



 


 クレージュは、

 一歩踏み出す。


 


 今度は――

 隣に、

 誰かがいる。


 



 


──六彩の少年は、

 初めて「一緒に進む」ことを選んだ。


 


──それは、

 力を制御するための旅。


 


──そして、

 本当の意味での“仲間”が始まる旅だった。

お読みいただきありがとうございます


明日から本業始まりますが、頑張って投稿していきます!

応援よろしくお願いいたします。

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