2-7
昨日投稿できなかったので今日は夜にも投稿します。
クレージュに迫る何かとの出会い。
これからどうしていくのか…
その違和感は、
朝から消えなかった。
◆
ギルドの掲示板を前にしても、
クレージュの意識は外に向いている。
(……視線がある)
誰かに見られている。
だが、姿はない。
◆
「……ねえ」
アーニャが、
小さく声を落とす。
「今日は、
少し様子がおかしい」
「……俺も、
そう感じてます」
◆
周囲の冒険者たちは、
いつも通りだ。
笑い声。
依頼の話。
昨日と何も変わらない。
――それが、逆に不自然だった。
◆
「外に出よう」
アーニャの判断は早かった。
「人が多い場所は、
隠れられる」
◆
二人は、
街の外れへ向かう。
石壁を抜け、
草原へ続く小道。
◆
そこで――
気配が、はっきりと形を持った。
◆
「……止まれ」
低く、
抑えた声。
◆
道の先に、
二人の人影が立っていた。
黒衣。
軽装だが、隙がない。
◆
「通行止めか?」
アーニャが、
短く言う。
◆
「いいや」
男は、
淡々と答えた。
「君たちに、
用がある」
◆
クレージュの胸が、
強く鳴った。
(……この感じ)
六彩が、
微かにざわめく。
◆
「名乗れ」
アーニャの声が、
低くなる。
◆
「――名は必要ない」
男は、
一歩前に出た。
「我々は、
“回収者”だ」
◆
その言葉は、
静かに告げられた。
だが――
空気が、凍る。
◆
「対象は――」
男の視線が、
クレージュに向く。
「君だ」
◆
アーニャが、
即座に前に出た。
「理由は?」
◆
「君は、
危険だ」
即答だった。
◆
「魔力が不安定」
「属性反応が異常」
「そして――」
◆
男は、
言葉を区切る。
「制御されていない」
◆
クレージュは、
歯を食いしばった。
「……俺は、
何も壊していない」
◆
「今はな」
男の声は、
感情を含まない。
「だが、
過去の事例では――」
◆
そこで、
アーニャが割って入る。
「“過去”で、
未来を決めるの?」
◆
一瞬。
男の視線が、
彼女に向いた。
◆
「それが、
最も犠牲が少ない」
◆
クレージュは、
一歩前に出た。
「……連れていくなら、
理由を全部話してからにしてください」
◆
男は、
少しだけ考える。
◆
「――君は、
六彩だ」
◆
その言葉は、
静かだった。
だが、
クレージュの世界を揺らすには、
十分だった。
◆
「六つの属性を持つ存在は、
世界に歪みを生む」
「管理されなければ、
災厄になる」
◆
クレージュは、
拳を握る。
「……だから、
閉じ込めるんですか」
◆
「保護だ」
訂正するように、
男は言った。
「君のためでもある」
◆
沈黙。
◆
アーニャが、
低く言った。
「……クレージュ」
◆
彼は、
ゆっくりと首を振る。
「……行きません」
◆
即答だった。
◆
「俺は、
選びます」
「壊さない方法も、
守る方法も」
◆
男は、
静かに息を吐いた。
「……そうか」
◆
「では――」
◆
男の手が、
腰の装置に伸びる。
◆
「次は、
“強制措置”だ」
◆
回収者たちは、
それ以上踏み込まなかった。
だが――
はっきりと分かった。
◆
もう、逃げられない。
◆
二人は、
しばらく黙って立っていた。
◆
「……狙われる理由、
分かりましたか?」
アーニャが、
小さく尋ねる。
◆
「……はい」
クレージュは、
空を見上げる。
「でも――」
◆
視線を戻す。
「だからって、
選択を奪われる理由にはならない」
◆
アーニャは、
何も言わなかった。
ただ――
短剣を、
静かに握り直した。
──六彩の少年は、
ついに“管理される存在”として
世界に認識された。
──だが、
彼はまだ――
選択を、手放していない。
お読みいただきありがとうございます。
今年もあと1日です。
今月より始まったこの物語ももう1ヶ月になろうとしています。
来年も応援よろしくお願いいたします。




