表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/223

7-64「再定義戦線」

 砕けた白の向こう。


 そこにあったのは——


 “静寂”ではなかった。


 「……まだ終わりじゃねえか」


 クレージュが、低く呟く。


 崩れたはずの世界は、完全には消えていない。


 むしろ——


 “組み替わっている”。


 砕けた断片が、再び集まり。


 より精密に、より強固に。


 “再構築”されていく。


 『異常要素、再定義開始』


 声が響く。


 さっきよりも、わずかに遅い。


 だが——確実に進化している。


 『対象:未定義存在』


 クレージュを指す言葉が、変わった。


 排除対象ではない。


 危険個体でもない。


 ——未定義。


 そして。


 『定義プロセス、優先実行』


 空間が、変質する。


 さっきまでの単純な“消去”じゃない。


 もっと厄介だ。


 “理解して、縛る”。


 そのための処理。


「……チッ」


 舌打ち。


 さっきの優位は、一瞬で帳消しだ。


 相手は学習する。


 そして、それが本質だ。


 『観測開始』


 その瞬間。


 何かが、“見てくる”。


 目じゃない。


 感覚でもない。


 存在そのものを、スキャンされるような感覚。


 思考。


 記憶。


 癖。


 選択。


 すべてが、読み取られていく。


「……気持ち悪ぃな」


 肩を鳴らす。


 だが、止まらない。


 むしろ加速する。


 『行動パターン解析』


 『意思決定構造抽出』


 『存在規則、仮定生成』


 嫌な予感が、確信に変わる。


 「……そう来るか」


 もしこれが完成したら。


 クレージュは、“定義される”。


 つまり——


 “消せる存在”に戻される。


「冗談じゃねえ」


 一歩踏み出す。


 止まってたら終わる。


 考えるより先に、動く。


 だが——


 『予測完了』


 その瞬間。


 空間が“先に動いた”。


 クレージュの進行方向を、完全に塞ぐ。


「なっ……!」


 まだ動いてない。


 なのに、止められている。


 『行動予測、適用』


 完全な先読み。


 偶然じゃない。


 確定で“次”を潰してくる。


「……やべえな、これ」


 笑う。


 危機感は、最高潮。


 だが同時に——


 燃える。


「なら——予測できねえ動きすりゃいいだけだろ」


 思考を、切る。


 意図を、削る。


 理由を、持たない。


 衝動だけで、動く。


 その瞬間。


 クレージュの動きが、“ズレた”。


 人の動きじゃない。


 論理も、連続性もない。


 前触れなく、横へ。


 次の瞬間には、逆方向へ。


 さらに——


 “ありえない位置”にいる。


 『……予測誤差、発生』


 初めてのズレ。


 完璧だった処理に、“誤差”が混じる。


「ほらな」


 笑う。


 息が荒い。


 限界は近い。


 それでも——止まらない。


「考えて動いてるうちは、読まれる」


 一気に距離を詰める。


 核へ。


 あの中心へ。


 『修正』


 だが、相手も止まらない。


 ズレた予測を、即座に補正。


 次の一手を、再構築する。


 「——チッ、早え!」


 間に合わない。


 このままじゃ、また捕まる。


 そのとき。


 ふと——


 頭の奥に、何かがよぎる。


 “外”。


 仲間たち。


 あの裂け目。


 繋がった一瞬。


「……そうか」


 小さく、呟く。


 まだ、完全に切れてない。


 あのときの“接続”。


 わずかに、残っている。


 『解析継続』


 気づかれていない。


 なら——


 「賭けるしかねえな」


 クレージュは、動きを止めた。


 あえて。


 完全に。


 『……?』


 予測が、止まる。


 動かない対象は、読みづらい。


 その一瞬の隙。


 クレージュは——


 “外”に意識を飛ばした。


 「——聞こえてんなら……」


 声にならない声。


 届く保証はない。


 それでも。


 「もう一回、繋げ」


 次の瞬間。


 核が、動く。


 『危険行動検出』


 処理が、間に合う。


 だが——


 その“前に”。


 ——外側で。


 微かに、空間が“震えた”。


 クレージュが、笑う。


 「……来たな」


 そして——


 内と外が、再び“接続”される。

お読みいただきありがとうございます。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ