第10話 文化祭 前編
お待たせいたしました!ついに第10話の始まりです。舞台は何と……文化祭っ!
第10話のあらすじ
サッカー部の廃部も無事なくなり、穏やかな日々に戻りつつあった。そして、学校行事の要である文化祭の時期になろうとしていた。
その一方、健斗は自分の本当の気持ちを受け入れつつも、なかなか素直になれないでいた。麗奈のことは好きだけど・・・それをどう伝えればいいのだろう。
そしてそんなある日、健斗はヒロの策略でなんと文化祭委員に任命されてしまう。しかもその相手はなんと・・・早川・・・?
甘酸っぱい気持ちを感じながらも、早川といっしょに文化祭を作り上げていく。
そんな中、麗奈は葛藤に悩んでいた。健斗と結衣が幸せになるために、自分のできることはなんだろう?
そしてある日を境に、麗奈は健斗に対して、ある決意を決めてしまう。それは、健斗への思いを断ち切るというものであった……
*文化祭編は、前編と後編で分けたいと思います。ごらんください!
「ギャハハハハハハッ!!」
「アッハッハッハッハ♪」
「アヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」
「アハハハハハハハ♪」
「…………………」
クラス中で笑い声が響いていた。誰もが笑いを抑えきれず、笑っている。
その中でも特に笑っていたのが、山中健斗だった。そして健斗の隣では、林寛太が笑い転げている。
「アヒャヒャヒャヒャヒャ!!や、ヤバいッ……死ぬっ!!笑い死ぬっ……アヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
「う、うるせーーっっ!!笑うんじゃねぇっ!!」
笑いの対象とされていたのは、真中比呂だった。ヒロは顔を真っ赤にして、目の前で笑い転げている健斗と寛太に向かって怒鳴りつけた。
何をそんなに笑っているのかというと……そう。健斗が今日の朝、学校に来てヒロの姿を見たときがきっかけだった。
ヒロは何と、剃髪を試みたのである。約束通り、寛太と同じで三ミリの坊主頭になっていた。ヒロとは長い付き合いだが、ヒロの坊主頭なんて見たことなかったし、今までとのギャップが大き過ぎて健斗は笑いがこらえることが出来ないというのが今の状況である。
そもそも、何故ヒロが坊主頭にならなければならなかったのか……そこにはちょっとした事情がある。
今日より一週間前、英語の二学期の中間テストがあった。そこで健斗とヒロは、ついノリで勝負をしたのである。
点数の負けた方が寛太の頭をリスペクト――すなわち、坊主にするという内容だ。その結果、見事健斗はヒロに勝利し、ヒロは坊主頭決定となったのである。
本来なら勝者である健斗が敗者であるヒロの頭を剃るはずだった。だからテストを返され結果が決まった瞬間、健斗は即座にヒロの頭を剃ろうとしたのだが……
ヒロは必死に主張してきた。絶対に床屋にいってちゃんと剃ってきてもらうから、頼むから今剃るのは止めてくれ……と。
健斗だってそこまで鬼ではない。確かにど素人の健斗が剃るより、プロの人に任せた方が出来映えがいいと踏んだのである。
そこで健斗はヒロに条件をつけて身を引いた。三日以内に剃ってこなかったら、今度こそ自らの手でお前の頭を剃ってやると。そしてそれから三日後にヒロは約束通り、頭を丸めてきたのである。
命令したのは健斗だ。しかし申し訳ないが、死ぬほど似合ってなかった。
それにしても、本当に……ただの野球部にしか見えない。
「アッハッハッハ♪いやーっ!もう、本当最高っ!お腹いっぱいっす、先輩っ!」
「うるせーっ!つーか何でてめぇまで笑ってんだよっ!」
ヒロが怒鳴りつけるように床で笑い転げている寛太にそう言った。寛太は涙を拭きながらようやく立ち上がった。
「アハハ……いや、アハ……マジ、ちょっ……プククク♪に、似合ってないっ……」
「ね、ねぇっ?やっぱり?そうだよね?似合ってないよね?あ~っ!!もうっ!!」
ヒロは苛立だしげに自分の頭を撫でる。その様子を見て、健斗はさらに耐えきれなくなって大笑いを繰り返した。
するとだった。
「おはよー♪」
「おはよう。」
健斗たちが笑っていると、教室の中に入ってきたのは佐藤愛美と早川結衣だった。二人とも、健斗やヒロの親友と呼べるほど深い仲があった。
特に早川はつい最近まで、健斗の意中の人だったはずなのだが……いつの間にかそれも変わっていた。
「さ、佐藤っ!早川っ!ちょっ……こっち来てみっ!」
隠れようとするヒロを寛太が抑えつけて、健斗はすぐに二人を呼んだ。佐藤と早川は鞄を自分の机に置くと首を傾げて健斗たちに近づいてきた。
「何?どうしたの?」
「……これっ……プクククッ……」
「え……?あ……」
「あ……」
二人とも、ヒロの姿を見て仰天していた。ヒロは涙目になっていて、二人と目を合わす。少しの間、三人の間で沈黙が流れた。
「……プッ……プクククッ……アッハッハッハッハッハッハッ!!」
「アッハッハッハ♪アッハッハッハ♪」
佐藤と早川は次第に耐えきれなくなって、ヒロの目の前で大笑いをした。佐藤は腹を抱えて大笑いして、早川も普段ここまで笑わないぞっ!っていうくらいに笑っていた。
二人に笑われて、ヒロは愕然としていた。
「アッハッハッハ♪何やってんのっ?あんた?ほ、本当に坊主にしたんだぁっ?」
「うるせーっ!!仕方ねぇーだろぉっ!!」
「アッハッハッハ♪朝から何見せてくれてんのよっ?しかもぜんっぜん似合ってないし。」
「ちょっ、ちょっとマナ。そんなこと言ったら……アハハハ♪か、可哀相だよぉっ♪」
「早川……笑いながら言われても嬉しくねぇぞ……」
「あ……ご、ごめん。でも……アッハッハッハ♪」
笑いが止まらないらしい二人はそのまま数分笑い続けた。健斗と寛太もようやく収まってきたはずなのに、それにつられてまた笑い始めてしまった。
「ダメだっ!ヤバい……おい、ぶーちゃんっ!」
「ほいっ?」
健斗が名前を呼ぶと、体が大きくて……あまり大きな声では言えないがデブっちょの男が健斗たちに近づいてきた。こいつが相撲部に所属していて、このクラスで坊主頭であるぶーちゃんだ。このクラスで坊主頭なのは寛太とぶーちゃん、そしてヒロだけだった。
「ちょっ……ぶーちゃんはここに並んで……寛太っ!お前はこっち。でお前が真ん中で……プッ……アッハッハッハ♪」
「アッハッハッハ♪アッハッハッハ♪」
「アハハハハハハハ♪アハハハハハハハ♪」
「だ、団子三兄弟だっ!!団子三兄弟と命名しようっ!!アヒャヒャヒャヒャヒャ♪」
健斗の配置により、見事な頭が丸い三兄弟が揃った。なかなか見られない光景に、クラスのみんながケータイのカメラを使って写真を撮る。健斗はもう、腹筋が痛くなるくらい笑っていた。
「ね、ねぇっ!もうやめよっ?俺……この先どうすればいいの?一生笑われ続けなきゃいけないの?」
「あぁ。そうだよ。だってお前、あんだけ豪語しといて俺に負けたんだから。お前は一生この先、こういう感じで行くからな。」
「しょ、しょんなぁっ!!」
ヒロががっくりと肩をすくめた。まぁ、一生ということはないだろうが、しばらくこのネタでヒロのことをいじれるのは確定的だった。
「あ、そういえば麗奈ちゃんは?」
早川が健斗にそう聞いてきた。健斗は笑いながら、「あぁ。」と小さく呟いて頷いた。
「今日は朝、別々だったよ。なんか朝練があんだって。だから音楽室とかにいんじゃない?」
「それじゃ麗奈ちゃんはもうしばらく来ないってことだなっ!」
ヒロはガッツポーズをしてそう言った。
「だったら今の内に帽子被っておかなきゃ――」
「おはよー♪」
ヒロがそう言っている途中に、その声が響いた。噂をすれば影とはこのことだ。ちょうど教室に入ってきたのは、大森麗奈だった。
麗奈はご機嫌そうに自分の席に鞄を置いた。そして、何やら健斗の席周辺に人が集まっていることに気づいて、不思議そうに近づいてきた。
「どうしたの?みんな。何をそんなに集まってる――」
麗奈はヒロの姿を見て、言葉を止めた。しばらく唖然として、ヒロと目が合う。ヒロは麗奈と目が合った瞬間、大量の涙が目から零れ落ちた。
「ヒ、ヒロくん?」
「うぅ……」
「……プッ……アッハッハッハ♪アハハハハハハハ♪アッハッハッハ♪ど、どうしたの?な、何で?……あっ!そっかっ!アッハッハッハ♪」
「だろ?最高だろっ?アッハッハッハ♪」
事情を即座に理解した麗奈が大笑いしはじめると、やはり周りもつられて笑ってしまう。再び教室中で笑いの渦が巻き起こった。ヒロはもう半分死んだ顔になっていた。
「アッハッハッハ♪でもヒロくん、結構似合ってるよ?」
「ほ、本当っ?」
麗奈がそんなこと言うので、ヒロの表情に活気が戻った。麗奈は笑いながら大きく頷いて見せる。
「お前どこがだよ。全然似合ってねぇだろ?」
健斗が笑いながらヒロを指差す。するとヒロの顔はまた暗い表情に戻った。しかしそれに反論するのは意外にも麗奈だった。
「え~?そんなことないよ。男らしくて格好いいと思うけどなぁ?」
「麗奈ちゃん……麗奈ちゃんだけは俺の味方だよーっ!」
「きゃっ!」
ヒロは感激のあまり麗奈に抱きつこうと飛びかかった。だが、それを阻止したのはすぐさま反応を見せた健斗と佐藤だった。健斗がヒロの顔を手で抑えつけ、佐藤がその上から叩きつける。見事なコンビネーションプレーでヒロは床に付した。
「「調子に乗るなっ!」」
健斗と佐藤が声をはもらせた。その光景が何とも面白く、再び笑いの渦が巻き起こった。その笑いの渦の中心に立っているのは、間違いなくヒロであった。
はい。作者はここんとこは誤魔化しませんよぉ(笑)
これからはヒロは坊主頭としてのイメージをとってもらえたらと思います。
ところで、現在第2回人気投票を実施中です。
本当にお願いしますっ!まだ投票をしていない方、お願いします!あなたの好きなキャラを作者に教えてっ!
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