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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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英傑の実力

 俺達は一度帰還してからニック達がどの程度進んでいるのかなどを含め、確認作業を行う。その進捗は思った以上に進んでおり、第七層の魔物はかなりの数倒したらしい。


「明らかにニックが攻略に参加して進捗速度が増しているな」


 俺はそう結論を述べつつ、さらに情報を集めると……冒険者ギルド側からとある情報が。


「第八層以降は、明らかに魔物が多いようです。第七層から感じられる魔力量が、相当濃い。おそらく守護者かそれに近しい存在が、魔物を作成しているのだと思います」


 それは正解だ。よって攻略を行っている冒険者勢も第八層からヤバいだろうと考えているらしい……それに対し俺達は淡々と研究室へ入り――


「うん、ニックが頑張っているし……第七層は今日中に攻略しそうだな」


 時刻は夜、天幕の前。食事をしながら俺はミリア達へ話す……ひとまず地上に戻ってからさらに幾度か往復し……結果として俺達はダンジョンに関して様々な情報を得ることに成功した。

 ただ、最下層に関する情報はほとんどなかった。そこにいるはずの守護者についても同様で、ここは実際に行ってみないとわからないという結果に。


 そうした中で特に有益だった情報は、魔族の魔力を変質させる魔法。地上に戻って精査すると……うん、ミリアにも応用できそうだ。


「今回の仕事が終わったら魔法を開発しよう。ミリア、それでいいか?」

「ええ……なんだかずいぶんとあっさり手に入れてしまったけれど」

「運が良かったと思えばいいさ」


 こちらの言葉にミリアは小さく頷くと、俺はダンジョン攻略に話を戻す。


「最下層にいるはずの守護者に関する情報はなかったけど……よってここからは、攻略に本腰を入れよう」

「気になるのは守護者についてだけど……」

「まあ仮に情報があったとしても、年月が経って強化もされているし、当てにはできなかったかもしれない……まあこの辺りは仕方がない。ただ」


 と、俺はミリアとアルザを一瞥し、


「三人の力を合わせれば、十分打倒できると考える……ここまでで得られた情報と、ダンジョンに満ちた魔力。それを基に、敵の能力……それを類推して強化魔法を作成する」

「魔法を使って短期決戦に持ち込むと」


 それはアルザからの問い掛けだった。俺はそれに首肯し、


「正解だ。もちろんリスクはあるけど、何から何までリスクを回避していたら競争には勝てないし、魔族レーテを見つけ出した時と同様に、勝負所だ」

「ディアス、まずいと判断したら逃げる?」

「それも選択肢だな。守護者の力量を即座に判断し、対応できるだけの強化支援を行う……さすがにダンジョン最後の戦いでアルザ一人に任せるつもりはない。俺も頑張るし、ミリアにも期待してる」

「私も?」


 ミリアが質問する。それに俺は頷き、


「今回得られた資料……気配変質の魔法に関連して、魔族の能力についての記述もあった。もちろんミリアとダンジョンを作成した魔族に違いはあるが、応用はできそうだ」

「その技術を利用し、私に有効な強化魔法を作成すると……間に合うのかしら?」

「そんなに時間は掛からないよ」


 と、言ったところでミリアは沈黙。


「……どうした?」

「魔族相手に強化魔法を、という時点で相当難易度が高いと思うのだけれど」

「腐っても七人目の英傑とか呼ばれていたからな」

「別に腐ってもいないし、今もあなたは現役だけど……」

「ディアスが自己評価低いのは今に始まったことじゃないからねー」


 と、何か言いたそうな様子でアルザが言及。


「ま、そういうところがディアスの特徴だし、別にいいでしょ」

「なんだか引っかかる物言いだな……」

「そう?」


 アルザは答えつつパンをかじる。と、ここでダンジョンの方が少し騒がしくなった。時刻は日が沈んだくらいなのだが……まだ潜っていた人がいたらしい。

 ただ、その声はずいぶんと沸き立っていた。たぶんだがダンジョン内で大きな戦いがあって、それに勝利したとかそんな雰囲気だ。


「……ニック達が頑張ったみたいだな」

「第七層を攻略したのか」


 アルザが言う。俺は「だろうな」と答えつつスープをすする。


「アルザ、明日は気合いを入れてくれよ」

「わかった。この調子だと正攻法でニックは明日か明後日くらいに最奥まで到達しそな勢いだね」

「競争もやっているし、明日決めるくらいの心持ちだろ」


 と、答えたところでアルザは目を丸くした。


「……ここまでは想定していた、とか?」

「さすがにそうは言っていないさ。でも俺はニックの実力を知っている……仲間とその力によって、圧倒的な速度で攻略していく可能性はあった。今日は二日酔いもあったし、遅いかもしれないと予想していたが……英傑に選ばれるだけの実力があると、あまり影響はなかったみたいだな」


 と、話をしている時に俺達へ近づく人影が。それはニックであり、その顔は満足そうだった。


「お、もう帰っていたのか」

「……別に毎日ここへ来なくてもいいんだぞ?」

「まあまあ、ちょっと話をしようぜ」

「まだ酒を飲んで酔い潰れるのか?」

「さすがに昨日の所業は反省している……こっちで所持している食材で美味いものでも作るか」


 そうやって仲間にいくらか指示を出す。どうやら俺達の場所で食事するらしい。

 なんというか、無茶苦茶だな……と思いつつ、俺達はニックをたき火の輪の中に入れたのだった。


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