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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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情報と英傑

 俺達はミリアが持参する地図を参考に、第二層の未踏破場所を調べて回った。ひたすら草原が広がっているので、森でもあるのかと思っていたら……近寄ってみると突然草原に壁が出現した。


「異界化しているし、生態系すらできているけど……こういうところは割とテキトーだな」

「より年数が経てば、違和感なく変化していくのでしょう」


 と、ミリアが言及。彼女は壁の一角に指を差す。そこは、壁の部分が溶けるように変形していた。


「おそらく草原が構造物を吸収、分解して魔力にして再構築している」

「……なかなか怖い光景だな」

「元は洞窟などを拡張した異空間だから、こういう風になっているのでしょう。魔族が生きていれば、この辺りのことだって違和感なくしているのでしょうけど」

「俺が踏み込んだダンジョンの中には異界化しているものもあったけど、こんな極端な場所はなかったな……異界化が広がるけど魔族が放置している場合、こういう弊害が生じるってことか」


 タメにならない情報を手に入れつつ、俺達は壁沿いを歩く。すると未踏破の場所――洞窟の入口を見つけ、踏み込む。中は岩肌で明かりすらなく、俺は魔法で光を生みつつ先へと進む。

 やがて辿り着いたのは行き止まり……罠などの類いも一切なく、ゴツゴツとした岩肌が広がっているばかりだった。


「ハズレの小部屋かな?」

「そうね……ディアス、こういう場所の情報も売れるの?」

「確認した場所についてはどんな内容でも冒険者ギルドは買ってくれる。まあ次に繋がる通路とかじゃない限り、手間賃くらいのお金しかもらえないけどな」


 宝箱がある部屋を発見、といっても訪れた冒険者がその中身を得てしまえばその部屋の価値はなくなる。ギルド側が欲しているのは「最奥へ繋がるための道」なので、それ以外のものは必然的に買いたたかれる。


「ねえ、一つ疑問なのだけれど」


 さらに、ミリアが口を開く。


「こういった情報を収集する場合、ギルド側はどうやって確かめるのかしら?」

「確かめる必要はないよ」

「どうして?」

「情報が本当なのかを確認するために、該当の情報に関する部分の記憶を読み取るからな」


 ミリアは驚いたのか目を丸くする。


「もっとも、記憶の一部だけでも覗かれるのは嫌だという場合は、普通に情報だけ渡せばいい。ただしその場合、冒険者ギルドが後で再調査するので、さらにもらえるお金は安くなるけど」

「……記憶を、覗く」

「俺はその魔法について知っているから、必要となる情報以外の部分……個人的な要件とかが覗かれることはないと断言できる。ただ、抵抗があるのも仕方がないし、ギルド側も強制しているわけじゃない」

「なんだか、すごい技術ね」

「そうだな……実を言うとこれは『六大英傑』にも関連している」

「英傑が?」

「英傑でも最強と呼ばれる騎士クラウスと並び立つ存在……現在は冒険者ギルドで役職についている人物で、この魔法はギルドを発展させるためにその人物が開発を指示したんだ」

「そうなの……英傑の一人……」


 ミリアは考え込む。おそらく資料で見たプロフィールを洗い出していることだろう。


「……冒険者ギルドに所属している、みたいな情報はなかったわね」

「そもそも知らない人が多いからな」

「そうなの?」

「隠しているわけじゃないみたいだけど、冒険者と共に行動していて、そういう役職だと言う機会がないと言っていたな」


 それなりに偉い人なので、魔王との戦いに出てくるとかどうなのかと俺は思ったけど……実力は高いし、国に要請されて出陣したらしいので、本人としてもそれで構わないとか言っていたな。

 まあニックと比べると控えめな感じだし、英傑の中で一番目立たない存在とか言われていた……そのことについて本人はなんだか悲しそうだった。まあ普段ギルドの仕事ばっかりやっていて功績を上げていないのだから仕方がない。


「そういうわけで、冒険者ギルドに情報を持っていく情報が少し増えたな」

「ほぼ価値はないでしょうけど」

「地図が埋まるから、ギルド側としてはそれなりに価値はあるよ。ここへ誰かが入り込むという無駄な行動は減るだろ?」


 そんな会話をしながら俺達は草原へと戻ってくる。ミリアによる未踏破の場所はまだあるみたいだけど、さすがに地図が埋まること以外の成果を得るのは無理そうだな。


「地図を埋めるということ自体は誰かがやらないといけないし、ひとまず回ってみよう」

「悠長ねえ……ニックとの勝負があるのよ?」

「まあまあ、さすがにニックがいかに英傑であるとはいえ、いきなり何層も飛び越えて最深部まで行くわけはないし、今日のところはゆっくり調べようじゃないか」


 そんな風に俺が提言すると……ミリアもアルザも同意し、俺達は再び歩き出した。

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