表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グッラブ! 3  作者: 中川 健司
第10、11話 文化祭
91/107

第11話 文化祭 後編 P.8

めちゃめちゃ更新遅れてすみませんでした!メッセージまで、もらいました。励ましの言葉、ありがとうございます。これからも、頑張ります!

「まったくもう!無茶ばっかりするんだから!」


佐藤がヒロの傷の手当てをしながら怒った口調でそう言った。ヒロは傷が染みたらしく、「イテッ」と呟いた。健斗の傷の手当ては早川にしてもらっていた。


結局あのあと、二人の強い押しでほとんど無理矢理保健室に連れてこられたわけなのだが、幸いを期して先生はお昼休憩中ということで保健室にいなかった。ということで、先生に許可をもらい二人に傷の手当てをしてもらっているというわけだ。


「ほんっとに、二人ともバカなんだから!このバァカッ!!」


「わ、悪かったって。そんなに怒るなよ。」


「うるさい!バカバカバカ!こっちの気も知らないで、勝手に仲直りしちゃって!」


佐藤の怒りはしばらく治まらないようなので、健斗とヒロは仕方ないと言ったように互いに見合ってため息を吐いた。


「あ、えっと、早川もごめんな。何かすごく迷惑かけちゃって……」


健斗は申し訳なさそうに早川に頭を下げた。すると、早川は優しげな笑みを浮かべて首を横に振った。


「私はいいの。それよりも二人が仲直りして本当によかった。」


「うん。本当にごめん……そんであと、えっと……ありがとう。」


「え?何が?」


早川は何に対してお礼を言われているのか分からないといったようだった。もちろん早川に傷の手当てをしてもらっていることにもお礼を言いたかったのだが、それよりも……


早川がさっきああやって健斗の話し相手を聞いて、そしてあんな風に言ってくれなきゃ分からなかったかもしれない。


また同じ過ちを繰り返すところだった。誰かれ構わず拒絶をして、一人で悪い方向に進んでいくところだった。


あの頃とはもう違う。今は周りの言葉に耳を傾けることができる。あのとき出来なかったのとは違って。


それを言いたかったのだが、どうも照れ臭かった。


「えっと……そのー……このハンカチ。血がついちゃったし、絶対洗って返すよ。」


「え?あ、いいよ。気にしないもん。」


「いや、俺がそうしたいから。洗って返す。」


健斗がそう言い張ると早川は微笑みながら頷いてくれた。


「あーハイハイ。イチャイチャしちゃって。この浮気性!」


佐藤にそう言われて健斗は顔を赤くした。


「なっ!別にしてねーよ!つーか浮気とかなんだし!」


「浮気性ったら浮気性!!」


そんな理不尽な……


「なんだよ佐藤。俺たちだってイチャイチャしてんじゃーん。ほらイチャイチャーー」


「あんたは調子に乗るな!!」


なんとすかさず佐藤はヒロにアッパーカットを食らわせた。とても気持ちのよい音が響く。


「イッテェェェっ!!てめぇ!怪我人になんてことを!!」


「あぁん!?」


「なんてことをーーしてるんですか?すみません……調子に乗りました。」


「おぉ……ヒロがすぐに食い下がった。」


どうやら今の佐藤には冗談も通じないらしい。しかし、これでは治療しているのか怪我させているのか分からない。


「で、一体どうしたわけ?今日の健斗さっきまでずっと変だったし。それに麗奈ちゃんも……何だか様子が変だったし。」


「あ、もしかして……麗奈ちゃんと喧嘩したとか?


早川の言葉に健斗は図星を突かれたような思いになった。


「……まぁ、平たく言えば……そうなんだけど……」


「やっぱりね。そんなことだろうと思った。本当に、何回喧嘩すれば気が済むのよ?」


佐藤が言うように、この三人にとって健斗と麗奈の喧嘩を幾度と見てきたため、そんなことは日常の一部のように捉えていた。だから、佐藤もこんな反応をするんだろうと健斗は分かっていた。


しかし、健斗が困ったように真剣な表情で俯いているのを見た早川はじっとそれを見つめてから言った。


「マナ、最後まで話を聞いてみよう?なんだか、今回はいつもとは違うみたいだし。」


早川の言葉を聞いて、さっきまで呆れ顔でいた佐藤の表情も強ばってくる。その方が健斗的にもありがたかった。


「話を、聞かせてもらえる?」


早川が気をつかった言い方で、健斗に慎重に尋ねてきた。健斗が顔を上げると、早川は優しい微笑みで健斗を見つめていた。


それを見ると健斗の心の中に不思議な安堵感が沸いてきた。話したい。次第にそう思ってきた。それは、今まで感じることない気持ち。


友達に頼りたい。そう、そういう素直な気持ちだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ