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ガルデニアの残り香  作者: 板久咲絢芽
回想 3 行く末と目的
16/44

1

結局のところ、私はおにいちゃんに(なつ)いていたのだ。

だから、正体を知っても、それから時間を置いても、私はおにいちゃんにいつも通りに接していて、おにいちゃんの本心はどうあれ、おにいちゃんもおにいちゃんでいつも通りだった。


「ただいま」

「おかえり、みぃちゃん」


それは私が中学生になっても変わらなかった。

リビングのソファで本を読んでいたおにいちゃんは、帰ってきた私が()げているぱんぱんに(ふく)らんだ紙袋を見て軽く首を(かし)げた。


「どうしたの、その袋」

「……おにいちゃん、今日がなんの日か知ってるかね?」

「……聖人ウァレンティヌスの命日とされるルペルカーリア祭だねえ」


バレンタインとわかっているのにあえて回りくどい言い方をしたおにいちゃんの(かたわ)らまで歩み寄った私は、手に()げた袋を()(さか)さまに、おにいちゃんの(ひざ)の上にその中身をぶちまけた。


「……みぃちゃん?」

「全部おにいちゃん()てです。ご査収(さしゅう)ください」

「……わあ」


私におにいちゃんがいるというのは同級生にもその前後の年代にも、それなりに知られていることではあった。

ただ、中学に上がって、他の小学校から来た人間というものが周りに増えて、そして幸か不幸か、そういった新しく(まじ)わりを持った人間が、ガンガンいこうぜ系というか、俗に言う肉食系のスクールカースト上位な人が多かったのだ。

何をどうして、どこからどう情報が()れたか、今となっては闇の中だが、当時の私はイケメンの兄を持つ妹という(あつか)いになっていたのである。

私は決してスクールカーストの上でも下でもない立ち位置だったから、おにいちゃんに渡してと頼まれたものを無碍(むげ)(ことわ)ることもできなかった。

むしろ、その程度で平穏が保証されるなら万々歳(ばんばんざい)伝書鳩(でんしょばと)をやったろうじゃないかくるっぽー、ぐらいの気概(きがい)だった。

……さすがに、この量にはちょっと辟易(へきえき)したが。

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