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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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研究室

 俺達はレーテを森へ残し、第六層へと赴いた。攻略を終えたためか、多数の冒険者がいて第七層へと向かっている。

 未踏破の場所については……転移ゲートに常駐する冒険者ギルドの人間に尋ねると、まだまだ存在しているようだ。


「第六層内の探索はしているのか?」

「魔物の索敵については実行している段階ですが、他の方々は下へ向かってしまわれて」


 誰が一番乗りできるか、ということで冒険者は最奥到達をすべく奮闘しているようだ……そもそも攻略済みの場所において未踏破の場所を埋めるというのは、苦労に見合った報酬が得られるかどうかと言われると微妙だからな。お宝があるのも基本ダンジョンの最奥だし、中間地点くらいの場所だと何もないことが多いし。


 魔物の索敵はしているので、とりあえず危険も少ないということで転移ゲートを設置して、第七層へ冒険者達は突き進んでいる……ニックが来たことで大きく状況が進展した可能性はある。よって、多少なりとも急がなければいけない、かもしれない。

 そうした中で俺達は研究室を見つけようと動く……うん、レーテが見た時と比べて異界化が進んでいるため、見つけるのがかなり大変だったが……数時間を消費してどうにか辿り着いた。


 異界化は元々存在していた構造に付け足されていくような形らしく、レーテがもたらした情報通りの場所が確かにあった。辿り着いたのは小部屋。そこの壁を調べ、アルザが怪しいポイントを探り……見つけ出した複数のポイントへ向けいくらか魔力を流すと、下の階層へ繋がる通路への入口が開いた。


「上層と比べて隠し方がややこしくなっているね」


 アルザがコメント。俺は「そうだな」と同意しつつ、通路へと入る。


 第二層では単純に地面を掘れば出てきたのだが、この階層では魔力を壁に付与することで開いた……魔族が持つ魔力でなければ開かない、というわけではなく、単純に一定量以上の魔力を注ぐと開く仕掛けになっている。このダンジョンの主であった魔族しか開けられない、というのなら俺達は通路を見つけることはできなかったが、そうはなっていない。これは単純にダンジョンの主が場所さえわかっていれば誰にも使えるように……つまり、各階層の守護者とかが使えるようにしようと考えたためだろう。


 何ヶ所かに魔力を注がないといけない、という仕組みで敵に使われないようにする処置としては十分だと思ったに違いないけど……通路を進んでいくと、下ではなく横へ進む道があった。


「これだな」


 今までは単純に上下移動だけだったが、今回は違う……通路を進んでいくと一枚の扉を発見。中へ入ると……王城の客室くらいの大きさはある部屋だった。

 なおかつ、様々な資料が置かれっぱなしとなっている……うん、これは色々と情報を得ることができそうだ。


「この全てを持ち帰るのは大変そうだな……魔物は来ないだろうからここで資料を読んで考察するのもいいけど」

「どういう資料があるのか精査しましょうか」


 ミリアの言葉。俺とアルザは頷いて、資料を読み始める。

 とはいえ、さすがにアルザは専門外なので部屋に仕掛けがないか確認をしてもらう。もしここから下へと繋がる道が発見できたら、一気に最下層へ向かえる可能性もあるわけだが――


「ディアス、それらしい道はないね」


 けれどアルザがもたらした結論はそれだった。残念だ。


「それなら、やっぱり正攻法でいくしかないということだな」

「そうみたい……資料についてはどう?」

「様々な魔法技術が記されている。魔法研究に関して言えばこの上ない情報だし、もし聖王国へ売却したなら相当な金になりそうだ」

「それだけ価値があると」

「ああ。でも今求めているのはダンジョンに関する情報――」

「ディアス、面白い情報を見つけたわ」


 ミリアが言いつつ俺へ近づいてくる。そして俺に説明を始めた。


「どうやら最下層へ繋がる隠し通路があるみたいね」

「第九層に? レーテは一つしかないと言っていたけど……」

「彼女も全ての情報を知ることはできなかった、ということでしょう。その通路を使えば、階層の守護者を倒さなくとも最下層へ行けるわね」

「値千金の情報だな……ニックとの勝負について、さらに勝てる可能性が増えた」


 現状、魔族の協力に加えて様々な情報も得た。ニックは真正面から攻略することに終始しているわけだし、上手く立ち回れば出し抜くことができそうだ。


「よし、勝利できる目処も立ったな」

「これから本格的に攻略を開始する?」


 問い掛けはアルザから。それに対し俺は、


「いや、まだ最重要なことが一つ。レーテの話しぶりからすると、最下層にも魔物がいるはずだ。しかもそれは、相応に強い」

「私達なら戦えそうだけど」

「俺だってそう思うけど、迷宮最奥へ一番乗りをすれば当然、他の冒険者による援護もない。よって可能であれば守護者についても情報が欲しいな」

「もう少し、調べましょうか」


 ミリアが資料を目の前にして言う。それに俺は頷き……再び作業を開始した。


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