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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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将来のこと

 火を囲み、ダンジョンを訪れた冒険者達がワイワイと騒いでいる……気付けばニック以外にも顔を出しており、俺達が寝泊まりする天幕周辺は騒動のような状態になってしまった。

 幸いミリアのことに気付いた人はいないし、問題はないと思うけど……とはいえ、だ。


「いやあー、本当にこんな形で勝負することになるとはなー」

「お前、既にできあがっているだろ……」


 顔を紅くしたニックが、俺の横に居座り肩に手を回して何やら呟いている。そんな彼を俺はほぼ放置状態にしているのだが……たぶん、眠りこけるまでこんな調子なのだろう。

 ちなみに彼はそれほど酒が強くないらしく、目だってなんだか眠たそうである……こんな調子で明日から大丈夫なのかと思うところなのだが――


「大丈夫?」


 そんな折、アルザが尋ねてきた。ちなみに彼女は「飲めない」と告げて酒は飲んでいない。代わりに、横にいるミリアは他の冒険者に勧められるままに飲んでいるけど、表情は変わっていない。


「ニックのことか? まあこのくらいなら別に……」

「いやあー、今日は本当に良い日だなー」

「……間延びして、なんだかろれつも回らなくなっているみたいだけど、面倒な絡み方じゃないし」


 そんな俺の反応にアルザはクスリと笑う。


「なんだか慣れている雰囲気だね?」

「戦士団で、酒を交えた宴会なんて山ほどあったからな……ニックのような手合いは優しい方だよ」


 周囲にいる冒険者の中には、肩を組んで歌い出している者までいる。さすがにその中に加わろうと思わないけど、陽気さは見ていて自然と笑みがこぼれる。


「ま、競争相手とはいえ、険悪になる必要性はどこにもない。楽しめばいいさ」

「ディアスがそれでいいなら、私は何も言わないけど」

「アルザはどうだ? 何か不満とかあるのか?」

「いやあー、不満とかはねーぞー」


 訊いていないのにニックが律儀に答えてくる。そんな様子にアルザは苦笑しつつ、


「ううん、特になし……ただ、なんとなくだけどダンジョンを潜る人の心理はわかったかな」

「心理?」

「今日、ダンジョンに入って色々と情報を集めて……まだ一日目だけど、少しずつ攻略していくというのは、楽しいものなんだと思った」

「そういうのに興味を持つなら、アルザは向いているかもしれないな」

「でも、ダンジョンの考察とか無理だよ?」

「その辺りは、ダンジョンに入り続ければわかるようになってくる。経験を積めば、考察できるようになるさ」

「そんなものかなあ……」


 頭をかきつつアルザは応じる。そこで俺は、


「今後、ダンジョンに潜ろうと考えていたりするのか?」

「うーん、さすがにそこまでは……ただ、私の目的からすると、一攫千金目当てで入るのもありなのかな?」

「以前ならともかく、今は微妙かもしれないな……ほら、魔王が潰えて人間界にダンジョンが出現しなくなっている。まだ残っているダンジョンはあるだろうし、そうした中で生き残っている魔族は魔王が滅びたとわかれば籠城を選択する可能性も高く、ダンジョンに潜ること自体はできると思う。でも、実入りがあるかどうかは疑問だな」

「お金目当ての場合、真面目に魔物討伐とかやっていた方がいいってことか」

「そうだな……とはいえ、魔物や魔族の討伐だって今後は減っていくだろう。腕っ節一本でどうにかなる世界が終わりを迎えたかもしれない」

「私達が今後も必要になる場合、それは魔王が決まって人間に攻撃を仕掛けた時、かな」

「だろうな……軍縮云々なんて話は聞かないから、当面は俺達の存在はまだ必要だと思うけど、年単位で考えれば身の振り方……そして、お金の稼ぎ方についてはしっかりと考える必要があるだろうな」

「そっか……」


 腕組みをして悩み始めるアルザ。彼女としては剣術以外に道はない……だからこそ、今からどうするべきか思案している。

「ねえ、ディアスは……もし冒険者や傭兵のやるような仕事をなくなったら、どうするの?」

「その時はおとなしく隠居するのも手だろうな」

「隠居、かあ」

「正直将来のことを深く考えているわけじゃないのが実状だな……アルザの方は、資金集めのこともあるし、剣術以外に何か稼げる方法を考えておいても良いかもしれない」

「想像つかないよ……」

「別に今すぐというわけじゃないから……ただ、アルザの目的を考えたら……商売でも始めるのが無難かな?」

「絶対に私には無理だって」


 首をブンブンと振るアルザ。そんな態度に俺は苦笑しつつ、


「退魔の力を有している以上、それを利用して何かするのもいい……実力を考えれば、聖王国側だって野放しにはしないだろ」

「……おとなしく、国に取り入って仕事をした方がいいかな?」

「そこは微妙だな。戦士団のように独立して動くタイプじゃなかったら、基本的には国の管理下にはいる……その場合、正直給料はよくない」

「あー、さすがに稼げないか」

「ただまあ、村の復興と引き換えに……みたいな形で交渉すれば可能性はあるかな」

「そんな上手くいくかな?」

「そこはアルザの交渉力次第だな」


 俺の言葉にアルザは笑う……そうして、夜は更けていった。


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