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ガルデニアの残り香  作者: 板久咲絢芽
閑話 Gardenia sub rosa――薔薇の下の梔子
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綻び

みぃちゃんは賢い。


()れは幼子(おさなご)(ゆえ)順応性(じゅんのうせい)の高さからなのか、()れとも彼女自身が持って生まれた天性の資質か。

端的に言えば、理解とその吸収に(すぐ)れていた。

()の上、会話をする内にどんどん()の満足がいくキャッチボールをしてくれるようになった。

まあ、()れは単純に()の振る舞いを吸収しただけだろう。


そも、()()(まで)、みぃちゃんの兄として最低限馴染(なじ)めるだけの、()が演じる(ため)仮面(ペルソナ)、役柄、(ある)いは仮想人格と言った所である。

偏屈(へんくつ)を意識的に(やわ)らげた所で、演じるのに無理が無い様、基盤(ベース)()自身だ。

みぃちゃんとの会話に対する満足が、みぃちゃんの会得(えとく)した()由来のコミュニケーション能力や知識から来る心理学上の類似性の法則から来る物なのか、単に()存外(ぞんがい)人恋しかっただけなのかは、自分の事(なが)(わか)ら無い。


「構造の内から構造の全体像を理解する事は叶わ無い。何故(なぜ)なら、完全なる全体像とは鳥瞰(ちょうかん)にしろ遠景(えんけい)にしろ、外からの視点で得られる物であるから」という考えに(そく)すならば、()()自身を理解する(など)、当然出来る(はず)も無いので、正常と言えば正常なのだが。


そんな賢いみぃちゃんは、時として()に同情的であり、時として理解者であると同時に、無理解と言うよりは無神経で、(いや)に鋭い所があった。

まあ、云百年(うんびゃくねん)――千では無いと思いたい。思いたい――彷徨(さまよ)って居た()の精神性に人が追い着くなんて事は不可能であるし、みぃちゃんの主観を()が分から無いのと同様に、みぃちゃんが()の主観を分かる(はず)も無かったのだが。


例えば、主観と客観と思い込みと(かた)りの話をした時。

みぃちゃんが今まで数多(あまた)の嘘を()いてきた()を責めるでもなく、


「……ずっとバレないように嘘つくのって、大変じゃない?」


と、(あわ)れみよりも随分(ずいぶん)手前の(ねぎら)いを乗せて問うて来た時。


()の時、()は、何を知った様な口をという腹立たしさと同時に、何かが胸の奥底で(きし)むような感情を覚えた。

そして、()の腹立たしさのみを、()として相応(ふさわ)しく無い感情だとして、排除した。


()残滓(ざんし)(きし)んだ物が何かは、分から無かった。


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