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初めての訪問販売

夜の横浜みなとみらい。街は荒廃し、遠くで暴徒の怒声とゾンビのうめき声が混ざり合う。倒れた自販機、割れた窓ガラス、散乱したカート――通りの一歩一歩が危険を孕んでいる。主人公は防護服に身を包み、背中のバッグに水や食料をぎっしり詰め込み、静かに息を整えた。


「まずは最初の訪問先だ……」


頭の中で今日の計算を再確認する。

•水:仕入れ価格80円 → 販売価格100円 → 利益20円

•食料:仕入れ価格50円 → 販売価格65円 → 利益15円


「よし、初回の訪問で少なくとも利益は……」

バッグの中の物資を数えながら、主人公は利益の合計を心の中で計算する。今回の初訪問だけで、ちょっとした資金を生み出せる。


最初の訪問先は近所の住宅街の一軒家。荒れた外観に、かろうじて窓の光が漏れている。生存者の存在は確かめ済みだ。ドアの前で深呼吸し、ベルを押す。数秒後、扉がゆっくり開き、恐る恐る顔を出す住民。目には不安と警戒が混ざっている。外の暴徒やゾンビの危険を考えれば、簡単に引きこもる理由は理解できる。


「……誰ですか?」


「安心してください。必要な物資を届けに来ました」

主人公は落ち着いた声で答え、バッグから水と食料を取り出す。値段は提示するが、利益や仕入れのことは秘密だ。住民はしばらく迷ったが、外に出るより安全に物資を手に入れられると考え、受け取ることを決めた。


「……お願いします」


静かに物資を渡すだけで、最初の信頼は確保できた。主人公は微笑む必要もなく、冷静に次の行動を考える。利益の計算も頭の中で済ませ、今回の訪問で得たお金は、次の物資購入や防護服の補強に回せる。


家に戻る途中、主人公は夜の街を観察する。暴徒やゾンビの影がちらつく中、どの住宅を次に訪問するかを地図上でシミュレーションする。初回の訪問だけでは、安全圏も協力者も増えないが、物資で信頼を得ることが第一歩だと理解している。


そして心の中で、次の段階の戦略を組み立てる。ゆくゆくは住民にバリケード作りや見張りの協力を求める必要がある。その時は、「働いたら生きていける物資を提供する」という交換条件を使えば、人々は自然に行動するはずだ。今はまだ、その準備段階。


バッグの中の水や食料を数えながら、主人公は笑みを浮かべた。

「これで、少しずつでも俺の世界が作れる……」


夜風が防護服越しに肌を撫で、遠くでゾンビのうめき声が聞こえる。だが、家に戻れば安全で、利益も着実に積み上がる。主人公の計算と戦略は静かに回り始め、ずる賢く、誰も働かずに生きるための第一歩が確かに刻まれたのだった。

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