生存戦略を練る夜
窓の外、横浜みなとみらいの街は荒れ果てていた。割れた窓ガラス、散乱するカート、赤く揺れる観覧車のライト。暴徒やゾンビのうめき声が遠くで混ざり、街全体が混乱していることを告げていた。
だが、家の中は安全だった。ブレスレットの光がもたらしたショップスキルで、必要な物資は手に入る――水、食料、燃料、簡易医療品。戦闘能力はないが、外に出なくても生き延びられるだけの力はあった。
主人公はソファに腰掛け、頭の中で計画を組み立てる。
「まず現状の確認だな……」
外に出るのは危険だ。ゾンビも、略奪や暴動に走る生存者もいる。店舗は略奪され、物資は散乱している。しかも、金の価値が崩れれば、スキル自体が使えなくなる。物資は揃っても、秩序がなければ意味がない。
「よし……ここで考えないと」
スキルは物資を手に入れるための道具でしかない。人を動かすのは、自分の計画次第だ。食料や日用品を“報酬”として渡せば、住民は働くだろう。バリケード作り、見張り、補給……すべて物資と交換すれば、自分は家に籠もったまま生活できる。
頭の中で、理想のセーフティゾーンの地図を描く。
•安全な建物に物資を蓄え、外に出る必要のある住民には報酬を提示
•暴徒やゾンビが接近する危険地帯にはバリケードを設置
•金の価値を守るため、秩序を保つルールを作る
「……問題は、どのくらいの規模で始めるかか」
最初は小さく、信頼できる住民から始めるのが安全だ。少人数で秩序を守りながら作業を進めれば、金と物資の価値も維持できる。安全圏を拡大するのは、その後だ。
主人公は小さく笑う。
「ふふ……寝てても生活できる世界を作る……これ、結構楽しいかもな」
外の荒廃した景色を眺めながら、主人公は頭の中で計算を続ける。
小さなセーフティゾーンから始め、秩序を守り、物資の価値を落とさずに拡張する――その計画は、完璧に近い。
まだ、実際に物資を配ったり住民を動かしたりする段階ではない。だが、この夜、主人公の頭の中で、ずる賢い生存計画は静かに回り始めたのだった。




