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襲撃
教会の本部がある王都までは、約2週間の長い道のりとなる。馬車の進む速度はゆっくりとしたもので、道はそれなりに整備されているため酔うこともなく、旅は順調そのものだ。
出発初日は、緊張で景色を見る余裕などなかったが、今では木々の形を見て似ている動物を想像することが唯一の楽しみとなりつつある。
教会には家から使用人を連れて行くことはできず、基本的に身の回りのことは自分でしなくてはならない。
生まれてからずっと世話してくれていた使用人達にもう会えないかと思うと心細い。
木々の形を見るのにも飽きてきたその時、馬車がガタン止まった。
「何があったの?」
すぐに窓を開けて護衛の騎士に尋ねた。
「お嬢様、どうやら何者かに囲まれたようです。私がいいというまで、決してこの窓を開けてはなりません!」
切羽詰まった顔でそう言うと騎士は、窓を乱暴に閉めた。
私は怖くなり、ブランケットを被って丸くなった。
音だけが、外の状況を知る手段になってしまった。