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ガルデニアの残り香  作者: 板久咲絢芽
回想 4 袋小路と果(はたて)
25/44

2

「みぃちゃん。みぃちゃんが僕の仮説の実証の重要な要因(ファクター)であることは間違いない。それは認めよう」

「……」


私はおにいちゃんを(にら)みつけながら、ほかほかのココアを(すす)った。


「だから、正直、知られると逆に困る」

「……知れば協力できるかもしんないじゃん」

「意図的にそうされたくないからだよ」


今思えば、それはつまりそういうことだったのだ。

――おにいちゃんは、(あわ)れみを向けられたり、同情されるのは嫌だったのだ。

それに、意図的どうこうという話でもなかったのだと、今の私は知っている。


「おにいちゃん」

「言わない」


どれだけ目で(うった)えても、おにいちゃんは梃子(てこ)でも動かない姿勢だった。


「……アーリオましましペペロンチーノ作ってやる」

「……みぃちゃん、僕と暮らしててニンニクは迷信って知ってるでしょ」


おにいちゃんが冷静に突っ込んできた。

私の目の前で、さんざっぱらニンニク使った料理をしたり、食べたりを普通にしていたのだから、事実として自称吸血鬼のおにいちゃんにはニンニクは効かなかった。

それでも気持ち的な部分で、鬱憤(うっぷん)を晴らすためだけの言葉だった。


「知ってますー、腹いせですー」

「というか、みぃちゃん、ニンニクで割とお腹くだす方でしょ……」


(あき)れたツッコミをココアを(すす)りながら受け止める。


「……みぃちゃん、不貞腐(ふてくさ)れないでよ」

「……」

「…………いや、原因は僕だって言うのは確かだよ。だから、その目をやめてよ」


じっとり(にら)みつけているとおにいちゃんは文庫本を持ったまま、降参と言わんばかりに両手を上げるジェスチャーをしてきた。

そのおにいちゃんの向かいに座って、私はココアを(すす)る。


「……納得いかないなあ。なんでおにいちゃんにニンニク効かないんだろ」

「そこはそれ、迷信ですので」

「吸血鬼は迷信じゃないのに?」


痛いとこだけど現実なんだなあ、とおにいちゃんは言った。


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