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1-21

いよいよリシェルと再会!

そして敵リーダーたちとの戦い。

クレージュ、フレイは誰かを守るために勝負へと挑んでゆく。

扉の向こうは、静まり返った空間だった。


 石造りの牢。

 湿った空気。

 壁に刻まれた無数の魔法陣。


 そして――


「……リシェ」


 クレージュの視線の先に、

 小さな光があった。


 



 


 リシェルは、鉄格子の向こうに立つ少年の姿を見て、

 一瞬、息を忘れた。


「……クレージュ……?」


 信じられない。

 でも、間違いない。


 胸の奥の温もりが、

 はっきりと答えを示していた。


「……来てくれたんですね」


 声が震える。


「はい。

 迎えに来ました」


 それだけで、

 リシェルの目に涙が滲んだ。


 



 


 だが――

 静寂は、長くは続かなかった。


「そこまでだ」


 低い声が、背後から響く。


 闇の中から、

 黒鴉の羽の男たちが姿を現した。


 幹部ファルゴ。

 その左右に、武装した配下が三人。


「六彩の器……

 思ったより早かったな」


 ファルゴの視線が、

 クレージュを値踏みするように走る。


「その程度の力で、

 白光を連れ帰れると思ったか?」


 



 


 フレイが一歩前に出る。


「……ここから先は、

 ガキの出番じゃねぇ」


「フレイさん……」


「下がれ。

 守るって言っただろ」


 だが、クレージュは首を振った。


「……俺も、前に出ます」


 剣を握る手に、力がこもる。


「この人は……

 俺が守るって、決めたんです」


 



 


 ファルゴが、楽しそうに笑った。


「ほう……

 “決意”か。

 それがどこまで通じるか、見せてもらおう」


 指が鳴る。


 



 


 闇の魔法が、

 一斉に放たれた。


 黒い刃。

 絡みつく影。


「……っ!」


 クレージュは一歩踏み出す。


(――守る)


 ただ、それだけを思った。


 


 火は壁となり、

 風は流れを逸らし、

 土は足場を固め、

 闇は影を飲み込み、

 光は、道を示す。


 


 六彩が、一つの意志として働いた。


 



 


 闇の刃は、

 クレージュの前で失速し、

 霧のように消えた。


「……なに?」


 配下の一人が、声を上げる。


「魔法が……通らない?」


 



 


「無理はするな!」


 フレイの声。


 次の瞬間、

 フレイの剣が唸りを上げ、

 敵の一人を地に伏せた。


 速く、正確で、容赦がない。


 



 


 ファルゴが舌打ちする。


「……面倒だ」


 彼は手を掲げ、

 より強い闇を集め始めた。


「ならば――

 白光ごと、砕く」


 



 


 その時だった。


「……やめてください」


 澄んだ声が、牢の奥から響いた。


 リシェルが、一歩前に出る。


「この人に、

 これ以上、手を出さないで」


 封印刻印が、淡く光る。


 



 


「殿下!」


 フレイが叫ぶ。


 だが、リシェルの瞳は揺れていなかった。


「……わたしは、

 守られるだけの存在ではありません」


 胸の奥で、

 白光が静かに灯る。


 



 


 クレージュは、

 その背中を見て悟った。


(……一緒に、立つんだ)


 剣を、少しだけ下ろす。


 力を“押し出す”のではなく、

 重ねる。


 



 


 白光が、

 六彩に触れた。


 


 光は増幅されず、

 調和した。


 眩しくない。

 だが、揺るがない。


 



 


 闇が、後退した。


「……あり得ない」


 ファルゴの声に、初めて焦りが混じる。


「白光と六彩が……

 共鳴している……?」


 



 


 フレイが、低く言った。


「……覚えとけ」


 剣先を向ける。


「ここは――

 “お前らの場所じゃねぇ”」


 



 


 配下の一人が倒れ、

 残りは後退した。


 ファルゴは、

 悔しげに笑う。


「……いいだろう」


 黒い羽根が、宙に舞う。


「今日は、退く。

 だが――」


 視線が、クレージュに突き刺さる。


「次は、全力だ」


 



 


 闇が引き、

 静寂が戻った。


 



 


 クレージュは、

 牢へ駆け寄る。


「……大丈夫ですか?」


 リシェルは、

 小さく笑った。


「……はい。

 来てくれるって、信じてました」


 



 


 クレージュは、

 鉄格子に手をかける。


 そして――

 封印刻印が、音もなく砕けた。


 



 


 二人は、

 初めて“同じ場所”に立った。


 戦いの中で。

 恐怖の中で。


 それでも――

 確かに、並んで。


 


──白光と六彩は、

 初めて重なり、

 そして、離れなかっ

お読みいただきありがとうございます。

リシェルを救出できたクレージュ。

暗い水路の中で再会できたことを静かに

喜ぶ二人…。


次回は物語がもっと動きます。

お楽しみに。

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