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幕間1

クレージュの知らないところでフレイはある男と出会っていた。ある男は何者なのか?そして目的は?

雨は、止んでいた。


 だが、空気はまだ湿っている。


 



 


 古い石造りの建物。

 かつては関所として使われていた場所だ。


 今は、

 誰も立ち寄らない。


 



 


「……来たか」


 


 低い声が、

 闇の奥から響いた。


 



 


 フレイは、

 ゆっくりと歩を進める。


 


「……呼び出したのは、

 お前だろ」


 



 


 影から現れた男は、

 黒衣に身を包んでいた。


 整った顔立ち。

 無駄のない立ち姿。


 


 ――エイド=クロウフォード。


 



 


「久しぶりだな、フレイ」


 


「……用件を言え」


 


 フレイの声は、

 乾いていた。


 



 


 エイドは、

 わずかに目を細める。


 


「変わらないな。

 剣を捨てても、

 構えだけは一人前だ」


 



 


「……」


 


 フレイは、

 何も返さない。


 



 


 沈黙が、

 落ちる。


 


 その沈黙を、

 エイドが破った。


 



 


「……六彩の兆候が出た」


 



 


 フレイの呼吸が、

 一瞬だけ止まった。


 


「……どこだ」


 


「街道沿いの都市。

 名もない場所だ」


 



 


 エイドは、

 淡々と続ける。


 


「対象は若い。

 未覚醒。

 だが、安定している」


 



 


「……あり得ない」


 


 フレイが、

 低く呟く。


 


「六彩は――

 安定しない」


 



 


 エイドは、

 静かに頷いた。


 


「だからこそ、

 異常だ」


 



 


 フレイは、

 拳を握った。


 


「……また、

 “回収”するつもりか」


 



 


「任務だ」


 


 即答だった。


 


「世界を壊す可能性は、

 管理されるべきだ」


 



 


 フレイは、

 一歩前に出る。


 


「――管理だと?」


 


「十五年前、

 お前は同じことを言った」


 



 


 空気が、

 一気に張り詰める。


 



 


「……灰色の村」


 


 フレイの声は、

 震えていなかった。


 


「覚えているか」


 



 


 エイドは、

 目を伏せた。


 


「……忘れたことはない」


 



 


「俺は、

 守ろうとした」


 


 フレイは、

 言葉を選ばない。


 


「何も知らないガキを、

 力を持っただけの命を」


 



 


「結果はどうだった」


 


 エイドの声は、

 低く、冷たい。


 



 


「……村は半壊した」


 


「少年は、

 消えた」


 



 


 フレイは、

 歯を食いしばる。


 


「それでも……!」


 



 


「それでも、

 世界は守られた」


 


 エイドは、

 一歩も引かなかった。


 



 


「感情で選ぶな、フレイ」


 


「選択を誤れば、

 犠牲は増える」


 



 


 フレイは、

 静かに笑った。


 


「……だから、

 俺は剣を捨てた」


 



 


「もう、

 俺は“選ばない”」


 


「――選ばせる」


 



 


 エイドの視線が、

 鋭くなる。


 


「……まだ、

 同じ過ちを繰り返すつもりか」


 



 


 フレイは、

 まっすぐに見返した。


 


「違う」


 


「今度は――」


 



 


「あいつ自身に、

 選ばせる」


 



 


 エイドは、

 わずかに息を吐いた。


 


「……変わらないな」


 


「お前は、

 いつも希望を見る」


 



 


「希望じゃない」


 


 フレイは、

 低く言った。


 


「覚悟だ」


 



 


 長い沈黙。


 


 やがて、

 エイドが口を開く。


 



 


「……まだ、

 直接は動かない」


 



 


 フレイが、

 顔を上げる。


 



 


「観測を続ける」


 


「だが――」


 



 


 エイドの瞳が、

 冷たく光る。


 


「一線を越えたら、

 俺は躊躇しない」


 



 


 フレイは、

 短く頷いた。


 


「……分かってる」


 



 


 二人は、

 それ以上言葉を交わさなかった。


 



 


 背を向け、

 別々の方向へ歩き出す。


 



 


 雨上がりの地面に、

 足音が響く。


 



 


 エイドは、

 立ち止まらなかった。


 


 フレイも、

 振り返らなかった。


 



 


 だが――

 二人とも、同じことを思っていた。


 


 次に会う時は、

 剣を抜くことになる。


 


──それでも。


 


──その選択が、

 誰かの未来を奪わないことを。


 


 二人は、

 それぞれの正義の中で、

 願っていた。

昨日は投稿できず申し訳ありませんでした

体調不良のため早々に寝てしまいました。

本日よりまたよろしくお願いいたします!


みなさんも年末年始お体に気をつけてくださいませ。

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