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巻の八 やっぱり頼れる陰陽師(そこまで!?)

 ついに強訴発生!

 非日常に対して陰陽道の技が冴え渡る!

 マジか! レッツゴー!

 彼もまた何者でもない人間!

 頭のいいイケメンがガンガン退場していくせいで出番が増えたぞ!

 カオスの中でこそ自由に輝く逸材。

 役人じゃなくなったの、単に役人に向いてないだけだったのでは?

 レッツゴー!

 ――すごいことになっていて何だか言い出せなくなったが。

 実は賢木中将の正妻、茜さす斎院とその子供たちは、山背式部卿宮邸にいた。



 音羽がためらうような悩める人妻。本当なのか、預流自ら車宿(くるまやどり)までわざわざ顔を見に行ったら。


「おお、女髪長(めかみなが)、ではなく尼御前」


 間違いなく茜さす斎院だった。皇女にしてはみすぼらしい牛車で、生後半年の乳児や十一歳の長女、六歳の次女も連れてなぜか得意げで。


「わらわ、尼になることにしたのだ」


 とぬけぬけとおほざきになる。


「ほ、本気ですか」

「全然本気ではない」

「は?」

「家出でもして為正を脅かしてやろうと。面倒くさい期限イベントで翻弄されるばかり、たまにはこちらも面白くて面倒くさい期限イベントを開催してやるのだ。離婚してやる! と喚いただけではあれは口先でごまかすからな。留守中に姫まで連れて出ていってやれば流石に焦るだろうと。また女のところにしけ込んでいる。わらわよりも、姫を取り上げたらどうなるか見物だな。女親に親権などないと喚き出すのかな」


 実に嬉しそうに語って、預流の肩に手を置いた。


「まあ方違えのようなものだ。式部卿宮の邸ならばわらわが密かに隠れ住むのに相応しい格式があるし、お前は結婚生活に絶望した女を年に何人も出家させて尼にしているのだろう?」

 ――普通、既婚女性が尼になるのは夫が死んだときで、夫が生きているのに尼になりたいと言い出すのは女から離婚を言い渡すのと同じだ。平安男尊女卑社会では大変、不名誉なことだ。


 ――まあ出家出家詐欺は平安の恋愛テクニックの一つではあるが。本当に離婚して尼になるならともかく、フェイントに我が家を利用するなよ。それでアポもなく押しかけてくるなよ。信仰を何だと思ってるんだ。

 預流は複雑なものを感じつつも、確かにここを追い出して后腹(皇后の娘)の皇女殿下ともあろう御方がどこに行くのかと思うと「帰れ」とも言えず。実際、預流の住まう式部卿宮邸の東の対はDV被害女性のシェルターでもあり。皇女さまが駆け込んできたときのための高麗縁(こうらいべり)の畳の用意もあり。


「突然の話だ。多少、足りないものなどあっても我慢してやる」

「はあ……まあ……」


 何で世話になるのに上から目線なんだよ、これだから皇族は、と若干モヤっとしたものはありつつも。

 それで戸惑いながらも兄宮とも相談して、使っていない西の対に十日ほど泊めることになった。鏡などのアメニティはとりあえず預流のものを貸すとして。

 預流は何を使う。安物でも何でも借りて済ますか。借りた安物を斎院に使わせるわけにはいかない――と悩んでいたら続く牛車で次々姫君の乳母(めのと)だのお気に入りの女房だの遊び相手の()(わらわ)だのが到着して。どこがこっそり家出だよ、邸の半分来てるんじゃないの、バレたらわたしが中将にとっちめられる、いつまでいるつもりなの、まさか六十日も方違えするの、とモヤモヤっとした。


「尼御前は物語の男君なら誰が好き?」

「完全に遊びに来ただけですね、斎院さま」


 それが。

 たった一晩経っただけで、洛中に叡山の強訴勢が雪崩れ込んできて。

 強訴の報が入ると宮邸でも下人や武士を屋根に登らせ、様子をうかがわせた。


「ご、強訴?」


 屋根の上から武士たちの足音がして荒々しい声が降ってくるだけでも落ち着かないのに。


「ノウマクサンマンダバサラダンセンダンマカロシャダヤソハタヤウンタラタカンマン! ノウマクサンマンダバサラダンセンダンマカロシャダヤソハタヤウンタラタカンマン!」


 京極から堀川まで二キロメートル離れていたが、二百人で唱える不動明王の真言ははっきりと聞こえた。その恐怖たるや。王朝貴族の正常性バイアスなど一発で吹っ飛んだ。たった二キロしか離れていなかった、とも言う。その後、不穏な土木工事の音も筒抜けに響いた。

 斎院は何ごとかわからずとりあえず赤子を抱き、二人の姫を招き寄せて緊張していたが、真言を聞いた途端に姫たちと抱き合い、か細く夫の名を呼ぶばかりになった。

 預流は屋根には登らなかった。騒ぎの間、斎院のそばで数珠を鳴らしながら経を誦して心を鎮めていた。一人で強訴勢の前に立ちはだかるほど彼女はジャンヌ・ダルクではなかった。

 ――強訴直後に靖晶と出会ったのは強訴勢が退き始めたと聞いて、預流自ら確かめに行く道中だった。「まさか我が家の方角では」と茜さす斎院が卒倒してしまったので、彼女のために伝聞ではないエビデンスのある情報が必要だった。

 ……思ったよりも斎院の家出は中将邸に気づかれていなかった。あれでこっそりとはどういうことだと。中将邸に残っていた女房は斎院のお気に入りではなく、あれだけ大人数が移動したのに家出のことをまるで知らなかったという気まずい裏事情まで見て取れた。

 しかしこうなると「茜さす斎院はご無事で、うちで薬湯を飲んでいる」などと大声で言ったらまだ以玄がその辺にいて聞きつけてしまうかもしれない。自分や中将が襲われるだけならまだしも兄宮の邸に荒法師を引き寄せてしまうのは。悪いが、伏せさせてもらった。

 ……賢木中将が人の心のない大蟒蛇でも、流石に良心が痛んだが。



 ともかく、斎院に状況を伝えるべく急いで走っていたら。


「預流さま」


 沙羅が法衣の袖を引っ張った。

 宮邸の築地塀にもたれて、見慣れない人が座り込んでいるのを見た――僧形なのに少しぎょっとしたが荒法師ではない。(おい)と白木の金剛杖を横に置いた四十がらみの角張った体つきの修験者。髪が前より伸びている。


「尼御前、今お帰りか」


 いつぞや、托鉢に来て靖晶の悪口を教えてくれるとか言っていた怪しい行者――


「斎院さまはご無事か」


 それが杖を頼りに立ち上がりながら、いきなり核心を突いてきて心臓が止まりそうだった。――茜さす斎院がここにいるのは賢木中将すら知らないというのに。京の都で最も尊貴の皇女殿下、外から見えるような場所にはいらっしゃらない。


「……どうして」

「ここに隠れろと申し上げたのはやつがれだからな。ご無事か」


 立ち上がるのに杖をついただけで腰をしゃんと伸ばすと背が高い。


「あ、あなた何者」

「いつぞや布施をいただいた。由西(ゆうぜい)、乞われれば何でもやる法師(ほっし)陰陽師(おんみょうじ)だ。要はけちな拝み屋。斎院さまには少々義理がある」


 そんな説明でわかるか、と思いつつも。

 沙羅を制しつつ、声を低める。


「……騒ぎで気が遠くなって休んでおられるわ。御子さまがたも。動揺しておられるけれど誰一人として欠けてはいない」

「それは何よりだ。やはり尼御前は功徳のお方だな」

「何よりじゃないでしょ、隠れろってどうして。……あ、あなたまさか陰陽道の秘術で強訴を巻き起こして」

「秘術? 何の話だ?」


 預流は真剣にこの男が物の怪の類なのかと思ったが、本人はうさんくさそうに眉をひそめた。


「やつがれは見た目通りのせこい坊主だ。――叡山は根本中堂で坊主にタダメシをふるまう会があると聞いて意地汚く馳せ参じたところ、血祭りだの仏罰だの何やらどんどん話の雲行きが怪しくなって賢木中将の名が出て。一人、臆病風に吹かれたふりをして走って山を下りた。あのときは八十人ほどであったが、二百人とは随分増えたな」

「……タダメシをふるまう会?」

「寺はそのようにして人を集めるのを尼御前は知らんか。知らんな。食わせる方なのだからな」

「フツーは大人の男ばっか御堂に集めるんだよな。飯炊き女は何人か入れてもらえるけど、おれとかチビだからハネられる。おっさんだと入れるのか」


 となぜか沙羅までうなずいた。何だか力が抜ける。


「叡山は浄刹結界(じょうせつけっかい)があるので飯炊き女すらもいない。台密(天台宗)の尼御前よりも半端者のやつがれの方が北嶺大衆に詳しいというのも妙なことだがな。――朝廷は僧綱を罷免して叡山、ひいては伝教大師(でんぎょうだいし)の志を蔑ろにしたと意識の高い連中が喚いて大層煮えくり返っておった」


 ――僧綱を罷免。というとまさか。


「……明空のこと?」

「知らん。やつがれのように米の飯が目当ての者が大半だ。皆、喚く連中にまんまとあてられて集団ヒステリーに巻き込まれたのだろうな。不動明王の真言、なかなか気味の悪いテンションだった。いや手っ取り早く士気を高めるには効果的なのだろう」

「あなた、ご飯食べるためだけに叡山行ったの?」

「行くとも。乞食坊主(こつじきぼうず)は何でもする、叡山でも三井寺(みいでら)でも裹頭を巻いて近江(滋賀県)に行くだけで飯が食えるなど安いものだ。名も志もない占い師、それくらいせねば生計が立たん。吉野なら遠いからためらうが」


 いや……それで都から比叡山の根本中堂まで歩いていくの、やっぱりどうかしているのでは。ご飯一食のために往復で八~十時間、ハードモード仏教生活極まれり。


「中将の邸に山法師が討ち入っては斎院さまが大変と、山を下りてすぐにお邸をお出になるよう仕向けた」

「仕向けたって」

「強訴などと言っても高貴の御方は冗談と思って聞き流すか、足がもつれて逃げられんか。御堂で大衆が怒鳴り合い見境を失っていく鉄火の空気、目の当たりにすればそれは恐ろしいものだが貴人には伝わらん。結果はあの通りだが伝わってから逃げようとしても遅い。そこで山道を駆けながら考えに考え、一計を案じた」


 由西は杖を上げて空中を示す。


「――浮気な夫の心を試すために一つ家出してみてはどうか、そういえばこの京の都には奇妙な尼の住まう邸があった、方角もよい、出家すると言って御子たちを連れて駆け込めば夫の態度が変わるであろう、方違えと思ってやってみるとよい、と女房伝いに進言した。星辰を占ってそう出たと陰陽師らしく、女人の興味を引くようにな。何も起きぬか、よそに討ち入ったときはそれはそれでよしだ。高貴の女人は滅多に外にお出にならんのだからよい気分転換だ」


 ……それはそうだ。強訴とか預流もこの目で見るまで、不動明王真言を聞くまで信じなかった。こんなうさんくさい人に宗教団体が物理暴力で殴り込んでくるとか言われても。「射手座のあなたのラッキーカラーは緑、西の方角に出かけるといいでしょう」くらいの方が逆に「じゃあちょっと気にしてみようかな」となる人間心理。

 由西は杖を下ろすと真顔になった。


「尼御前、陰陽師が秘術で強訴を巻き起こすとか夢物語のようなことを考えるものではないぞ。陰陽師とて只人であるし世の中はしょうもないものだ」


 ――しっかり神通力で強訴を予知したじゃん。靖晶は方違えの予定がないと泡を喰っていたが、単に官制陰陽師が民間陰陽師に仕事を奪われていただけだった。恐るべし。ていうか裹頭巻いて北嶺大衆に紛れ込んでタダメシ食ってたとかほとんどニンジャじゃんこのおじさん。靖晶は何して恨まれてるの?


「どうしてそこまでして斎院さまをお助けするの? 何の義理があって」


 預流が尋ねると途端、由西の目つきが優しくなり、遠くを見た。


「――斎院さまは大変慈悲深く、絶世の美女であらせられる。あのような御方が惨い目に遭ってはならん」


 何、このいきなり色気づいた空気。


「絶世の美女ってお顔を見たことがあるの?」

「ない。やつがれ如き下臈が皇女さまの玉顔を拝するなど考えただけで畏れ多い。お声をわずかに耳にしただけだ。あのドスケベ中将がかしづき奉って、四人も子を産ませた皇女さまなのだから絶世の美女に決まっている」

「いやまあ絶世の美女なんだけど……」


 ――この程度の思い込みで本当に皇女殿下をいきり立った北嶺大衆からお守りできるとかどういうことなんだよ。能力設定がおかしい。


「尼御前、斎院さまと御子たちをしばらくかくまうのだ。やつら、明後日また現れると言うではないか」

「美女でなくても惨い目に遭うべきじゃないけど、まあ大慈大悲(だいじだいひ)としては人の命を守らなければ……北の方がご無事なこと、中将にはどうやって連絡するの? あなたが言いに行くの?」

「大蟒蛇どのは他人が馬鹿ばかりでつまらんと豪語していたから、これくらい予想外の出来事に出会ってしばし肝を冷やした方が本人のためなのでは。大層面白い見世物であったろう」


 中将相手にはこの冷淡さ。


「半日で天地がひっくり返ることもあると己の目で見て、少しは謙虚になっていただこう。あやつの人生には挫折が足りん。公卿さまとて何でも思惑通りに運ぶと思ったら大間違いだ」

「腰抜かして半狂乱だったんだけど、お灸を据えるにしてはやりすぎじゃないかしら……死んだフリで夫を試すとか普通あんなに本格的じゃないわよもっと穏便よ。過ぎたドッキリはポリコレ的に問題があると思うわ」


 預流が抗議すると薄ら笑いすら浮かべた。


「ほう、かわいげがあって何より。しばらく怯えさせておけ。斎院さまがあの男のために涙を流した歳月を思えば、半年くらいそのままにしておけ。失ったものの大きさにおののけばよい」

「あなた自分で見てないからそんな冷酷になれるんだわ……わたしわりと中将に恨みある方だったのにどうでもよくなったわよ」

「流石尼御前は功徳のお方だな」


 そうかなあ。あれは誰でもひどいと思うんじゃないかな。


* * *


「また陣定だ」


 陣座の祓いは賀茂の末弟が行くことになったが、靖晶は邸に戻っても全然落ち着かなかった。あんなことの後では。

 ――今回は前回よりずっと出席者が少ないだろう。議題が真面目で重すぎる。


〝北嶺大衆蜂起、明後日の第二陣四百人をいかに迎え撃ち朝廷の威信を示すか。同時に賢木中将の邸を打ち壊した叡山の山法師どもにいかなる処罰を下すか〟


 こんなこと、すぐに決断どころか納得できるわけもないのだ。


「検非違使が一瞬で負けたから今度はこっちも荒法師をと、三井寺と石山寺(いしやまでら)に掛け合うらしい」


 どちらも叡山に負けず劣らず強い悪僧を抱えた武闘派で有名。しかもどれもこれも互いに仲が悪い。表だって叡山と喧嘩ができる上に褒賞までもらえるとなったら喜ぶのではないか、と楽観視されている。


「そ、そこまでしなくても……」


 良彰はちらりと簀子縁の方を見たが――


「このアホの子の源四郎を返せば解決って!? 本当にそう思うか!?」

「わたしはアホの子ではありません。今日もこんなにお掃除をしました」


 即座に、布で簀子縁を磨いていた源四郎が反論した。意外と髪が伸びるもので弥生がこまめに頭を剃ってやっていつでも寺に戻れるようにはしているのだが、墨染めにたすきをかけてすっかり土御門邸の下働きと化していた。本人がそれで納得しているが、どうにも落ち着かない。


「……源四郎。強訴ってわかるか?」


 恐る恐る靖晶が尋ねてみると。


「言葉は知っています。恐ろしい荒法師が集って乱暴狼藉を働いたり、互いにいさかいを起こすのでしょう。近江(滋賀県)南都(奈良県)や吉野や高野山(和歌山県)ではよくあると。仏道の徒ともあろうお坊さま同士で争うとは不可解ですねえ」

「今度、内裏に強訴勢が押し入るって言うからお前、止めてくれないか?」

「えっ怖いですよ。どうしてわたしが」

「だよねー!」


 源四郎に屈託なく一蹴されてがっくり来た。澄んだ目に都大路の不動明王の面影はかけらもない。


「うん、無理は言わない。掃除に戻って」

「はい、惣領さま!」


 素直に桶で布を絞って簀子縁を拭く作業に戻る。靖晶は頭が痛い。


「――明空さまはご身分にあるまじきバリバリの荒法師だっていうのに。裹頭巻いた悪僧をアゴでこき使う方なのに」

「あ、あの人そんなにそんななのか?」


 陰陽師はリアルタイムで大衆蜂起の恐ろしさを目の当たりにしたおかげで、良彰は今更びくついた。


「良彰は知らずにあの人を舞台から突き落としたのかよ。悪僧ばらの頂点に立つ暴の中の暴、御寺のクイーンだぞ。いなくなったせいで北嶺大衆蜂起、順当で納得の結末だ」

「おれは突き落とされたんだよ!」


 どっちでも同じだ。


「あの人が正気なら一喝しただけで止まったのかもしれないが、逆にこれを世間に出したりしたら。明空さまファンクラブ勢はいよいよマジギレして内裏を破壊、清涼殿後涼殿(こうりょうでん)に至るまで灰燼(かいじん)に帰すってことになりかねないか」

「そ、そんなになるのか」

「京極の瓦礫の山、お前も見てこいよ。――実際、この人が舞台から飛び降りてアホになるほど追い詰めたのは主上と陣定の公卿さまなんだぞ。叡山の連中、都を破壊するだけして自分らがこの世で一番不幸みたいな顔してあの人と車椅子エンドするのに決まってる。出さない方がマシだ」

「確かに。……おれが舞台から突き落としてアホにしたと思われても困るしな……」


 そういえば良彰のせいもあった。中将の邸を打ち壊すような連中、受領の邸など内裏のついでに踏み潰すだろう。


「強訴が起きる前ならまだしももう起きちゃったんだ。時間を戻すことなんかできない」


 こうなったら無難な解決など望めない。――高級貴族に被害が出て無難も何もあるものか。

 それに。


「……で。その人は何でここにいるんだ?」


 良彰が落ち着かなげに几帳を指さす。

 その陰には、この邸で一番新しい畳に茵を敷いて。賢木中将が一言もなく膝を抱えてどんよりとうつむいていた。さっきまでは「斎院さま、斎院さま」とつぶやいていたがそれもなくなった。いよいよ燃料が切れて息をしているだけだ。ぴくりとも動かない。


「ええと……大穴の空いた邸に置いておけないからかくまえってあちらの家人に押しつけられちゃって」

「ご親戚のお邸があるだろう。関白さまのご一門、うちみたいなあばら屋に。その方こそ親御さまのもとに帰せよ。右大臣さまバリバリ現役だぞ」

「連絡してるんだけど今、陣定でばたばたしてるから後回しになるんじゃないかな。ご本人から何も言い出せないし……」


 ――どうなのだろう。もしかしてご一門は「彼がいると自分のところにも強訴勢がやって来るかもしれない」と切り捨てたのでは。いや陣定が終わるまで預けているだけなのだとは思いたい。


「斎院さまの行方がわかったらここにも情報が来るんだし、緊急避難なんだ、多分。勝手にぼくのこと友達と思ってるんじゃないの?」


 そう思いたくて言った。

 腰を下ろして、几帳の陰を覗いてみる。


「中将さま、落ち着かれましたか。薬湯などいかがです。菓子や酒もございますが。何か召し上がると気分が変わりますよ」


 声をかけてみたが。

 目も動かない。もしかして気絶しているのだろうか。

 ――恐ろしい人だと思っていた。人の心を操るのに長けて、いずれ天下を分けるものだと。

 今や、綺麗な衣が似合うだけの生き人形だ。まだそう時間が経っていないが、この後、「許せん! やり返す!」となるように見えない。北の対と一緒に心が砕かれて外側だけ残っているようだ。

 靖晶のためにくだらない世の中の全部を滅茶苦茶にしてくれると言ったのに、蓋を開けてみれば大事なものを失って滅茶苦茶になったのはこの人だけだった。

 まさか敗将すら務まらないとは。負けたなら負けたなりの態度があるだろうに。悲しみの歌の一つも詠んで、陣定に出て自分で仇を討つとか。中将なのだから弓矢を取って自ら三井寺の悪僧を指揮して明後日を待たず雲母坂を駆け上がり叡山に討ち入るとか。

 邸は倉と北の対がやられただけでまだ東と西の対、寝殿が残っている。

 よそにも妻子は掃いて捨てるほどいるだろうに。二、三人いなくなっただけでこのありさま、何のつもりで励んだのか。


「何だかなあ」


 彼の大言壮語だったのか自分に見る目がないのか、期待しすぎたのか。

 どうだろう。我が身に置き換えて、破壊されたのが土御門邸で良彰や弥生や十二神将が行方知れずになったら、自分はここまで落ち込んだだろうか。あるいは仇を討ちに行っただろうか。源四郎がいるのがバレていたら強訴勢はここに殴り込んできたのだ、むしろ中将邸は八つ当たりで壊されたようなものだ。

 ――わりと「何てことだ」と嘆きながらしっかり働いていたのではないか。

 この人が自分ほどの人でなしでなくてがっかりしている、というのはお門違いではないか。

 そう思うと、明後日四百人動員といっても世の中の全部が滅茶苦茶になるほどではあるまい。不動明王の真言は、中将の邸すら全部壊したわけではない。

 清涼殿の一部がひしゃげるか、ついでにこの邸もひしゃげるか。火をかけられて内裏が灰燼に帰したら大変だが、まあ今上の御代が終わるほどではないだろう。終わったとしても次がある。

 比叡山も明空が戻らなければ四百人全員が玉砕するほどの悲愴な覚悟で突っ込んでくるわけではあるまい。現実的ではない。以玄はブッダクレイジーだったが、だから目をかけられて大僧都の名代などやっている。あれよりすごいのはいないということだ。全員あの調子だったらリーダーの言うことなど聞かず、ぐずぐず洛中に残って今もまだ近所の人に絡んで金品をたかったりしていそうなものだが、皆、明後日に備えてか叡山に帰ったところをみるとそれなりに統率されている。

 食い扶持に困って悪僧をやっている程度の者たち。それほど狂信者だらけとも思えない。

 もうちょっと衝突して、朝廷が還俗を取り下げて少し詫びれば機嫌を直す――その程度が落としどころだろう。人間の仕業なのだから。還俗さえ取り下げてもらえば源四郎は正気に戻るかもしれない、多少正気でなくてもそのときこそ叡山に帰ってもらう。

 自分たちが損をする可能性があっても〝世の中の全部が滅茶苦茶〟ではない。くだらない明日はまだ続くのだ。

 ――つまり自分が本当に望んでいるのは明日が来ないのではないかと思うほどの大火、清涼殿を打った雷鳴をも超えるような神々の怒り、天地がひっくり返るような厄災だ――

 我ながら子供じみた夢を持ったものだ。そんなものがあるはずがない。少し笑った。

 その横を、折敷(トレイ)に鉢を載せた弥生がすり抜けた。弥生は几帳の陰に進んで中将のそばに膝をつく。


「中将さま、薬湯(ハーブティー)をどうぞ。大したものではございませんが甘葛(シロップ)と我が家の秘伝の薬が入っております。お口がさっぱりして、元気になりますよ」


 と鉢を取って差し出すのでぎょっとした。


「弥生!? 何してる!?」


 靖晶より、良彰が几帳を倒さんばかりの勢いで突っ込む。


「飲まず食わずじゃ気の毒だから」

「誰だかわかってやってるのか!?」

「三位中将さまでしょう?」


 弥生は、拾った犬がかわいい、程度の笑みを浮かべていた。


「女の敵の賢木中将だ! そんな距離に近づいたら妊娠する!」

「そんなことないわよ。大袈裟ねえ」


 ――本人の前で言うなよ。しかし実際、本人はノーリアクション。


「純真な処女童貞の源四郎とは違うんだ!」

「〝処女〟は必要な情報なの?」

「必要だ!」


 良彰が喚き立てるのも聞かず、弥生は鉢の薬湯をふーふーと吹いて、自分で一口すすってから、


「ほら中将さま、毒なんか入ってないですよー甘いお薬ですよー」


 と中将の口もとに差し出す。


「はい、あーん」


 そこまでされてやっと中将は――しっかり弥生の手を握りながら鉢を支えて薬湯をすすった。

 飲みながら、それが目にしみるのかぼろぼろ涙をこぼし、嗚咽(おえつ)を漏らし始めた。飲み終えるとがばっと弥生に抱きついて、泣きながら肩に顔を埋める。良彰がいよいよ悲鳴を上げた。


「ギャーッやられたーっうちの弥生が犠牲者に! NTRれた! 受精した! おれの目の前で! こんなこと卯月(うづき)が知ったら!」

「やめてよ、こんなの子供が甘えているようなものじゃないの」


 弥生は平然と、ぽんぽんと中将の背中を叩いている。


「はいはい中将さま、阿呆の言うことなんか気にしないでください。そうですよね公卿さまだって怖いことも悲しいこともありますよね」


 そんなことをしている間にもたすきをかけた源四郎が戻ってきて。


「弥生さま、簀子縁を磨き終わりました、次はどちらを!」


 途端、中将の意味不明な嗚咽が


「坊主怖い! 坊主は嫌だ!」


 と明白に悲鳴になった。


「ああー中将さま、この坊主は怖くないんですよー」

「いやそいつが一番怖いんだって」

「源四郎は一人でちゃんとできて偉いわねー。湯殿の様子を見て汚かったら掃除しておいて」

「はい、湯殿ですね!」


 とばたばたと源四郎は走っていく。このカオスの極みに。


「すいません、良彰さま……次はぼくがやりますんで、ぼくの父ですから」


 と二瀬まで几帳のそばにやって来て気まずそうな顔をする。靖晶はそれに意表を突かれた。


「……何で二瀬までここに? 尼御前さまはいらっしゃらないのに」

「いえその……」


 二瀬に代わって弥生が平然と答えた。


「何やら尼御前さまのもとに居づらい状況になったとかで、うちで二、三日預かることになりました。役人を目指して、大姉君による十二神将用陰陽寮及第コース算術・漢文強化学習プログラムも受けたいと。平安の教育は義務でも権利でもないですが、二瀬の方から頼み込むのですからわたしも口添えしてやりました」

「……どうしてこんなことに。この話のヒロインは尼御前さまじゃないのか、なぜうちの弥生がモテて」


 どちらかというと「なぜ次々、男がアホになってこの家に駆け込んでくるのか」が正しい。

 中将の顔を懐紙で拭ってやりながら、弥生は勝ち誇った笑みを浮かべた。


「甲斐性なしの陰陽師どもはどいつもこいつもワーカホリックで家では〝メシ、風呂、寝る〟しか言わないし、女ども皆で産んだ次世代の十二神将は順調にすくすく育っていることですし、この辺でわたしも世間の受領の妻子が夢に見る〝賢木中将をお迎えして愛人チャレンジ〟に懸けてみるのも手なのでしょうか」

「何が〝手〟だ。冗談じゃないぞ。惣領も何とか言え、兄が叱ったくらいで聞かないぞこいつ」


 良彰につつかれたので、靖晶は恐る恐る。


「冗談だよね?」

「どうかしら。陰陽師の本懐は、公卿さまに気に入られて陰陽寮の外に出世ルートを見つけることでしょう? 晴明公はそうなさったと。妻としては協力するべきじゃないですか。どこかの受領の妻もそのようにしたと聞くし」

「あなたを賢木中将に差し出すのはやりすぎだ!?」

「差し出すとか」

「本気で惚れたんじゃないよね!?」

「靖晶さんはわたしがこの人に惚れると都合悪いの?」


 ――一瞬、靖晶は凍りついてしまった。何と返事しようか迷った。本気で都合が悪いかどうか検討してしまった。

 彼の返事より、弥生がため息をつく方が早かった。


「何とか言いなさいよ。本当、甲斐性がないんだから」


 この女が力なく笑う理由が彼にはわからなかった。


「こっちはもういいわ。せめて尼御前さまの前ではちゃんとしなさいね」


 中将を抱いて身体を揺すってやりながら。


「イケメンは世話し甲斐がありますし、役得です」

「どうなってるんだよこの邸は!」


 それで靖晶が喚いていたら、


「惣領、後宮からお使者です」

「あーっもーっ!」


 家人から知らせがあった。それも受領の邸に相応しくない立派な蔵人(くろうど)がやって来て。


「麗景殿女御さまが播磨守さまをお召しです。女御さまの飼い猫が乳粥(ちちがゆ)を食べません。病ではないか、占いで調べよと」


 丁寧におっしゃるので、正月くらいしか着ない緋の縫腋袍(フォーマル)を着て冠をかぶって牛車で後宮に参じることになった。

 ――麗景殿女御の飼い猫とか、言いわけに決まっている。そうか、それで今日の陣定の仕度は別のやつが任命されたわけだ。



 女官の匂いのする後宮の絢爛豪華な空気には多少緊張するが、今更慌てることも特にない。それは鮮やかな裳唐衣の内裏女房(女官)が目にまぶしいが、普段ならこちらがみっともないのではないかと焦って慌てて足が()ってしまうが、今日はそんなことで動揺していられない。なるほど、これがニルヴァーナ。だから違うって。

 午前中は中将邸の瓦礫の前で女たちが泣き伏すのを見ていたのに、午後は(ちり)一つ落ちておらず香の匂いが漂い、庭に菊が咲きあちこちに花が飾られている麗景殿で扇を(かざ)した優美な女官たちとすれ違う。陣定をやっている紫宸殿は大騒ぎなのかもしれないが、ここは皆、優雅なものだ。

 仏教徒でなくても何か悟りそうだ。荒法師とかとんでもない破戒僧どもと思っていたが、あれで仏教を広めるのに貢献しているのかもしれない。

 猫は安倍家にもいるが余裕がなく、米俵や貴重な典籍を(ねずみ)から守るという重要な任務のためにあまり餌をやらず、常に飢えていてやせて目つき鋭く、雀や蛙も残虐に引き裂いて喰らう小さなけだものだ。ときに蛇や(いたち)すら殺し、十二神将がやたらに触るので人間への警戒心が強く、靖晶が近づくと引っかかれる。おかげで自分は動物に嫌われるタイプなのだと思っていた。

 後宮で女御さまの無聊(ぶりょう)をお慰めするお猫さまは全然違って、まだ小さくふわふわしていて綾の紐で厨子(飾り棚)につながれていた。耳は黒いが顔は白く、背が黒く腹が白い。どちらかといえば黒猫なのだろうか。それはとてもかわいいが、黒一色でないのは気になった。

 猫のくせに麗景殿の塗籠(ぬりごめ)一室を丸々賜り、女官で従五位(じゅごい)命婦(みょうぶ)、御名前は宰相(さいしょう)の君、生まれは源大納言邸、生後四か月。

 螺鈿(らでん)の箱に香を()きしめた絹を敷き詰めてそこで眠っておられ、靖晶に何の興味も示さない。靖晶の寝床より金がかかっていそうなのにヘコめばいいのか、不自由そうで同情すればいいのか。塗籠の中は(まり)やら木彫りの鼠やら猫用の玩具だらけだが、紐でつながれていては生きた鼠を追えまい。

 そこで適当に算木(さんぎ)をいじって占いの真似などしていた。「これで腹が減るわけないだろ。外に放せ」と思うが、時間を潰さないと暇だ。

 真面目に「母や兄弟のいる源大納言邸に里下がりしてみてはどうか。期間は十五日」とか計算していたら、殿舎(でんしゃ)の外から聞いたことのない先触れが。――聞いたことがなかっただけで予想はしていたので、慌てず騒がず畳から下りてひれ伏した。


「播磨守、そこに座れ。許す」


 ――予想通りの今上邇仁さまの玉音(ぎょくいん)。やはり慌てず騒がず畳に戻る。

〝偶然、陰陽師が猫の運勢を占っていたら偶然、今上帝が猫を愛でにいらっしゃった〟――そういう段取りになっているのだ。茶番が過剰とは思うが本当に〝突然、カジュアルに左京の市に出現〟されたり〝突然、土御門邸に直接押しかけ〟られたりしたらその方がよっぽど困る。形式、体裁、世の中に必要な秩序だ。こちらも〝猫一匹のために走り回る三下陰陽師〟の方が気楽でいい。


「突然で悪いが、源四郎の居場所を占ってくれ! どこにもいないのだ!」


 予想通りに冠に白の御引直衣(おひきのうし)姿の邇仁が言い放ち、


「突然じゃないので既に占っております、結果を申し上げます!」


 喰い気味に答えた。といっても今日、慌てる気持ちは以玄に詰め寄られたときに使いきった。


「律師さま――いえもう、そうではないんでしたっけ。明空さまは今、迷っておられます。悲しみに溺れるあまり悟りの境地を超えて異次元をさまよい、生死のあわいに囚われていらっしゃって。我が家の一族皆で泰山府君(たいざんふくん)の神を祭り、術の限りを尽くして必死に呼び戻しておりますがなまじ功徳のある方のせいか少々難しく手こずって。いずれ生還されるとは思いますが御心に深い傷を負い、山法師の申す明後日には間に合わないやもしれません」


 靖晶は澱みなくすらすらと唱えた。――生死も行方も知れない明空の現状、陰陽師に聞くのに決まっている。強訴の対処は陣定で決める。陰陽師には個人的な悩み相談。役割分担だ。

 あまりに早く答えてしまって、邇仁の方が戸惑っていたようだった。


「――も、もうわかっているのか!」

「陰陽師でございますから」

「源四郎は助かるのか!?」

「恐らくは。御心は以前の明空さまと全く同じというわけにはいかないかもしれませんが、大事なことをお忘れであったりするかもしれませんが、生きてお戻りになられるでしょう」

「すごいな!」


 何にもすごくない。――明空と一緒に生死のあわいをさまよって、平然と現在、通常業務に戻っている良彰はすごい。晴明公のように一回死んで泰山府君に術を教わって帰ってきたのだという伝説を作ろう。それとも晴明公の不老不死伝説も元々、こんなもんなのだろうか。


「明空さまを呼び戻すには主上のお力も少々お借りすることになるやも」

「源四郎は兄弟も同然、血を捧げよと言うなら捧げよう!」

「いやそういうのでなく絆の力でナントカ的な。あの方を思う皆の心でナントカ的な」


 実際、この御方が声をかけたらぱっと治るのか、今度こそ宇治川に入水するのか、賢木中将のように掃除すらもできない生ける(しかばね)になるのか――あまり試さない方がいいような気がしてきた。


「茜さす斎院とその子らも山法師の狼藉で行方不明と聞くが、そちらもわからんだろうか」

「そっちはちょっと手が回らなくて。流石にリソースがいっぱいいっぱいで。明空さまの件でばたばたしてるときに起きちゃって。不覚を取りました」

「まあ源四郎が助かるだけでもすごいのか。まさかこんなに早く話が終わるとは思っていなかった。てっきりこれから占いをするのだと。今、陣定をしていて恐らく侃々諤々(かんかんがくがく)、あるいは優柔不断で想定時間を大幅にオーバーする。予は官奏まで暇なのだがどうしよう」


 気が抜けたのか、邇仁は箱を引き寄せて中で寝ている宰相の君を抱き上げ、膝に乗せた。どうやらこちらのお猫さまは今上の寵愛を受けるご身分だったらしい。面倒くさそうに顔を背けたが、逃れようと暴れたりはせず背中の黒い部分を撫でられている。清涼殿では猫が飼えなくて麗景殿に置いていたりするのだろうか。

 ――時間があるなら問いたださなければならないことがある。


「それより明空さまはお一人で大変な秘密を抱えるあまり、御心が惑って異界に迷い込んでしまわれたわけですが。その憂える声がわたくしどもには聞こえてしまったわけですが」


 ためらいがないでもない。自分如きが聞いてどうすると。

 しかし今聞かなければ永遠に疑念が晴れないまま、闇の中だ。


「女御更衣と契りを交わさず清い身であられ、そのために御子を授からないというお話は本当に?」

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